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専門家会議/新型コロナウイルス「人口の79.9%が感染」の推計も

2020年03月20日行政

厚生労働省は3月19日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を発表した。

専門家会議は、今後の見通しについて、「今日我々が見ているこの感染症の感染者数のデータは、感染から発病に要する潜伏期間と発病から診断され報告までに要する期間も含めて、その約2週間前の新規感染の状況を捉えたものにすぎません。すなわち、どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが、この感染症対策の難しさです」と指摘する。

そして、「もしオーバーシュートが起きると、欧州でも見られるように、その地域では医療提供体制が崩壊状態に陥り、この感染症のみならず、通常であれば救済できる生命を救済できなくなるという事態に至りかねません。このため、爆発的患者急増が起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる『ロックダウン』と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる事態となっています」と述べている。

<国別の累積感染者数の推移>
国別の累積感染者数の推移
出典:専門家会議発表資料(以下同じ)

■流行50日目「1日新規感染者5414人」最終的に人口の79.9%が感染

また、「日本のある特定地域(人口 10 万人)に、現在、欧州で起こっているような大規模流行が生じ、さらにロックダウンに類する措置などが講じられなかったと仮定した場合にどのような事態が生じるのでしょうか。北海道大学西浦教授の推計によれば、図のとおり、基本再生産数(R0:すべての者が感受性を有する集団において1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値)が欧州(ドイツ並み)のR0=2.5程度であるとすると、症状の出ない人や軽症の人を含めて、流行50日目には1日の新規感染者数が5414人にのぼり、最終的に人口の79.9%が感染すると考えられます。また、呼吸管理・全身管理を要する重篤患者数が流行62日目には1096人に上り、この結果、地域における現有の人工呼吸器の数を超えてしまうことが想定されるため、広域な連携や受入体制の充実を図るべきです」との推計を紹介した。

ただし、「もちろん今回の推計に基づき各地域ごとに人工呼吸器等を整備するべきという趣旨ではなく、今回示した基本再生算数がもたらす大幅な感染の拡大が生じないよう、クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策を講じることで、これから各都道府県が整備しようとしている医療提供体制を上回らないようにするべきです。なお、オーバーシュートが生じる可能性は、人が密集し、都市としての人の出入りが多い大都市圏の方がより高いと考えられます」と述べた。

<大規模流行時に想定される10万人当たりの新規感染者数(左)と重篤患者数(右)>
大規模流行時に想定される10万人当たりの新規感染者数(左)と重篤患者数(右)

このため、「有事に備え、十分な医療提供体制が必要になることは当然のこととして、こうした状況を可能な限り回避するための取組がより重要になります。それには、多くの人々の十分な行動変容を通じた協力が不可欠であり、地域クラスター対策の抜本的拡充だけでは全く不十分です。すなわち、もし大多数の国民や事業者の皆様が、人と人との接触をできる限り絶つ努力、『3つの条件が同時に重なる場』※を避けていただく努力を続けていただけない場合には、既に複数の国で報告されているように、感染に気づかない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じえます。そして、ある日、オーバーシュート(爆発的患者急増)が起こりかねないと考えます。そして、そうした事態が生じた場合には、その時点で取り得る政策的な選択肢は、我が国でも、幾つかの国で実施されているロックダウンに類する措置を講じる以外にほとんどない、ということも、国民の皆様にあらかじめ、ご理解いただいておく必要があります」と続けた。

※3つの条件が同時に重なる場とは、集団感染が確認された場に共通する1.換気の悪い密閉空間であった、2.多くの人が密集していた、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場を意味する。

したがって、「我々としては、『3つの条件が同時に重なる場』を避けるための取組を、地域特性なども踏まえながら、これまで以上に、より国民の皆様に徹底していただくことにより、多くの犠牲の上に成り立つロックダウンのような事後的な劇薬ではない『日本型の感染症対策』を模索していく必要があると考えています」。

このため、「地域別の予兆を少しでも早く把握しながら、もし、特定地域にオーバーシュートの兆しが見られた場合には、まずは、地域別の対応を徹底していただくとともに、全国的にも、より一層の行動変容が必要であると考えています。特に、これまでの事例を見ると、症状が軽い方が、感染に気がつかないまま、街を出歩いて感染を拡大させている可能性があり、こうした方々を含め、地域の皆さん全員が『3つの条件が同時に重なる場』を避けるなどの行動変容を徹底していただくことが極めて重要です」。

■大規模イベントは大規模感染のリスクを高める

また、「これまでにわかってきたこととしては、オーバーシュートのリスクを高めるのが、『3つの条件が同時に重なる場』を避けにくい状況が生じやすい、『全国から不特定多数の人々が集まるイベント』であるといえます。イベントそのものがリスクの低い場で行われたとしても、イベントの前後で人々が交流する機会を制限できない場合には、急速な感染拡大のリスクを高めます。また、規模の大きなイベントの場合は、会場に感染者がいた場合に、クラスター(患者集団)の連鎖が発生し、爆発的な感染拡大のリスクを高めます。現時点では、安全な規模や地域による基準を設けられるような科学的な根拠はなく、これまでの事例から判断するしかない状況です」と指摘。

そして、「3つの条件が同時に重なる場を避けるなど適切な対応をとられれば、オーバーシュートを未然に防ぐこともあり得ますが、国内外の現在の感染状況を考えれば、短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要があります」と述べている。

新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(3月19日)

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