アットコスメ/オムニチャネルでリテール事業売上高EC300億円・店舗500億円目指す

2025年03月06日 10:36 / 経営

アイスタイルの遠藤宗社長は3月4日に開催した事業戦略説明会で、現在の目標について「リテール事業のうち店舗売上高500億円、EC売上高300億円を目指す。@cosme TOKYO(アットコスメ東京)は数年内に売上100億円を目指す」と発表した。

<遠藤社長>
アットコスメ

同社は2024年8月に4~5カ年の中期事業方針を策定。会社全体で売上高1000億円、営業利益80億円の目標を掲げた。コロナ禍の間は利益がマイナスだったが、24年に財務基盤が回復。業績改善により機動的な資本施策が可能になった。

だが、売上を増やすために店舗数を増やす方針ではないという。1店舗で取り扱うブランド数を重視する。遠藤社長は「売場面積を広げ、より多くのブランドさんに入ってもらうことで、さまざまな出会いの仕掛けをお客様に提供する。まずは面積を増やして売上を最大化していく。普通は面積を広げるほど坪効率は下がるが、我々の場合は右肩上がりに伸びている」と話す。

売場面積の拡大とともに、旗艦店を中心にネットとリアルを融合させた体験を提供することで売上の最大化を図る。過去に自社ECにおける1人あたりの平均購入金額を調査したところ、ECのみの利用者と比べて、EC・店舗併用者の金額が1.5倍以上の売上を記録しているという結果が出ているという。

<リアル店舗でEC購入も促す>

そのため、3月5日にリニューアルオープンした@cosme TOKYOでも、EC利用を促すための施策を導入した。今回新たに3階の売場を設け、香水専門のコーナーを設置。同じフロアで取り扱う全アイテムに対応したオリジナルムエットを用意した。

ECの商品ページにアクセスできるQRコードを載せることで、時間経過後の香水の匂いを確認した上で商品を購入できるよう工夫している。

なお、店舗とECの併用率は、24年12月時点で全ユーザーのうち25%にも上る。「ECを使ってない方にECを使うメリットを提示しながら、店舗に来た方々がECで買ってもらう流れ作りたい」と遠藤社長は語る。店舗とECをいかに併用してもらうかに注力し、相互に送客を促すことで成長を加速させたい考え。

加えて、これまでリテール事業を通じて蓄積したユーザーの購買データと、自社メディア内のアクションデータと連携させることでデータベースを強化している。このデータベースをマーケティング支援事業にも活かすことで、利益率の向上を図っていく。

<香港に旗艦店25年オープン>
アットコスメ

また、@cosmeは25年、海外への再出店を図る。香港の観光・商業の中心地である尖沙咀(チムサーチョイ)に初の海外旗艦店をオープン。東アジア最大級の約1400m2の売場面積を誇る化粧品専門店として開く。

香港での店舗数は、旗艦店オープン後3店舗となる。海外では一時期、台湾に4店舗、香港に5店舗展開していたが、コロナ禍のタイミングで一度閉めたという。

海外事業について遠藤社長は「一旦は閉まったが、原宿の店舗(@cosme TOKYO)を作った後、世界と勝負ができると思い、次に出店するなら香港だと決めていた。海外でも@cosmeの存在感を出していきたい中で、たまたま良い物件が良い条件で借りられることになった。

とはいえ、海外に広げることは結構難しいと、一回挑戦してよく分かった。グローバル事業を加速させるというメッセージではない。グローバル事業は全体で見ると、まだまだ赤字。一気にアクセルを踏まず、香港の旗艦店を軸にして中華圏への進出にもう一度取り組む。メディアとの連携が上手くいったら、東南アジアに広げたい」と語った。

取材・執筆 古川勝平

アットコスメ/原宿の旗艦店リニューアルオープン、数年以内に売上100億円目指す

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