ファミマ/ふるさと納税参入、ファミペイアプリ活用し店頭商品をその場で受け取り
2025年03月19日 11:27 / 経営
ファミリーマートは3月25日、ふるさと納税サービス「ファミマふるさと納税」を開始する。
ファミマのアプリ「ファミペイ」を活用し、返礼品をすぐに店舗で受け取ることができるのが特徴。
第1弾として、6自治体・20商品でスタートする。返礼品の寄付額は1000円~1万2000円と低めに設定している。
利用方法としては、ファミマのアプリ「ファミペイ」からふるさと納税専用サイトに遷移し、自治体と返礼品を選ぶと、「ファミペイ」に返礼品の電子クーポンが届く。クーポンは発行から90日以内であれば、好きなタイミングでファミマ店頭の商品と引き換えることができる。
「日本全国1万6500店舗のファミマの店舗と、2000万以上ダウンロードされている『ファミペイ』アプリを使ったサービス」
ファミマデジタルワンの中野和浩社長は「ファミマふるさと納税」の特徴をこう説明する。
「お客様にはファミマでいつものお買い物の感覚で返礼品を受け取っていただくため、手軽で便利にすぐに返礼品を手に入れることができる。また、近くのファミリーマートをふるさと納税の返礼品用の物置・冷蔵庫代わりに使ってもらうことができる」
中野社長は、ペットボトルの水などを1本ずつファミマ店頭で受け取れることから、サービスの利便性の高さをアピールする。
「ファミペイ」アプリでは以前から水やお茶などをまとめて割安で購入して1本ずつ店頭で受け取れる「回数券」という機能を実装している。今回、ふるさと納税用に同機能を「お礼品」という表現に変えて活用する。店舗のオペレーションも「回数券」利用時と変更はないため、店舗スタッフの負荷も発生しない。
自治体としても、返礼品を発送する必要がないため、コストの圧縮にも寄与するという。
返礼品は、新潟県津南町から「新潟県津南の天然水」370ml(13本6000円、27本1万2000円)・600ml(12本6000円、25本1万2000円)や、宮崎県小林市の「宮崎県霧島の天然水」600ml(12本5000円、25本1万円)・1020ml(10本5000円、20本1万円)。
ほかにも愛媛県今治市からコンビニエンスウェア「今治タオルハンカチ」(2枚5000円、4枚1万円)。鹿児島県いちき串木野市から「サラダチキンスティック」(3個2000円、9個6000円、15個1万円)と「たんぱく質22.3g国産鶏のサラダチキンスモーク」(1個1000円、3個3000円、5個5000円)などを用意する。
ふるさと納税の返礼品を扱うプラットフォームは、さとふるや楽天などが先行しており、昨年12月にはアマゾンや同業のローソンも参入している。こうした競争環境においてファミマの優位性はどのあたりにあるのか。
ファミマデジタルワン取締役執行役員 経営企画管理本部長の下川哲也氏は「他社と同じようなサービスをこの後から提供するというのは考えていない。ファミリーマートの強みを見返した時に、店舗に商品がそろっていることと、『ファミペイ』アプリが普及してきたことでお客様と直接コミュニケーションが取れること。さらにはアプリの『回数券』という仕組みがグループの強みだと考えた。これらを組み合わせて、独特なサービスが提供できるようになった。お客様は自分の好きなタイミングで1個からファミリーマートの商品を受け取れる。これが我々独自の優位性や、差別化ポイントだと考えている」と語る。
中野社長も、さとふるや楽天、アマゾンなど先行するサービスでは牛肉など高級品を返礼品に選ぶとした上で「制度的には同じ土俵には立っているが、我々の返礼品は日常使いのものを想定している」と話す。「ファミマふるさと納税」の利用イメージとしては、例えば10万円の寄付枠のうち9万7000円を寄付したとして、残り3000円が余った場合などに使ってもらうことも想定している。
今後の返礼品のラインアップとして、パックご飯やカップ麺、アイスクリーム、中華まんなどの食品のほかに、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなども予定しており、あくまで普段使いの日用品を返礼品にしていく方針。
ファミマでは早期に寄付金額で100億円を目指していく。
取材・執筆 比木暁
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