沖縄ファミマ/売上高・日商で過去最高に、沖縄仕様のカスタマイズが奏功
2025年07月22日 16:30 / 経営
沖縄ファミリーマートが好調だ。コロナ禍の落ち込みから回復し、今期(2026年2月期)の日商はピークだった2019年度を超えた。好調の背景には徹底したローカライゼーションがある。
「ファミリーマートというブランドを沖縄マーケット仕様にカスタマイズしているのが功を奏している」。
7月22日に都内のファミリーマート本社で開かれた地域戦略説明会で、沖縄ファミマの糸数剛一社長はこう述べた。
沖縄ファミマは2019年度の売上高807億円、日商67万8000円をピークに、コロナ禍で業績が悪化。しかし近年は盛り返しており、2024年度は売上高826億円とコロナ前の水準を超えた。日商も今期に入り、69万円とこちらも過去最高になっている。
好調の要因として、物価高による商品価格の高騰、観光業の回復、高単価の雑貨の投入、円安による米軍基地周辺での購入増加──などが挙げられる。
これらを踏まえた上で、糸数社長は「さまざまな要因があるが、一番大きいのは沖縄ファミリーマートとして地域に寄り添ったローカライゼーションを徹底してやっていること。それが地元で支持され、観光客にも沖縄ファミマの商品が評価されている」と分析する。
337店舗(2025年6月末時点)を展開する沖縄ファミマでは、ローカライゼーションの一環で沖縄でしか買えないオリジナル商品の開発に力を入れている。
岸本国也取締役は「我々が力を入れている中食では、売上の51~52%が沖縄で開発した商品。沖縄にしかない『ポーク玉子』のシリーズや『タコス巻』などがあり、ざるそばや冷やし中華なども見た目は同じでもつゆを沖縄仕様に変えるなど地元の方に合わせた味付けにしている」と説明する。
中食以外ではオリジナル商品の構成比は下がるものの、例えば日用品では「コンビニエンスウェア」を地元のプロバスケットボールチーム「琉球ゴールデンキングス」とコラボした商品として打ち出すなど「オリジナル性の高い独自商品を展開している」(岸本氏)という。
さらに「地域ド密着プロジェクト」として、那覇市や沖縄市、うるま市などと連携し、地元の有名店や企業とコラボしたり、名産品を使用した商品開発を行ったりしている。
こうした取り組みが、地元のニーズだけでなく、全体の2割程度とみられる国内外の観光客の購買意欲も喚起しているようだ。
とはいえ、競合環境は厳しさを増している。沖縄には2019年7月にセブン‐イレブンが進出。すでに進出していたファミマ、ローソンにセブン‐イレブンが加わり、競争が激化。
2025年3月時点で、人口10万人あたりのコンビニ数は全国3位となっており、「あと3~5年もすると人口あたりで全国1位の激戦区になる」(糸数社長)と予想する。
こうした中、沖縄ファミマでは強みである地域に合わせたローカライズ戦略を推進し、競合との差別化を図っていく計画。
さらに7月25日にグランドオープンする大規模テーマパーク「ジャングリア沖縄」も追い風になる。糸数社長は「経済効果の波及は間違いなく大きい」と期待を寄せる。
ファミマでは全国の店頭で「ジャングリア沖縄」のチケットを販売していく。
取材・執筆 比木暁
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