10X/発注業務の効率化ツール「Stailer AI発注」を7月提供、客数や需要をAIが予測

2025年05月20日 14:42 / IT・システム

ネットスーパー運営サービス「Stailer(ステイラー)」を提供する10X(テンエックス)は、小売現場の労働生産性を高める複数のサービスを提供していく。

第一弾として商品の発注業務を簡単に行うことができる「Stailer AI発注」を7月から提供開始する。

<矢本真丈CEO>
矢本真丈CEO

5月20日に都内で開催された戦略発表会で、10Xの矢本真丈CEOは発注業務について「店舗の棚とバックヤードを行ったり来たりして業務をしているのが現状。ノウハウや知識、スキルが必要な高度な業務で、経験がモノをいう作業」と説明。

「Stailer AI発注」では「発注業務について人は何もしないというのがスタンダードで、特別な対応が必要な場合は人が介入する。機械と人の主従が逆転していく形を目指している」とする。これにより誰でも簡単に発注業務を行うことができるという。

具体的には、AIが曜日や気温、特売の情報などをもとに来店客数や需要を予測。それをもとに各商品の発注数量をAIが自動的に決定する。

店舗の担当者は、モバイルアプリを通じて、商品や棚のバーコードを読み込むと、発注の実績や在庫状況の確認が可能で、手動で変更することもできる。

また、前年同期時の発注数量、同じ曜日の過去の発注数量などと比較することも可能。

来店客数や需要の予測は、実績データが貯まるのに合わせて、AIが学習して精度を高めていく仕組み。

<デリシアが「AI発注」を導入>
デリシアが「AI発注」導入

「Stailer AI発注」の利用料については、初期費用は企業ごとの見積もりとなる。月額利用料は1店舗あたり数万円から。利用にあたっては、小売企業側の基幹システムやPOSシステムへの接続が必要になる。

第一弾として、長野県で食品スーパーを運営するデリシアが導入を決めている。

<森真也社長>
森真也社長

デリシアの森真也社長によると、現状の課題として「バイヤーの業務が煩雑になっている。また、インフレの中で現場は消費者目線で価格を変えていかなければならず、非常に難易度が高い」とバイイングの難しさを強調。その上で「こうした部分の一部でもデータからアプローチできないかと検討している」という。

<マルチプロダクトを展開>
マルチプロダクトを展開

10Xは「小売業のDX全体を支えるプラットフォームへと進化していく」(矢本CEO)との方針のもと、「Stailer」のマルチプロダクト戦略を進めている。

従来の「Stailer ネットスーパー」と今回の「Stailer AI発注」のほかに、AIが粗利益目標に応じた最適な商品・価格を自動算出する「Stailer AIプライシング」、MDデータを標準化・効率化する「Stailer MD」、データウェアハウスの「Stailer データストア」といった3製品を今年の冬に提供する予定。

さらに来春には、店舗IDやポイントシステムと、ネットスーパーのシステムを統合するOMOアプリ「Stailer OMNI(オムニ)」の提供も予定している。

<「Stailer」導入先>
「Stailer」導入先

「Stailer」は2020年に提供を開始しており、スーパーやドラッグストア13社が導入している。

4年間で導入企業の流通総額は平均56.7%の伸びとなっており、市場成長率の10.5%に対して大きく上回っているという。

取材・執筆 比木暁

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