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イオン/3~11月スーパー、ドラッグ好調で営業収益前年並みに回復

2021年01月13日 16:30 / 決算

イオンが1月13日に発表した2021年2月期第3四半期決算によると、営業収益6兆3925億3800万円(前年同期比0.1%増)、営業利益681億1100万円(33.9%減)、経常利益589億9700万円(36.8%減)、親会社に帰属する当期損失625億9000万円(前期は63億4300万円の損失)となった。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国内外で緊急事態宣言などの行動規制が敷かれ、第1半期連結会計期間中(3~5月)の業績に大きな影響があったが、以降徐々に回復し、第2四半期連結会計期間(6~8月)には増収に転じ、利益の減少幅も縮小した。

第3四半期連結会計期間(9~11月)は、スーパーマーケット事業とヘルス&ウエルネス事業が好調を維持したことに加え、GMS(総合スーパー)事業と総合金融事業が損益改善へと転じた。

また、大ヒット映画の集客効果も後押しとなり、ディベロッパー事業とサービス・専門店事業の業績も大きく改善したことで、第3四半期連結会計期間の業績は営業収益、営業利益ともに過去最高となり、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益も、第3四半期連結会計期間は前年を上回った。

GMS事業は、営業収益2兆2556億3400万円(0.9%減)、営業損失426億8900万円(前年同期より245億6200万円の減益)。

イオンリテールは、商品面では、テレワークに適した高脚こたつや防寒小物、お家の鍋をより楽しめる2色鍋など、イエナカ需要に対応した「ホームコーディ」の秋冬シリーズの売上が好調に推移した。

加えて、スポーツ関連商品を提供する「スポージアム」を全国展開し、ヨガマットなどのイエナカフィットネス商品、ジョギング・ウォーキング関連商品の売場を拡大したことで、同カテゴリーの既存店売上高前年比が3割強伸長している。

感染症拡大の影響による生活防衛意識の拡大に応え、11月初旬より食品、日用消耗品の生活必需品、最大約700品目を「生活応援特価!」として展開した。今年5年目になるブラックフライデーセールは、密を避けるため10日間に延長するとともに予約販売会とECセールを先行して実施した。

外出・外食自粛の中で自宅がレストランに思えるような質の高い商品をお値打ち価格で提供するため、また需要が落ち込む生産者への支援策として、まぐろ、真鯛、黒毛和牛を含めた各地の生鮮食品を拡販した。これらの取り組みの結果、期間中の売上は好調に推移した。

サービス面では、需要が急増したネットスーパーにおいて、専用カウンターやロッカー、駐車場での受け取り等、店舗で受け取れるサービスの実施店舗を11月末で196店舗に拡大している。

これらの取り組みに加え、経費コントロールや在庫削減等の経営効率の改善を積極的に推進した結果、9~11月の営業損益は前年同期に対して改善している。

イオン北海道では、食のSPA化を目指し、「真ほっけ焼きほぐし」「道南レッドコロッケ」など、地域ならではの商品を9~11月計で約650品目を開発。コロナ禍におけるネットスーパーの需要の高まりに対応したことに加え、約1500品目の化粧品・コスメ用品を取り揃えたネットショップを9月に開設、最大約170品目のおもちゃを取り揃えた期間限定のネットショップを開設するなどEC強化にも努めた。

スーパーマーケット事業は、営業収益2兆4749億1100万円(3.0%増)、営業利益361億2900万円(前年同期より315億9700万円の増益)。

USMHではスマホ決済「Scan&Go Ignica」、「オンラインデリバリー」を推進。AIデジタルサイネージを活用した広告配信・マーケティングサービス「イグニカ(ignica)サイネージサービス」の展開を拡大している。

マックスバリュ東海は、ネットスーパーの配送拠点を増やしたことに加え、「Uber Eats」の試験導入などでデジタル化、顧客の多様な需要への対応を進めている。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益7160億2600万円(10.4%増)、営業利益317億4400万円(39.8%増)。

ウエルシアホールディングスでは、外出自粛やテレワークによる化粧品メイク需要の減少の影響があったが、感染症予防対策商品、食品の需要増により物販の売上は好調に推移した。

総合金融事業は、営業収益3612億6200万円(2.4%増)、営業利益261億2700万円(34.1%減)。

イオンフィナンシャルサービスは、生活に密着した食品や日用品を取り扱うイオングループの小売業やECチャネル、公共交通機関の大手優良企業との提携を強みとする同社ならではの顧客基盤を活用。従前から取り組んでいたデジタル化や事業の効率化、テレワークによる従業員の働き方改革に取り組み、コロナ禍においても事業継続を可能とする体制を強化した。

ディベロッパー事業は、営業収益2367億5400万円(14.2%減)、営業利益239億9800万円(45.2%減)。

緊急事態宣言下による臨時休業などの影響はあったが、来店時間のピーク分散やアイドルタイムでの飲食店利用など、顧客の行動変容にあわせたサービスを提供することで専門店事業をサポートし、中国事業も好調なため、現在は回復傾向にある。

サービス・専門店事業は、営業収益4747億2700万円(15.2%減)、営業損失147億3300万円(前年同期より172億5300万円の減益)。

イオンディライトは、日本、中国、アセアンを跨いだ新型コロナウイルスの対策本部を2月初旬に立ち上げ、イオングループ各店舗に向けては、業務用マスク、手袋、アルコール、アクリルパーテーションといった衛生資材を継続的に提供している。

国際事業(連結対象期間は主として1月から9月)は、営業収益3162億9700万円(3.4%減)、営業利益32億2100万円(44.7%減)。

イオンマレーシアは、春節商戦を早期に取り組んだことが功を奏し、1月の売上は前年を大きく上回ったが、その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い事業活動に影響を受けた。

イオンベトナムは、ロックダウンが敷かれた4月は最も売上に影響が出たが、その後、消費喚起施策として実施した「生活サポートセール」では大型ディスカウント企画が好調に推移し、7月の売上は前年同期を上回る水準まで回復した。

8月、新型コロナウイルスの第二波の影響を受け、一時的に客数が落ち込んだが、9月は食品を中心に客数が徐々に回復し、「中秋の名月」セールスでは前年を大きく上回る売上となったという。

中国においては、1年で最も売上規模の大きい春節のピークに合わせた販促を実施したことにより、春節期間の売上高は前年比5.0%増と好調に推移。春節後は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で衣料、住居余暇商品の売上が減少したが、家庭での食事機会が増えたことやグロサリー商品のまとめ買いにより、食品の売上が大きく伸長した。

通期は、営業収益は8兆5000億円(前期比1.2%減)、営業利益1200億円~1500億円(44.3%減~30.4%減)、経常利益は1000億円~1200億円(51.4%減~41.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は未定と見込んでいる。

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