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ライフ/「売上高8000億円は達成させる」岩崎社長が語る次のビジョン

2017年12月14日 22:00 / 流通最前線トップインタビュー

――商品はどう変わっていくのか。

岩崎 首都圏と近畿圏の商品の統合、商品開発や値入構造の改革、惣菜など粗利率の高い商品を開発する。例えば、生活雑貨はいままでは首都圏と近畿でバラバラで競争をしていたが、いまは一緒になっていい商品を開発しようという風になっている。

<氷川台店の惣菜売場>
氷川台店の惣菜売場

惣菜は強化しなければいけない分野で、生鮮食品との連動というのは十年前から言っているが、お題目だけでできてなかった。まずは近畿圏で、畜産部門、農産部門、水産部門のバイヤーを惣菜部門に人事異動をして、いままでのノウハウで開拓した産地や当社でプレミアムと呼んでいる素材を使った惣菜の商品開発をいま始めている。

首都圏はプロセスセンターを作ったので、プロセスセンターの稼働率を上げなければいけないということで、少し効率に流れている部分があった。

でも、お客様に伝えなくて行けないのはやはり、おいしさだから、「おいしいものを作ろうよ」というところにもう一回、軸足を戻している。

例えば、お弁当では、いままで398円が売れ筋で、売価・値入ありきで、結果として「具材はここまでしかできないね」という商品開発だった。当然、価格にシビアなお客様はいるので、398円のラインは置いておきながら、498円、598円の品ぞろえ、こういった本当においしいものも置いている。

決して値上げするということではなくて、付加価値のある商品をライン展開することによって、トータルの単価が上がることもやろうとしている。

<ライフプレミアムのプロモーション>
ライフプレミアムのプロモーション

もう一つは、競合が厳しくなるとナショナルブランド(NB)を値下げするという動きがあるので、プライベートブランド(PB)の開発に力を入れている。PBの売上はいま600億円くらいまで上がっている。

他社との差別化ということでは、PBは非常に重要で、ヤオコーさんと一緒にやっている「スターセレクト」を含めて600億円という数字になっている。

自社ブランドの「ライフプレミアム」を含めて、ちゃんと商品開発をしてお客様に伝えて、隣にあるほかのスーパーとは違う品ぞろえがある。

さらに「PBの商品は本当においしいね」と言ってもらえるようにしている。いまでもプレミアムの商品は非常にお客様の評価は高い。こういったものを通じて、他社との違いを鮮明にしてライフらしさを打ち出していく。

PBについては、量が集まって安くするというのが目的の一つではある。そういう意味ではニチリウさんと一緒にやって量を追うこともある。

<価格訴求は「スターセレクト」で対応>
価格訴求は「スターセレクト」で対応

ただ、自分はライフにしかない商品、ライフらしさといったものをもっとしっかりと打ち出していきたいと思っている。ブランディングという観点からPBも大事だと思っているので、ライフの冠をつけた商品「スマイルライフ」あるいは「ライフプレミアム」を第一にPBの開発では考え、いまそういう方向で動いている。

ただ、ヤオコーさんと一緒にやることで、ボリュームが上がって原価低減ができるよというものについては「スターセレクト」でやっていく。本当に、ニチリウの中にいい商品があって、ボリュームがあって、これはすごい商品だねというのがあればニチリウでやる。優先順位はそういう風にやっている。

――ネットスーパー戦略は。

岩崎 ネットスーパーとカード戦略は、この4年間でライフの強みにしていこうと思っている。いままで以上に力を入れてやっていく。

ネットスーパーは、4年前から初めて、いま38店まで広がり、20億円程度の売上となっている。1億円以上を売上げる店舗も出てきている。今年の上期にとにかく4店舗で黒字化しようということで、4店舗は黒字化を達成したことで、こうすれば黒字化できるというノウハウやポイントも見えてきた。決して大儲けできるものではないが、お客様のニーズは確実にある。

ネットはネットで当社として強化していく、今後38店を4年間で100店程度にして、第6次中計では100億円というのを一応、社内の目標としている。ただ、自分はおそらくその倍の200億円くらいがマーケットとしてはあると思っている。

アマゾンフレッシュという話もあるが、当社としての対抗策は、まず実店舗の魅力を高める。お客様がスーパーに何を求めてるか、大根を買いに来る、肉を買いに来る、魚を買いに来る、当然、そうだ。でも、その買い物を通じて、買い物の楽しさとか、メニュー提案とか、ホッとするとか、ライフに来るとなんか楽しいねとか、そういう情緒的価値をお客様は求めていると自分は信じている。

情緒的価値が伝わるような店づくりをしっかりしていけば、一定程度、ネットに流れるお客様はいるとは思うが、本当に求めていることは何なのか、ということをしっかりと突き詰めれば、必ずしもアマゾンフレッシュがものすごい脅威になるとは思わない。

<ライフネットスーパー>
ライフネットスーパー

――カード戦略は、どうなるのか。

岩崎 カードは去年から導入していま約27万人の会員がいるが、これを早期に50万人にひきあげたい。電子マネーについては、これまでの現金ポイントカードを来春には廃止することで、すべて電子マネーに切り替える。

来春からは、「Ponta(ポンタ)」も使えるようになり、これらを活用してお客様への利便性を高めていく。

クレジットカードか電子マネーを使ってお買い物をしていただいたお客様の購買動向を見ると、ライフへのロイヤリティが高く、購買頻度や単価が高い。

一回使っていただくと、その便利さが伝わり、特にセミセルフレジとの相性は抜群にいいので、ポイントの見直しも行って、カードの比率を高めたい。

できれば2021年度までに、クレジットカードと電子マネーでの決済比率が50%を超えるくらいを目指したい。

<ライフのポイントカード・クレジットカード>
ライフのポイントカード・クレジットカード

■岩崎高治(いわさき たかはる)氏のプロフィール
1966年3月 東京都生まれ
1989年3月 慶応義塾大学経済学部卒業
1989年4月 三菱商事入社
1994年2月 Princes Ltd.(在英国、三菱商事100%子会社)
1999年5月 ライフコーポレーション取締役に就任
1999年5月 営業総本部長補佐
2000年2月 営業推進本部長
2000年4月 首都圏ストア本部長
2001年10月 専務取締役首都圏事業本部長
2002年3月 首都圏生鮮・食品本部長
2004年1月 近畿圏生鮮・食品本部長
2004年3月 営業統括本部長兼近畿圏物流本部長
2006年3月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長就任
2006年6月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼経営システム統括本部長
2006年11月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長
2014年6月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼開発統括本部長
2017年1月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長

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