――人への投資では、どんな施策をするのか。
岩崎 大きく6つの施策があり、1つ目は人に投資をする。これが第6次中計の柱となる。約900人いる本社人員を見直して、店舗の人員を厚くすることを、年明けの組織改正・人事異動でやる。
いまパートナーさんの採用が非常に難しい中で、できる限りお客様と接する店舗の人員を厚くするということが、何よりもサービス向上につながっていく。加えて、来年4月には新入社員300人が入社する。店舗の人員を厚くして現場力を高める。
2つ目はさまざまなシステム化をさらに進めて働き方改革をする。10年以上やっている店舗の働き方改革に加えて、本社の働き方改革をする。
3つ目は働き方改革をする上で、本社から店舗への指示を減らして、店舗がやりがいをもって働ける体制を目指す。チェーンストアなので、おのずと本社からの指示はあるが、これが、良かれと思って出過ぎてしまった。
ボトムアップにはつながったが、それが行き過ぎた部分があると私は思っている。本部の指示を減らして、店舗の裁量を増やして、店舗が生き生きと働ける環境にしていく。
4つ目は社員の処遇改善をする。政府は3%の賃上げと言っているが、定期昇給と賞与を合わせた賃上げで3%以上の賃上げをやっていこうといま考えている。
5つ目は女性・高齢者、パートナー社員で、多様な人材が働けるような制度の改善をする。高齢者であればいままで60歳になると、少し待遇が変わっていたものを、5歳ずつ引き上げる。そういったことをやって高齢者が働きやすくする。
6つ目は教育への投資だ。今年の9月から次期幹部候補を対象に、首都圏と近畿圏、それぞれ11人ずつ合計22人を選抜し、社長の直轄で経営塾を月1回、始めた。
――経営塾ではどんなことをやっているのか。
岩崎 毎回、課題図書を私が提示して、それに基づいていろんな話をしている。経営マインドがテーマだ。いま部長が対象だが、うちの社員はすごく真面目で、担当の部署に対する責任感はものすごく強くて、一生懸命やるんだけど、もう一つ上、あるいは二つ上のポジションについた時に、より広い視野でみると、違う視点になる。
例えば、リーダシップだとか、マネージメントだとか、あるいは組織改革をするにはどんなことが必要なのか、そんなようなことをやっている。
これは今すごく手ごたえを感じている。ある意味反省だが、もっと早くやらなければいけなかった。直接、部長にそういう話をすることで、こちらの考えも伝わるし、彼らも何をを考えていたのが、本当はこう考えていたのにできなかったとか、もどかしさも分かるのでやって良かったと思う。
――人件費が利益を圧迫しているが、経常利益200億円はどう達成するのか
岩崎 具体的な利益の達成計画はまだ策定中だが、基本的には売上を上げることがまずは大切だ。店や人員への投資があって、しばらくは経営的には厳しい。これをお客様と売上の増加によってカバーする。
そのためにも、従業員が生き生きと働くことが必要で、先行して人を増やし、従業員の処遇を改善して、みんなで本当に生き生きやってもらう。笑顔で伸び伸びとやってもらうのが成長の原点だと自分は思っている。
それが伝われば、絶対にお客様に満足できるサービスが提供でき、客数が上がり売上があがる。加えて、これまでできなかった改装もやるので、売上は絶対に上がる。
4年間で既存店売上が15%上がれば、目標は達成できる。これは過去の3年間を見ても決して無理な数字だとは思っていない。売上が上がれば、処遇が改善して従業員一人当たりの人件費が増加してもカバーできる。
過酷な労働条件の下で、従業員に対して、お客様に笑ってくださいといってもしないですよね。まず、従業員が笑っているという会社にするというのが社会貢献にもつながる。
――店への投資はどうなるのか。
岩崎 新店は4年間で、首都圏で30店、近畿圏で20店、合計50店舗を計画している。改装については、毎年、20億円を使う。4年間で200億円、特に近畿圏の改装が増えたので、今期からだいぶピッチをあげてやっているが、老朽化した店舗のすべてに手を入れていく。
首都圏の出店では小型店、小さなお店についてもチャレンジをしていく。来期は首都圏で6店舗、近畿圏で4店舗を計画している。2019年度以降はまだ計画段階だが、10店舗プラスアルファくらいの水準で出店する。
立地は都心、あるいは駅前を考えている。当社はすでに(売場面積)約500m2というはお店は、笹塚などでやっている。山手線の中もうちはいま6店舗ある。物件が決まっている店舗もあるので、山手線の中もやっていく。
出店はドミナントを守るような出店をしていくし、1店1店の魅力を高めて、いままでやってきたことをしっかりとやっていく。お客様が不便を感じている場所への出店を想定している。
車を運転できなくなる人が増えて、行動範囲が狭まっていく中で、これまでの商圏である半径1kmは狭まっていると思う。そういう意味では、まだまだ出店の余地はあると思う。
――昨年、出店した新業態「ビオラル」の業績と今後の予定は。
<昨年、大阪に出店したオーガニックに着目した新業態「ビオラル」>
岩崎 ビオラルは売上が10%~20%くらいで伸びている状況だ。ただ、まだ黒字化はできていない。売上を上げるのは実は簡単で、普通の商材を入れれば売上は上がる。それをやってしまうと何もならないので、いまもう一回、品ぞろえの見直しをしている。
ビオラルの良さというのは、一回、お客様に伝わるとものすごいコアなファンになっていただいている。年明けに、少し売場の見直しを行う。
我々が目指しているのは、オーガニックに特化した店ではなく、普段の買い物もできるお店にしようと、特別な商品50%、通常商品50%というのがコンセプトだった。売上を上げるには、通常商品の50%を上げれば、簡単なんだけど、それやっちゃうとなんにもならない。
ただ、特別な50%の商品の中に、ナチュラルだとかヘルシーといったコンセプトではない、ちょっと高いような商品、ちょっとこだわりがある、だけど、本来のビオラルのコンセプトとは違う商品が入っていて少し動きが悪いので、その辺を見直し、本来あるべき、ビオラルの品ぞろえに差し替えをする。
年明けに品ぞろえの見直しとお客様を集めるような策をやって、もう一回、テコ入れをする。
具体的にはまだないが、2号店の展開は検討中だ。まず、ビオラルを軌道に乗せることが大事だと社内ではいっているが、一店舗だけやってもしょうがないので、少し広げられれば広げたいと思っている。
――グローサラントのような新しい食生活の提案はするのか。
岩崎 お客様の変化に基づいて小売業自体も変わっていかなければいけないと思うが、グローサラントについては、まだ定義も定まっていない。ライフでも、押上店では、惣菜と一緒に店で飲食してもらえるようにしている。ニーズがあるお店については、イートインを拡大することもある。
来年改装しようとするお店は、少しそんなことも入れながら、やっていこうと思っている。まだ、レイアウトは練っているが、関西でやろうと思っている。
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