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セブンイレブン/永松社長が語る「飽和市場論を破る」商品政策

セブンイレブン/永松社長が語る「飽和市場論を破る」商品政策

経済産業省が開催する「新たなコンビニのあり方検討会」では、人口減少などを受け、コンビニ市場は飽和しているとの指摘があった。一方で、セブンイレブンの永松文彦社長は、「飽和は、まったく考えていない」と語る。人手不足など加盟店を取り巻く環境が厳しさを増す中、どう飽和を克服するのか。出店政策や商品政策はどう変化するのか、永松社長が語る。

「店舗数」「1店あたり売上」はまだ伸ばせる

――24時間営業問題に関連して、コンビニ市場の飽和論が出ていますが。

永松 最近、飽和理論が出ていますが、私は飽和の概念には2つあると思っています。一つは、「店舗数の問題」、一つは「1店あたりの売上の問題」です。1店あたりの売上は、地域にあった品ぞろえをすることで、飽和は克服できると思います。その地域にあった、ニーズを提供できるかという問題です。

いかに差別化するか、小売業としてお客様のニーズにきちっと答えていくかをやり続けることで、飽和はないと思っております。オーナー様意見交換会の中で、オーナーさんに向けて、「飽和というのは、まったく考えてない。我々が努力し続けることで、飽和ということを変えていきます」とお伝えしております。

――店舗数の問題はどうですか。

永松 コンビニエンスストアは5万店を超えていますから、いままで通りには行かないと思います。スクラップアンドビルドをきちっとやって、不採算店を売上が高いところに、きちんと移すことをまず第一にやります。

出店は、オフィスビルの中、駅、大学、病院、他業態とのコラボなど、今まであまりやらなかったところを考えています。新たなニーズがあるところを開発することで、飽和という概念を変えていけると考えています。

――他業態とのコラボではどんなことを考えていますか

永松 例えばグループには、デニーズなどがあり、一緒に出店する可能性はあります。違った業態と一緒にやることでお互いに集客力を高めるやり方があります。

――客数減への対応策はありますか

永松 それぞれの地域や個店のニーズにあわせた品ぞろえをすることが、いままで会社政策として弱かった。これを強化することで、いままで来店されなかったお客様が、来てもらえると思います。これによって、客数増を図ります。

個店に合わせた品ぞろえが売上増加の鍵

――地域にあったニーズの提供で、具体的な施策を教えてください。

永松 ワンフォーマットを展開することが、今の世の中にあっていない反省を踏まえて、麴町駅前(千代田区)のトレーニングストア(直営店)を改装しました。麴町の商圏にあった品ぞろえとして、例えば、ワインは5000円の商品も展開しました。するとワインの売上が2倍になりました。

<麴町駅前店のワイン売場>
セブンイレブン永松社長

また北海道では、北海道プロジェクトというのをやっています。いま日本で地区別に一番客単価が高いのは、実は、北海道の北見地区で、北見と釧路が最も高くなる。逆に最も客単価が低いのは、意外ですが、千代田であり、銀座です。北見や釧路は、エリアの店舗数が少ないため、1回に買っていただける量が、多い傾向があり、スーパー的に使っていただけるお店になっています。

例えば、大容量の珍味やお酒も品そろえしています。全体の品ぞろえアイテム数も増やしています。まだ始めて1週間ですけど、売上も伸びてきています。

――2019年秋の商品展示会では、立地別の品ぞろえを打ち出していましたね。

永松 「事業所立地」「街道立地」「住宅立地」といった立地別品ぞろえは、秋の展示会からやっています。例えば、街道型立地では、ドライバーが非常に多いですから、軍手などの売上が非常に高い。事業所立地ですと、女性の方もプロテインを買ったりして、健康食品が良く売れる。また、住宅立地ですと、ミニスーパー的な商品が売れます。そのため、立地に合わせて売れる商品の品ぞろえを増やしています。

統一的なワンフォーマットではなく、エリア別、立地別の品ぞろえをしています。マネジメントにおいても、品ぞろえにおいても、こういうやり方をとっていく。これが、今後2万店の売上を上げていくためのポイントだと思っています。

――商品の販売方法にも変化はあるんですか。

永松 いままで成長過程の中で、メーカーさんやベンダーさんと協力して作ってもらった差別化商品を売っていくことで、セブンイレブン全体の売上が上がったり、価値観が上がったりしました。例えば、セブンカフェなどがそうかもしれません。

でも、売れる商品というのは、やはり個店ごとに、エリアごとに相当違います。いままでは、差別化商品を徹底して売り込むということを成長エンジンとしてきました。今後は、商品を全店で売っていこうではなくて、その個店にあったものをどう売っていくかにコミュニケーションの仕方を変えていこうと考えています。

麴町、会津若松、北見、千代田で売れるものは全く違います。それをひとつの商品を切り口に売っていこうというやり方が、エリア、エリアで、合わない部分が多くなっています。このエリアでは、このお店では、どうしていくんだというやり方に変えていきたいと考えています。

ボトムアップのマネジメントでエリア主体の店舗運営めざす

――エリア別、立地別の品ぞろえをするために、どんな施策がありますか。

永松 これまでは、トップダウンでワンフォーマットを展開してきました。これからは、それぞれのエリアで、物事を考えていくことが必要で、ボトムアップ、権限移譲を進めることが必要です。

――ボトムアップにするための施策を教えてください。

永松 お客様のニーズがそれぞれの地域で非常に違います。北海道の北見と銀座、千代田の客単価は倍違います。これを一つの方針や、政策の下にやると、合わない部分が相当出てきます。これを踏まえると、商売や品ぞろえのあり方が、変わってくるため、ワンフォーマットでやってもうまくいかない部分が出てきます。

それぞれのエリアで、あったやり方で考えていくために、マネジメントのやり方も変えていきます。そのため、経営陣が各エリアにいって、情報の共有化、方針の理解、共有化を進めます。それぞれのエリア、エリアで、ものごとを考えていくようにします。

――スピードが求められる時代にボトムアップでは、組織運営のスピードが遅くなりませんか。

永松 スピードという点では、タブレット端末を活用することで、情報の正確性とスピードがより高まり、ボトムアップでスピードが遅くなることが補えると考えております。それぞれのエリアのゾーンマネジャーが中心となって動きますから、スピードという点では、遅くなることはないと思います。正確性とか情報の共有度は圧倒的に高まると思っています。

今、商品部のマーチャンダイザー(MD)が、いままではお店のパソコンなどに静止画で、届けていた情報を動画で流せるようにしました。それによって、MDがしゃべった言葉が、直接、オーナーさんに伝わり、パートさん、従業員さんも、それをいつでも見れる状態にしています。情報が早く伝わるだけでなく理解も深まると考えています。

セブンイレブン永松社長

――地域を重視することで成長するとのことですが、地域商品は増えるのですか。

永松 基本的に東京で開発した商品を地域で販売していますが、地域で開発した商品を「地域商品」と呼んでいます。それが比率的に、いまデイリー商品で3割から4割になっています。この比率はどんどん高まってくると思います。何年先は分かりませんが、5割くらいになると思います。5割を目指しているわけではありませんが、各地域のニーズに合わせて作っていこうと思ってます。

――東京で商品開発をする体制に変化はあるのですか。

永松 基本的な組織は変わりません。やはり、共通でやった方がいいものは、数多くあります。オーナー様意見交換会の中でも「強い本部であって欲しい」という声を頂いております。強いというのは、強権的なという意味ではなくて、商品開発など、いろんな面でより良い物をやって欲しいという意味での「強い本部であってほしい」ということです。そのためには、全国でやった方がいいものは、当然あると思っています。

――最後に、加盟店と本部はどんな関係であるべきと考えますか。

永松 オーナー様意見交換会で、フランチャイズは二人三脚ですと申し上げました。本部と加盟店が努力して、よりレベルの高い店を作って、お互いに良くなっていく関係であるべきです。言葉だけでは、誤解があるかもしれませんが、フランチャイズ関係というのは、お互いの役割分担を徹底することだと思っております。これによって、強いチェーンができあがると私は思います。40年間の歴史の中で、それをずっと信じてやっております。これは、(創業者の)鈴木から教わったことでもあります。

■永松文彦(ながまつふみひこ)氏のプロフィール
1957年1月3日生まれ
略歴
1980年3月:セブン-イレブン・ジャパン入社
2000年9月:オペレーション本部ゾーンマネジャー
2004年5月:執行役員業務本部長代行
2005年5月:執行役員業務本部長
2012年1月:執行役員オペレーション本部ゾーンマネジャー
2014年2月:執行役員企画室付
2014年3月:ニッセンホールディングス代表取締役副社長
2015年3月:セブン&アイ・ホールディングス執行役員社長付
2017年5月:同社執行役員人事企画部シニアオフィサー
2017年12月:セブン-イレブン・ジャパン執行役員人事本部長
2018年3月:セブン&アイ・ホールディングス執行役員人事企画本部長
2018年3月:セブン-イレブン・ジャパン取締役人事本部管掌
2019年3月:セブン-イレブン・ジャパン取締役執行役員副社長、営業本部長兼オペレーション本部長、決済・アプリ利用促進プロジェクトリーダー
2019年4月:セブン-イレブン・ジャパン代表取締役社長

■セブンイレブン/永松社長が語る「コミュニケーション改革」最前線
https://www.ryutsuu.biz/column/m010007saizen.html

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