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ポイントサービス市場/2018年は5.3%増の1兆8930億円に拡大

2019年07月19日 15:50 / IT・システム

矢野経済研究所は7月17日、国内ポイントサービス市場に関する調査結果を発表した。調査によると、2018年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は1兆8930億円(前年比5.3%増)と推計した。

<ポイントサービス国内市場規模推移と予測>
ポイントサービス国内市場規模推移と予測

ハウスポイントの発行の広まりに加え、複数の共通ポイントを導入する事業者の増加に伴って、マルチポイント化(1社で数種類のポイントを発行)が進んで、今後、ポイント発行額は拡大していくと考える。こうしたことから、2019年度の市場規模は1兆9958億円(5.4%増)になると予測する。

共通ポイントとハウスポイントの双方を発行する取組みや、導入していた共通ポイントを乗り換える事例も出ており、ポイントを巡る環境は変化しつつある。

注目トピックとしてマルチポイント化の進展がある。まず、共通ポイントとハウスポイントを併用する取組みが拡大している。

ハウスポイントと合わせて共通ポイントを導入することで、ハウスポイントのみを発行する場合よりも、ユーザのポイントカードの提示率を向上できるなどの効果が得られる。これにより、共通ポイントを導入した事業者は、ユーザの属性情報や、来店のタイミング・頻度の把握がより容易となる。

一部の加盟店では、一度の購買機会でハウスポイントと共通ポイントの双方を付与している。これらの企業はポイントを手厚く付与することで、ユーザにお得感を与えてポイントカードの提示を促し、会員の情報を収集しやすい体制を構築していると考えられる。

■コンビニではマルチポイント化が進行

コンビニエンスストアでもマルチポイント化が進んでいる。小売業者などで、複数の共通ポイントを導入する事業者が増加している中でも、特にコンビニエンスストアでの動向に注目が集まっている。

これまでは、複数の共通ポイントを導入しているコンビニエンスストアは、ローソンのみだった。しかし、ファミリマートが、2019年11月より新たに楽天スーパーポイントとdポイントを導入することを発表した。店舗では、従来から導入していたTポイントを含め、3種類の共通ポイントが利用できるようになる予定だ。

多くのコンビニエンスストアが複数の共通ポイントを導入すれば、消費者は購買時の共通ポイント付与を当たり前と捉えるようになるだろう。その場合、共通ポイントを採用していないコンビニエンスストアでは、来店客数が減少する可能性がある。

そのため、ハウスポイントを発行しているコンビニエンスストアにおいても、今後、共通ポイントの導入やマルチポイント化が進んでいくと想定できる。今後のコンビニエンスストア各社における、共通ポイントを巡る動向に注目したい。

2023年度には国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は2兆4,332億円に至ると予測する。ハウスポイントの発行の広まりに加え、複数の共通ポイントを導入する事業者の増加に伴って、引き続き市場は拡大していく見通しだ。

ハウスポイントを発行する企業は、従来通りポイント付与による販促や、ID-POSを用いた顧客分析から個客マーケティングの実施に結びつける取組みを進める見込みだ。ハウスポイント発行事業者が、自社の独自ポイントを共通ポイントと交換できるようにして、ポイント交換先を拡充することも考えられる。

共通ポイントを導入する企業では、1社で複数の共通ポイントを発行するケースが益々増えていく。多くの加盟店で共通ポイントを使用できるようになれば、会員にとっては、購買時の共通ポイントの付与が当たり前となる。そのため、共通ポイントサービス提供事業者には、追加のポイントや特典の付与、スマートフォンアプリの機能拡充など、ポイントサービスの付加価値向上が要求されることとなる。

調査は3月~6月、ポイント発行事業者や共通ポイントサービス提供事業者、ポイント交換サービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント関連ソリューションベンダ等を対象に、専門研究員による直接面接取材、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用して実施した。

調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業やグループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージなどを対象とし、市場規模はポイントの総発行額を指す。ポイントサービス、共通ポイント、ポイント交換サービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイントソリューションを調査対象とした。

ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、キャッシュレスアプリ等)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント等が含まれる。

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