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ファミリーマート/「リテールメディア事業」5年後100億円の利益目標

2023年07月07日 16:30 / 販促

ファミリーマートは7月7日、リテールメディア事業において3年後に税引後利益で50億円、5年後に100億円を目指すと発表した。

<デジタル戦略説明会>

都内の本社で「リアルリテールの逆襲」と題して開催したデジタル戦略説明会で、細見研介社長(写真左端)が、明らかにした。細見社長は、「コロナの3年間、お客さんが外に出てこない中でリアルリテールは苦しんできた。一方で、この間、我々は着々と投資をして、リアルにデジタルを取り込みことで、顧客とより深くつながっていく、店舗をカスタマーリンクプラットフォーム化することに注力してきた」と述べた。

また、「リテールメディア戦略というものの一番根本にある哲学は、店舗の再定義にある。店舗をカスタマーリンクプラットフォームという言葉に変えて、顧客といかにつながっていくのか。リアルの店舗にプラスデジタルでいかにつながっていくのか、というところが、この戦略の核心だ。一旦デジタル勢に食われていたリアルのリテールの領域というものが、再びリアル勢がデジタルを取り込むことによって非常に活性化していくということの意味を込めて、逆襲という言葉を使った」と説明した。

<リテールメディア領域への投資>

これまでリテールメディア領域への投資として、2019年にファミペイや金融事業を担う「ファミマデジタルワン」に約200億円、2020年にデータ収集・分析を行い広告代理店機能を持つデータ・ワンに約50億円、ファミリーマート店舗にデジタルサイネージを展開するゲート・ワンに約200億円を投資している。

<リテールメディア戦略の概要>

デジタルサイネージなどを活用し、店舗をメディア化するとともに1500万ダウンロードを超えるファミペイなどのデジタル接点を通じて、お客に寄り添った快適な買い物体験を実現。また、来店前のデジタル広告やプッシュ通知、店内でのデジタルサイネージによるコンテンツ配信、来店後のクーポンアンケートなど横断的に買い物体験を向上させる取り組みを行うことで、単品管理の概念を打ち破る新たなマーケティング手法の確立を目指す。

<ファミペイアプリの機能>

ファミリーマートデジタル・金融事業本部の国立冬樹デジタル事業部長は、「ファミペイアプリは、クーポンのような商品販促機能とロイヤリティプログラムを提供しており、便利な買い物体験を提供している。実際、ファミリーマートで展開するキャンペーンについて、来店客の40%~50%がアプリから知るという調査結果もあり、外部メディアに匹敵するメディアに育っている」とファミペイアプリの現状を解説した。

また、ファミリーマートのファンコミュニティを形成するプラットフォームとして、アプリが機能しており、ファミペイアプリ会員の買い物は、一般客と比較して、2倍~3倍という実績もあるという。こういったファン育成のプログラムをファミペイパートナープログラムと称していて、今後、パートナー企業へ、ファン育成プログラムを提供する予定だ。

<ファミペイアプリの活用場面>

また、ファミマデジタルワンの中野和浩社長(写真右端)は、「将来的には、ファミペイアプリが持つ金融機能を通じて、お客様一人ひとりに合わせたサービスを提供し、カスタマーリンクプラットフォームとしての役割を果たしたい」と述べた。

<デジタル広告とファミリーマートビジョンの効果>

データ・ワンの太田英利社長(写真左から2人目)は、デジタル広告とファミリーマートビジョンの相乗効果について、「デジタル広告に接触した人、ファミリーマートビジョンに接触した人、それぞれの購買数を見て、かつその双方に接触した人の購買数をデータで測ると、両方接触した人の購買数は、それ以外の倍に近い数値が出ている。これは、当初から予想されたことではあるが、データで検証されたのは非常に強みではないかと考えている」と効果を説明した。

また、データ分析の特徴について、「従来のデジタル広告は、検索連動の側面が強かったが、当社は、実際の購買データを活用している。購買データは、お客様のライフスタイルを反映しており、効率的に広告が出せる。一方で、新たな発見や出会いは、減ってしまうので、そういったところは、サイネージなど他のソリューションと組み合わせるのが大切だと思う」としている。

<ファミリーマートビジョンの設置計画>

さらに、ゲート・ワン取締役の速水大剛COO(写真右から2人目)は、「デジタルサイネージについては、今年末までに1万店舗に拡大し、最終的にはファミリーマート全店に設置する目標は変わっていない。1日1500万人が来店するリアルな接触機会があるため、デジタルサイネージから投資をはじめた理由だ」と述べている。

ゲート・ワンの調査では、ファミリーマートビジョンのメディア視認率は65%~70%前後となっている。速水COOは、「これまでのサイネージが人を待つサイネージであるとするのであれば、ファミリーマートビジョンは人を呼び寄せるサイネージを目指していきたい。実際に、ファミリーマートビジョン設置店舗と未設置店舗を比較すると、設置店舗の方が1日当たりの来店客数が2.3人多いというデータも出ている。これをもっと増やしていくことによって、多くのお客さんにも楽しんでいただき、店舗に足を運んでいただきたい」と意気込みを語った。

細見社長は、「このメディアが店内につくと、お店のスタッフさんが非常に楽しんでいる。レジの上につくということで、レジ待ちしているお客様がそちらを見るので、スタッフさんの方にはあまり注意がいかない。少し待ち時間は、イライラするものだが、そのイライラが解消されてスタッフさんの精神的な負担の軽減につながっているという副次的な効果が出ている」とファミリーマートビジョンの現状を紹介した。

経営におけるデータと情熱の使い分けについて、細見社長は、「僕は、失敗と成功というのに分けて考える必要があるなと思っていて、データをよく見てデータをよく分析して、それを活かすのは成功するためじゃないし、失敗しないためだろうなと思っています。成功というのはやはり一歩先を行く。やはり情熱やひらめきみたいなものがないと、成功にはつながらないのではないか。それ(成功)はもう将来だからだと思っています」と答えた。

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