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ワークマン/東急百貨店吉祥寺店に「#ワークマン女子・WORKMAN Shoes」複合店出店

2022年10月14日 18:00 / 店舗レポート

ワークマンは10月14日、東京・吉祥寺の「東急百貨店吉祥寺店」5階に「#ワークマン女子×WORKMAN Shoes東急百貨店吉祥寺店」をオープンした。ワークマンとしては悲願のデパート内の初出店となる。

<ワークマン女子>
ワークマン女子

#ワークマン女子は2020年10月16日、横浜「桜木町駅」前の商業施設「コレットマーレ」に1号店をオープンした新業態。これまで全くワークマンに来店しなかった高感度なインスタ世代の女性をワークマン路面店に送客することを目的に開発した女性向け店舗。

<WORKMAN Shoes>
WORKMAN Shoes

また、「WORKMAN Shoes」は2022年4月1日に大阪の「#ワークマン女子なんばCITY店」の真向いに1号店を出店した新業態。アウトドアシーンやスポーツシーン、さらに日常使いまでできる高機能(撥水や防水機能など)を搭載した靴が市場価格の3分の1から5分の1で買えるワークマンの靴製品の特徴を生かし、独自の商品開発と品揃えをしている。

6月15日には、「#ワークマン女子」サンシャインシティアルパ店の真横に「WORKMAN Shoes」池袋サンシャインシティアルパ店を出店し、両店とも実質的な複合店舗となり、売上が好調なことから、東急百貨店吉祥寺店では、当初から両店の複合店舗の形式で出店した。

<東急百貨店吉祥寺店>
東急百貨店吉祥寺店

デパート出店の狙いは、「#ワークマン女子」店の路面店の本格的な地方展開のためにブランド力を高めておき、目の肥えたデパート顧客に通じる製品を作り、デパート内の他店と遜色のないキレイな売場を作ることの3点となっている。現状では、#ワークマン女子が出店できるのは商圏人口15万人以上の地方都市までだが、デパート出店でブランド力を高めて10万人以下に落とすことを目標にしている。#ワークマン女子のターゲット層は、20代後半から30代前半の独身女性と子育て世代だが、実際の来店客層は40代~50代が多いことから、百貨店へ出店した。

東急百貨店吉祥寺店は、6月に開店した池袋サンシャインシティアルパの複合店と同面積の都内最大級の売場を持つ旗艦店となる。レジを共通にして一体運営するが、#ワークマン女子のウェアとShoes売場は分けて展開する。デパートの新たな客層も取り込めることを期待して、初年度売上目標は5億5000万円とした。ワークマンの売上ランキングでは、池袋店、なんば店に続く全国3位の売上を目指す。

<#ワークマン女子のディスプレイ>
#ワークマン女子のディスプレイ

4月に「#ワークマン女子 なんばCITY店」は増床して「WORKMAN Shoes」の1号店を併設したが、Shoes店効果で女子店の売上が2割増加した。そのため、Shoesとウェアの相性が良く、大きな相乗効果が出ることが分かった。また、Shoesの魅力で男性客も大幅に増加した。それまで同店は女子店としては並みの売上の店舗だったが、併設後の売上はワークマン全店中の2位に浮上した。

続く「WORKMAN Shoes」の第2号店も同様に「#ワークマン女子」池袋サンシャインシティアルパ店に併設した。サンシャイン複合店の開店売上は、これまで1位だった「#ワークマン女子」第1号店の横浜桜木町コレットマーレ店と比べて45%増加した。池袋店となんば店の業績がワークマン全店舗の中でダントツの1位と2位なっているのは「WORKMAN Shoes」店との複合店効果だと分析している。

<WORKMAN Shoesのディスプレイ>
WORKMAN Shoesのディスプレイ

両店の成功で、今後は全国に出店する「#ワークマン女子」には全て「WORKMAN Shoes」店を併設する計画だ。9月1日に、和歌山市の「ガーデンパーク和歌山」の敷地内に、路面店形式複合店第1号店として、「#ワークマン女子和歌山ガーデンパーク店」を出店。9月8日に、群馬県前橋市の「前橋みなみモール」の敷地内に路面店形式複合店として、「#ワークマン女子前橋みなみモール店」をオープンした。同日には、鳥取市の「鳥取カインズモール」の敷地内に路面店形式複合店として、「#ワークマン女子鳥取古海店」を開店している。

今後、長野県佐久市の「フォレストモール佐久平」の敷地内と埼玉県加須市の商業施設に、複合店をオープンする予定で、来年3月末までに、全国で女子とShoesの複合店は8店舗になる計画だ。

<#ワークマン女子の店内>
#ワークマン女子の店内

女子とShoesの一体型店舗の業態は強力で、人口の少ない地域への出店のメドが付き始めたため、来期も併設で15店以上を出店する計画だ。商圏人口の少ない地方ほど、女性衣料とShoesの製品ラインを充実させ製品の幅を広げることが必要だが、複合店の出店フォーマットが最終的に固まってから10年で400店舗を出店できると見込んでいる。

<防水性のあるスカートを販売>
防水性のあるスカートを販売

現在、ワークマンではワークマンプラス業態で、アウトドアを意識した「FieldCore(フィールドコア)」、レインウエアを中心とした「AEGIS(イージス)」、スポーツシーンに対応する「Find-Out(ファインドアウト)」の3つのプライベートブランドを展開している。#ワークマン女子の商品も、この3つのブランドのいずれかのシリーズとして展開している。

元々、作業服という業務用・プロ向け商品がワークマンの発祥のため、商品開発でも独自の視点がある。まず、業務用商品は使い倒して、何度も買い替えるため、価格が安いことが必須となる。また、作業を前提としているため、工具などが入るポケットを必ずつけている。そのほか、商品ごとにそろぞれ必要となる機能性を備えている。

<アウター・ボトムスは全てポケット付き>
アウター・ボトムスは全てポケット付き

土屋哲雄専務取締役は、「#ワークマン女子は、子育て世代をターゲット層としている。男性の洋服にはポケットがあるが、女性の服はシルエットを優先してポケットがない服が多い。でも、子育て世代中は、『子どもをあやすちょっとしたお菓子を入れたい』『お手拭きを入れたい』といったニーズがある。こういったニーズを受けて、ポケット男女平等宣言として、#ワークマン女子の商品にもポケットを付けている」と語る。

<裾がしばれるサロペット>
裾がしばれるサロペット

機能性では、アウターでは撥水機能のほか、防風ラミネートを入れて断熱性を高める、サロペットは長靴を履いて利用することが多いので、長靴が履きやすいように裾が縛れる、レインウエアは縫製の縫い目から雨がしみこまないようにシームテープ加工をするといった機能性を持たせている。商品は、野外作業にも対応する「アウトドアシーン」(商品構成比40%)、部屋着・ワンマイルウェア・ツーマイルウェアを意識した「オフタイム(リラックス)」(商品構成比30%)、厨房やサービス業などから着想を得た「室内作業」(商品構成比30%)の3分類で展開している。

<ストレッチが高いパンツ>
ストレッチが高いパンツ

WORKMAN Shoesは、秋・冬は、ブーツ、アウトドアシューズ、スポーツスニーカー、レディースシューズ、パンプスを展開する。パンプスは、ワークマンにとって全く新しい分野だが、ここでも不動産会社で物件の内見などで、頻繁に靴を脱ぐ、あるいは、長時間接客で立っていても疲れにくいといった、仕事上で役立つ機能性を盛り込んだ商品開発をしている。

<パンプス売場>
パンプス売場

土屋哲雄専務は、「#ワークマン女子を開発する前に取り組んだWORKMAN Plusは、ワークマンの既存店のテコ入れも意識した業態で、実際に多くの既存店を転換し売上を向上させてきた。一方で、#ワークマン女子とWORKMAN Shoesは、これまでのワークマンとは違って、ファッションアパレルの世界に踏み込んでいる。ワークマンは40年以上、作業服の世界で圧倒的なNo.1という地位を確立し、WORKMAN Plusで次につながる展開をしている。#ワークマン女子とWORKMAN Shoesは、ワークマンとは異なり、既存店のワークマンへの波及ではなく、ワークマンが次の50年、60年と続いていくための基盤づくりの全く新しい新規事業と位置付けている」と新業態開発の狙いを説明している。

<土屋専務>
土屋専務

現在、ワークマンは、ワークマン既存店513店(WORKMAN Pro店1店舗含む)とWORKMAN Plus426店、さらに「#ワークマン女子」22店の計961店を展開している。一方で、現在のフランチャイズの加盟店希望者は、倍率約30倍となっている。今後も無理な出店はせず、適切な立地に適切な業態・商品を展開することで、企業としてオーガニックな成長を目指す方針だという。

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