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大手百貨店/8月売上高5社そろって減、休業・入場制限などで客数減

2021年09月01日 15:10 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は9月1日、8月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹既存店計前年同月比7.2%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店既存店計)5.9%減、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店全店計)15.6%減、高島屋既存店計(国内子会社含む)9.1%減、そごう・西武10店計11.8%減だった。

新型コロナウイルスの全国的な感染再拡大の影響により、特に月の後半客数が減少し、各社の売り上げは伸び悩んだ。

■三越伊勢丹HD(2021年3月期売上高:8160億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比4.1%減、三越日本橋本店店頭1.1%減、三越銀座店7.7%減などで、三越伊勢丹既存店計7.2%減だった。

札幌丸井三越18.5%減、函館丸井今井19.1%減、仙台三越14.3%減、松山三越76.7%減など、国内グループ百貨店計は14.1%減となり、国内百貨店計は10.4%減となっている。

全国的な新型コロナウイルスの感染急拡大や各地域への緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の適用を受け、8月中旬以降、一部店舗で混雑時の入場制限などの感染拡大防止対策を強化して営業している。

新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、外出自粛傾向が高まり、伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店をはじめ、客単価は前年を大きく上回るも、客数は伸び悩み、三越伊勢丹計・国内百貨店計は6カ月ぶりに前年売上を下回った。

顧客ロイヤリティの高いラグジュアリーブランド、希少性が高いデザイナーズブランドなど、高付加価値な商品へのニーズは依然として高く、時計、ハンドバッグなどが好調を維持。長引く巣ごもりからビールやワインなどの酒類も好調なほか、秋物衣料や服飾雑貨にも動きが見られたという。 

三越伊勢丹オンラインストア(ギフトEC含む)の売上は前年比約1.4倍と人気ブランド企画等が好調を牽引した。

免税売上は、伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店における前年8月実績の反動が大きく国内百貨店合計で前年実績を上回った。

■J.フロントリテイリング(2021年2月期売上高:7662億円)
大丸松坂屋百貨店合計の売上高は前年同月比4.3%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は5.2%減だった。

ラグジュアリーブランドの好調は継続したものの、新型コロナウイルスの全国的な感染再拡大の影響により、特に月半ば以降、各店において入店客数が減少したことにより、前年同月を下回った。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、85%増(客数18%増、客単価57%増)。

8月度の大丸松坂屋百貨店既存店計(法人・本社等の本年・過去実績を除く)は対前年比5.9%減、対前々年比33.5%減、うち国内売上高(免税売上高の本年・過去実績を除く)は対前年比6.3%減、対前々年比27.2%減だった。

■H2O(2021年3月期売上高:7391億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比15.6%減となった。内訳は阪急本店13.7%減、阪神梅田本店68.3%減、支店計8.6%減。

両本店における新型コロナウイルス感染者が多数発生したことにより、食品売場を中心に一定期間自主的に休業。特に阪神梅田本店は、19日間におよぶ食品売場の休業に加えて、建て替え工事に伴う売場面積の縮小により、売上高は大幅に前年実績を下回る結果となった。

各地での緊急事態宣言の発令、長期間におよぶ悪天候も影響し、食品のニーズが高い郊外店以外は軒並み苦戦したという。

既存店の売上高前々年対比は39%減(国内売上高35%減)と、7月から一転し、厳しい状況となった。

阪急本店は、8月2日より、大阪府にも緊急事態宣言が再発令。特に月前半は、年配層を中心に来店客数が減少した。

さらに8月17日からは、感染者が集中した地下1階食品売場と1階アクセサリー・シーズン雑貨売場を、感染防止対策強化のために臨時休業(1階は24日、地下1階は27日に営業再開)した。

100万円以上の高額品の売上も前年を下回ったが、インスタグラムによる情報発信、「WEBカタログ」の内容の充実に積極的に取り組んだラグジュアリーは前年並みの売上と健闘したという。

オンライン売上高(EC+リモートショッピングサービス「Remo Order」)は前年の約3割増と売上が拡大。ECにおいて、食品の夏みやげ提案が、WEBアプローチ強化もあり好調に推移した。

また、毎回好評の人気キャラクターとコラボした全館連動のキャンペーンMDも、EC売上も含めて好調。さらに、9階祝祭広場のイベント会場をWEB上でバーチャルショップとしても展開し、ECへの誘致などにつながり好結果となったという。

■高島屋(2021年2月期売上高:6808億円)
高島屋各店の既存店計売上高は前年同月比8.1%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた各店・および国内百貨店子会社の既存店計は9.1%減(2019年比25.6%減)となった。

8月度の店頭売上は、新型コロナウイルスの全国的な感染再拡大に加え、降雨日数増の影響などにより、前年実績を下回った。

店舗別では、全店舗で前年実績を下回ったという。

商品別売上(同社分類による15店舗ベース)では、特選衣料雑貨・呉服・美術が前年実績を上回った。

一方、紳士服・紳士雑貨・婦人服・婦人雑貨・宝飾・子供情報ホビー・スポーツ・リビング・食料品などが前年実績を下回っている。

■そごう・西武(2021年2月期売上高:4404億円)
そごう・西武10店の売上高は前年同月比11.8%減(2019年同月比27.5%減)、西武池袋本店は6.0%減(23.8%減)となった。

連日最多の感染者数を更新した、新型コロナウィルス第5波による客数減が 響いた。さらに月半ばからは関東圏店舗を中心に「混雑時入店制限」を掲げた影響もあり、全体では前年売上を下回る結果となった。

衣料品計は約25%減、婦人雑貨も約20%減。一方、高級雑貨呉服は前年売上を超え、食品も5%減を確保した。

免税売上高は約10%増(2019年同月比約65%減)、客数前比約25%減(2019年同月比約95%減)となった。

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