デカトロン/ギナール社長「スポーツへの情熱」共有する店づくり
2020年07月06日 15:22 / 経営
世界61カ国に約1700店舗を展開するスポーツブランド「デカトロン」は、5月首都圏に初進出した。機能的かつ低価格な製品で、スポーツへの参入障壁を下げ、多くの人にスポーツとの出会いを提供している。デカトロンの日本進出と今後の展開について、デカトロンジャパンのエリック・ギナール社長に聞いた。
(同インタビューは7月2日デカトロン幕張店内覧会時に行われた)
――デカトロンの特長、強みについて教えてください。
ギナール 世界中で、様々なスポーツ向けの自社製品の良さが評価されていると思います。簡単にスポーツが楽しめる製品が、手頃な価格で購入でき、新たなスポーツにチャレンジできます。社員全員がスポーツ愛好家で、スポーツへの情熱をお客様に伝えられる、情熱をシェアできる強みがあることも大きいです。
――日本進出の経緯を教えてください。
ギナール 日本では1993年、製品素材の調達を始めました。日本メーカーとのパートナーシップや、2011年他社サイトでアウトドア製品のオンライン販売を開始しました。自社公式ECを2015年オープンし、市場の反応を確かめながら、一歩一歩日本でのビジネスを拡大してきました。2019年神戸・西宮市に日本第1号店を開店、今回日本でのさらなる展開を目指し、イオン幕張(千葉市美浜区)に2号店を出店しました。
「幕張店」は、約2500m2の店内にキャンプ、ハイキング、フィットネス、サイクリング、ランニング、ウォータースポーツなど約40種以上のスポーツを初級・中級・上級と幅広くカバーし、4000モデル・1万3000点以上の商品がそろっています。
――神戸の西宮市に1号店を出したのはなぜですか。
ギナール リアル店舗の出店にあたって、関東、関西同時にプロジェクトを進めていました。阪急グループとのご縁があり、また、人口、スポーツをする人も多い西宮市は好立地だと考え、1号店を阪急西宮ガーデンズに出店しました。大阪・神戸エリアは、世界第7位スポーツ市場でもあります。幕張も同じく、イオングループの協力があり、スポーツをしている人が多く、東京は世界でも2番目のスポーツ市場でもあるため、首都圏の1号店は幕張を選びました。
――リアル店舗だけでなく、ECも強化していますね。
ギナール ECが活発なのは、現在の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあります。新型コロナウイルスの影響により、小売業そのものの変化が加速していると思います。外出自粛期間中も、オンラインの売れ行きは好調で、オンラインの可能性を大きく感じています。ただ、リアル店舗も重要で、製品をディスプレイするだけでなく、経験するという店舗の価値を提供したいと考えています。顧客とスタッフの安全対策をしながら、今後、どうやってスポーツを体験できる場所を提供できるかというのが課題ですね。オンライン、リアル店舗の2本柱の戦略で展開していきます。
――スタッフの活気あふれる接客がリアル店舗の強みですね。
ギナール 我々のスタッフは皆、スポーツ愛好家で、顧客とのつながりを重視しています。昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の中、顧客、スタッフともに安全対策を徹底した店舗運営とともに、今まで以上にスポーツをすること、アクティブに過ごすことの大切さを信じ、スポーツの価値を提供することで、皆様の健康と生活のサポートをしていきたいと思っています。
また、当社は顧客の中から、スタッフが特に強いつながりを持つ、スポーツ愛好家の方に「アンバサダー」をお願いし、デカトロンの魅力を伝える活動をしてもらっています。インフルエンサーであると同時に、本当にスポーツを愛して、楽しんでいる方ばかりです。SNSなどで当社製品とともに、スポーツの楽しさを伝えてもらっています。
――アンバサダーとのコラボによる製品開発を考えていますか。
ギナール 日本ではまだ実施していませんが、デカトロンでは、欧州、特にフランスでアンバサダーとのコラボレーションが行われています。社内、社外の情熱のある人々と製品の設計に携われるオンラインプラットフォームを作っています。私の夢は、日本でもスポーツ愛好家の皆さんとコラボした製品を作ることです。
――今後の日本事業の展望を教えてください。
ギナール 我々は、すべての人に、簡単にスポーツにふれ、楽しんでいただけるよう、革新的でリーズナブルな製品を提供しています。この幕張店でも、すべての人に新しいスポーツとの出会いがあることを期待しています。首都圏でも、これからスポーツの価値を伝えていくことを非常に楽しみにしております。
■デカトロン
1976年フランス・リールにデカトロン1号店を出店。同一店舗であらゆるスポーツの製品が手に入ることをコンセプトに創業した。1986年に初のオリジナル自転車製品を開発するなど自社開発製品をメインに販売している。現在、世界61カ国に約1700店舗を展開するスポーツブランドに成長している。スポーツごとにオリジナルブランドを持ち、100種以上のスポーツをカバーしている。2019年のグループ売上高は約1兆5000億円だった。日本では1993年大阪に素材調達オフィスを設立、2015年公式オンラインストアをスタートさせ、2019年3月兵庫県西宮市の「阪急西宮ガーデンズ」に出店した日本1号店に続き、イオン幕張に2020年5月首都圏初進出した。
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