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ファミリーマート/公取要請受け、加盟募集時の説明強化・見切り販売改善

2020年11月30日 16:20 / 経営

ファミリーマートは11月30日、公正取引委員会から加盟店募集時における勧誘方法、フランチャイズ契約締結後の加盟店との取引方法について点検・改善を行い、内容を報告することを求める旨の要請書を受領したことを受け、改善に向けた取り組みを発表した。

同社としては今回の公正取引委員会の調査結果を真摯に受けとめ、独占禁止法、フランチャイズ・ガイドライン遵守に関する社員教育を再度徹底するとしている。

2020年11月より組織ごとの研修を順次開始しており、12月には全社員を対象とした研修(e-Learning)を実施予定だ。

また、既存ルールの遵守を徹底するとともに、見切り販売への対応、店長ヘルプ制度の改善などの新たな取組を早期に進めていく。

具体的には、公正取引委員会の要請を最重要事項として認識し、部門横断的に網羅的な対応を行うため、社内タスクフォースを立ち上げた。

同社や業界として、確認の必要が高い項目について、効果的に自己点検を行うべきとの理由から、公正取引委員会の実態調査報告書が指摘する重要事項、公正取引委員会が実施した加盟者アンケートの結果を踏まえ、重点確認項目を設定した。

加盟者収益の向上、本部に対する満足度向上相談対応の強化、加盟募集時の説明、仕入れの強制、見切り販売、営業時間・労働環境、ドミナント出店などが挙がっている。

重点確認項目については、特に慎重な検証・状況把握が必要と判断し、社員アンケートを全国の営業関連部署、店舗開発関連部署に向け10月16日~22日行った(無記名、回答数408人、回答率96.9%)。

加盟者募集時の説明を強化

加盟者募集にあたっての検討期間は社内運用上、一定期間の確保を規定運用面の徹底と継続的な社員教育を実施するものとした。

<加盟者募集時の説明を改善>
加盟者募集時の説明を強化

従来より、個別店舗の収支計画は立地や競争環境、加盟者の運営体制、経営判断により大きな影響を受けるため募集時に提示しておらず、参考として立地、日商帯別の平均値を用いた損益モデルを提示していた。

今後、モデル数値の算出根拠、個別立地特性による乖離可能性について、適切な説明を行うため、説明者は一定以上の経験を持つ管理職などに限定する。また、契約書の渡しから締結まで、最低2週間以上の検討期間も確保している。

今回見直しの結果、損益モデルの内容理解のための十分な期間の確保を目的に、損益モデルの説明時期をFC契約書を渡す前に前倒しする。

人手不足の状況は、従来加盟候補者への事前説明必須事項とは規定されていなかった。今回見直しの結果、個別店舗の状況に応じて必要な説明を行う方針とした。

人手不足解消のため、同社求人サイトの無償化、人材派遣会社の紹介、短期雇用向けのマッチングサービス会社の紹介を行う。

社員アンケートでは、一部加盟者への周知不足も散見され、制度の周知を進める。

仕入れの強制をシステム・人事制度で防止

仕入れの強制に関し、キャンペーン景品厳選、季節商材の予約販売導入による売れ残り(廃棄)削減を推進。無断発注防止に向け、2020年1月より、同社社員が発注を行うには、加盟者からの事前書面依頼取得を必須した。9月から、店舗発注端末のID・パスワード管理の厳格化を実施の上、システム改修を実施した。誰が発注を行ったか、履歴を詳細に確認できる形とした。

また、2019年度から経営指導員の人事評価基準を変更。従来の担当店舗の営業成績による評価を改め定性評価(目標管理)を追加、評価割合の最大70%を定性評価とし、無断発注や自爆営業抑制に努めている。

見切り販売の新制度も2021年度中に検討

見切り販売について、見切り販売の制限は容認しておらず、社員教育による再徹底を実施する。

2020年度より、「廃棄率改善インセンティブ」(日商(主に食品)を前年比改善若しくは維持し、かつ前年比廃棄率が改善した店舗にインセンティブを支払う制度)についても導入した。

加盟者の判断による柔軟な対応を可能とし、見切り販売実施に係るオペレーション負荷の軽減を実現すべく制度の詳細設計中、2021年度対応予定だ。

営業時間・労働環境も見直し

営業時間・労働環境に関し、2020年6月より加盟者判断による時短営業制度が本格スタートしている。新制度の時短営業店舗に従来からの時短営業店舗を加えると、9月時点では合計1608店舗となっている。

さらに、加盟者の休日取得、慶弔時、体調不良時などを想定したオーナー支援制度を2019年6月から拡充している。年1日無償で運営代行し、約7300加盟者のうち、約3100加盟者が利用している。2020年度の年末年始は、需要拡大を見込み、本部社員の追加動員含め対応準備を行っている。

ドミナント出店については、加盟者が運営する店舗近隣への出店時には、優先的なフランチャイズ契約の締結機会の提供など、配慮を行う。

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