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SH東雲堂/特別清算開始、広島県内で最大手書店「フタバ図書」旧・運営会社

2022年06月08日 10:10 / 経営

帝国データバンクによると、SH東雲堂(旧商号:フタバ図書、資本金4950万円、広島市西区)は、5月27日に広島地裁より特別清算開始命令を受けていたことがわかった。

同社は、1913年9月創業、1951年7月に法人改組された老舗書店。県内業界の最大手として、各種書籍の小売りをベースにCD・DVD、ゲームなどを扱う大型の複合店舗「MEGA」「GIGA」「TERA」をショッピングモールにオープンしてきた。広島県や山口県、岡山県を中心に福岡県や愛知県、関東圏などにも積極的に出店し、60を超える店舗を展開していた。

急速に進んだインターネットの普及や活字離れなどの影響で書籍販売が振るわないなかで、店舗のスクラップ・アンド・ビルドを進めて漫画喫茶、ネットカフェを併設した店舗を拡充するとともに、新刊を扱う書店では全国で初めて中古本の買い取りを始めた。飲食店、コンビニエンスストア、フィットネスクラブのFC経営など事業を多角化し、2019年3月期には年売上高約392億800万円(同社公表分)を計上していた。

しかし、同年6月初旬に新刊の入荷停止、予約できないなどのトラブルが発生し、各方面への支払いが遅延するなど信用不安が広がっていた。同月中旬にシステム障害は復旧したものの、金融機関から決算内容に不明瞭な点があるとの指摘を受け、長年にわたって不適切な会計処理を繰り返し、実態は大幅な債務超過に陥っていることが発覚した。このため、金融機関へ借入金の返済猶予などの支援を要請し、決算内容を修正して経営実態を明らかにしていた。その後、広島市内中心部の商店街にあったフタバ図書八丁堀店、ギガ本通店などの主要店舗を閉鎖するなどの合理化に取り組む一方で、フィットネスクラブを新設するなど業況改善に取り組んでいたという。

金融機関を中心とした債権者との再建に向けた協議の結果、出版取り次ぎ最大手の日本出版販売、もみじ銀行、ひろしまイノベーション推進機構などから出資を得て、第二会社方式で事業再生を図ることとなり、受け皿会社として新たに設立されたフタバ図書などが2021年3月1日にすべての事業を引き継ぎ、再スタートした。同社は現商号に変更した後、同年8月1日にはグループ企業の6社を合併して債権債務の一本化を図って整理を進め、2022年1月11日株主総会の決議により解散していた。申し立て時点での負債は約193億142万円。事業は承継した新会社により継続されている。

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