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ニトリデジタルベース/2032年従業員1000名計画、進化したITでビジョン達成

2022年06月07日 17:00 / 経営

ニトリホールディングスは6月7日、東京都目黒区の「ニトリ目黒通り店」6階に、グループのIT・デジタル施策をけん引する子会社ニトリデジタルベースの新拠点を開設した。

<新拠点お披露目会>
新拠点お披露目会

似鳥昭雄ニトリHD代表取締役会長兼CEO(写真中央)は、「当社が掲げる2032年3000店舗・売上高3兆円というロマンとビジョンを実現するために、IT・デジタルの子会社を設立した。現在、情報システム改革室は、北区赤羽の東京本部にあるが、やはりアクセスの良いより都心の方が人材募集はしやすい。また、ニトリはTシャツ・ジーパンは禁止だが、情報システム改革室は、Tシャツ・ジーパン・スニーカーでもやりたいということもあり、別会社を設立した。現在は、350人の人員だが、3年後には700人を計画しており、人員が増えても対応できるように拠点を整備した」と新拠点設立の趣旨を解説した。

白井俊之ニトリHD代表取締役社長兼COO(写真右)は、「ニトリは、『住まいの豊かさを、世界の人々に提供する』をロマンとして、第1期30年計画(1973年~2002年)を立てた。当時、売上高1億6000万円だった会社が30年後売上高1000億円(約600倍)の規模を目指して挑戦して、1年遅れの2003年にそれを実現した。このビジョンがあったから600倍の目標が達成できた。そして、2003年~2032年に、30倍の目標である3000店舗・売上高3兆円をビジョンとした。いま、日本から世界の人々に豊かな暮らしを提供するため、住まいだけでなく、他の領域でも事業を拡大している」。

そして「現在、第2期30年計画の真っ只中にいる。そこで、製造物流IT小売業というコンセプトを打ち出した。難しいことを自分でやっていくのがニトリのDNAで、物流、商品開発、IT・デジタルの分野での自前化を図っている。IT・デジタルの部分がロマンを実現する上で、未来を創る鍵だと思っている。ニトリは商品を開発するだけでなく、その向こう側で在庫管理・品質管理やより快適な買い物環境を作る必要があり、その裏側にはデジタルがあるのが、必須の条件となっている。製造・物流・小売、これを本当に効率よくつなげて、そして未来へのビジネスをどういう風に作るのか、デジタルが重要になってきている。その中で、人材が重要であり、そのための人材を集める拠点として、ニトリデジタルベースに期待している」と述べた。

佐藤昌久ニトリデジタルベース社長兼ニトリHD上席執行役員最高情報責任者(CIO)は、「ニトリは、2032年に3000店舗・3兆円という大きな目標を掲げている。あと10年で事業規模をここまで拡大する上で、業態の確立・海外展開・顧客体験の高度化が必要となっている。ニトリは、ITも自前で構築してきた歴史がある。1996年あたりから、ニトリは社内で、システムのコーディング(コンピュータープログラムの設計・構築)も含めて、スクラッチ(一から新たに)でシステムをどんどん作ってきた。それを20数年間やり続けた結果、広いバリューチェーンを一貫したシステムで構築している、ユニークな形で進化した会社となっている」とニトリのIT・情報システムを総括した。

<人員計画を解説する佐藤社長>
人員計画を解説する佐藤社長

その上で、「現在、社員が約350名だが、これが2025年には倍の700名、2032年までに1000名になる。これは、先ほどのビジョンから逆算して、システムはどうあるべきかを考えたときに、それぞれのプロジェクトを適切なタイミングで実施するために、必要な人員として1000名という計画を立てた。また、ニトリでは、人材について、Change(変化)、Challenge(挑戦)、Competition(競争)、Communication(対話)の4つのCを重要視する『4C主義』を掲げている。IT人材についても、下請けのようなIT部門ではなく、どんどんチャレンジしていくような部門でありたい。このような高い志を持った人材を求めている」と求める人材像を説明した。

<ニトリの4C主義>
ニトリの4C主義

「さらに、ニトリのシステムの8割はスクラッチで作り上げたシステムになっている。そのため、システムの開発だけでなく、システムの運用、インフラの設計など、IT領域の全域に渡って、内製化を進めている。そのため、ニトリデジタルベースでは、DXプロジェクトマネージャー、エンタープライズ領域エンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニア、データサイエンティスト、モバイルアプリエンジニアなど、ITのあらゆる領域の人材を必要としている」と具体的に求める職種を解説した。

<ニトリデジタルベースが求める職種>
ニトリデジタルベースが求める職種

<モバイルアプリ開発に注力>
モバイルアプリ開発に注力

ニトリデジタルベースは、成果に応じて、より高い水準の報酬を可能にする報酬制度を用意した。新拠点は、IT・デジタル人材募集の拠点ともなっている。オフィスは、フレックス、リモートを始めとして、ワーク・ライフ・バランスの充実を図りながら、創造的な活動に集中できる働き方の実現を目指した。

現在、ニトリホールディングスの情報システム改革室は、札幌、赤羽に拠点があり、札幌に200人、赤羽に150人の人員を配置している。リモートワークなども普及していることを踏まえて、目黒のオフィスが稼働した後も、札幌、赤羽の拠点も稼働を継続する計画だ。

<ニトリデジタルベースのエントランス>
ニトリデジタルベースのエントランス

新オフィスのエントランスは、従来のニトリのイメージを変えた空間にすることで、このオフィスがデジタル拠点であることを想起させる演出をした。エントランスからオフィス内部への通路は、明るいグリーンのパッチワーク壁で遊び心を持たせた。

<ワークスペース>
ワークスペース

ワークスペースは88席を用意した。コミュニケーションが取りやすく、クイックに集まれることを重視した。また、パフォーマンス高く仕事をできる場所を選択できるフリーアドレス制を採用した。そのため、佐藤社長にも決まった座席はない。

<ミーティングルーム>
ミーティングルーム

ミーティングルームは3室用意した。大型ディスプレイやホワイトボードを用意、ガラス張りで解放感を演出し、圧迫感のないアクティブなイメージで、アイデアを出しやすくする。

<コンセントゥレイションルーム>
コンセントゥレイションルーム

メインのワークスペースは、解放感のある空間としたが、一方で、集中力を高めたいニーズにも対応して、コンセントゥレイションルームも用意した。生産性を上げることに特化した集中スペースに15席を配置。外のスペースとは、雰囲気を大きく変えたダークトーンで構成した。

<個室タイプのデスクを2席用意>
個室タイプのデスクの2席用意

また、個室タイプのデスクも2席用意し、その日の気分や業務内容などに応じて、同僚とコミュニケーションをとったり、逆に1人で集中して業務にあたるなど、各従業員のニーズに応じたスペースを用意した。

<カフェスペースも用意>
カフェスペースも用意

ワークスペースの奥には、気軽に休憩ができるようにナチュラル系の木目や暖色の照明を採用した。ワークスペースとは違う空間を設けることで、適度な休憩を取りやすい環境を整えた。

ニトリデジタルベースの内装・家具は、ニトリの法人部門が担当した。現在、法人向けオフィス家具を提案する法人部門の売上高は、約100億円の規模に成長している。ニトリデジタルベースのオフィスを、ニトリが考える新しいオフィスの在り方を具体的に体験できるショールームとして、法人営業にも生かしていきたいという。

■ニトリデジタルベース
本社所在地:東京都北区神谷3-6-20
事務所在地:東京都目黒区下目黒6-1-18 6階
代表取締役社長:佐藤昌久
設立:2022年4月1日
オフィス面積:958m2
収容人数:最大110名

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