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雇用調整助成金/不正受給は累計803件・799社、飲食業は最多79社

2023年11月29日 14:00 / 経営

東京商工リサーチは11月22日、第3回 「雇用調整助成金」不正受給企業調査を発表した。調査によると、全国の労働局が10月31日までに公表した「雇用調整助成金」等の不正受給の件数が、803件に達することがわかった。

公表企業数は、2度公表された4社を含め、 799社(個人企業含む)で、不正受給金額は総額243億4940万円となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用維持のため、従業員への休業手当を助成する雇調金だったが、飲食業、建設業をはじめ、不正受給の業種が広がっている。

今回は、前回調査(2023年8月31日公表分、9月発表)から2カ月で、133件が新たに公表された。10月に月次では最多の97件が公表され、時間の経過とともに不正発覚が増えている。

<雇調金不正受給公表件数・受給金額推移>

調査は、雇用調整助成金または緊急雇用安定助成金を不正に受給したとして、各都道府県の労働局が 2020年4月1日~2023年10月31日までに公表した企業を集計、分析した。前回調査は9月25日発表した。799社のうち、東京商工リサーチの企業データベースに登録された586社を対象に分析した。

産業別に見ると、サービス業他が259社で全体の44.1%を占めた。飲食業が最多の79社だったほか、人材派遣業や美容業、旅行業、宿泊業などコロナ禍が経営を直撃した業種が多かった。

また、公表時点での業歴10年未満は246社(構成比41.9%)で、全体の4割を占めた。業歴が浅く、財務体質がぜい弱な新興企業が、不正に手を染めるケースが目立つ。

政府はコロナ禍で企業の雇用維持を支えるため、雇調金の助成率と上限金額を引き上げる特例措置を実施した。緊急対応期間(2020年4月~2022年11月)と経過措置期間(2022年12月~2023年3月)に支給を決定した雇調金等は総額6兆3507億円に及ぶ。

一方で、迅速な支援実現のため手続きを簡素化した影響もあり、「申請誤り」や「不正」による支給決定取消は、2023年9月末で2263件、金額は427億2000万円に達した。各都道府県の労働局は支給申請内容の遡及調査に注力しており、支給決定取消と不正企業の公表社数は今後も増えるとみられる。

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