セブンイレブン、ファミマ、ローソン上期決算/節約志向対策・加盟店利益の確保で明暗
2025年10月21日 10:30 / 経営
大手コンビニ3社の2026年2月期第2四半期の業績を見ると、ファミリーマートとローソンが、セブン-イレブン・ジャパンを利益面、チェーン全店売上高、全店平均日販の伸びで上回った。節約志向への対策、加盟店利益の確保が業績の明暗を分けた。
セブンイレブンは客数が苦戦
2025年度上期のセブン‐イレブン・ジャパンの営業収益は前年並みの4625億7500万円、営業利益は1217億9300万円(4.6%減)、チェーン全店売上高2兆7658億5600万円(1.3%増)、全店平均日販は70万3000円(前年同期比4000円増)だった。
既存店売上高は0.8%増と前年同期を上回ったが、客数は0.5%減と苦戦している。低価格商品を押し出した「うれしい値」や、高付加価値商品では「旨さ相盛りおむすび」、「セブンカフェベーカリー」を強化したものの、客数は力強い回復に至っていない。
また、米などの原材料価格の高騰、物価上昇による販管費増で、減益を計上している。
さらに、通期業績予想は、既存店売上高・客数の回復の遅れなどから当期利益以外を下方修正している。
阿久津知洋社長は「全国のオーナーと直接対話するゾーンカンファレンスを20カ所で開催している。その中では、セブンイレブンが原点に返り、最新のCMで天海祐希さん演じる店長が言うように街の人を幸せにすることが重要だと伝えている。今後、既存店オーナーの複数店運営への挑戦を支援。新たな加盟店契約形態も来春リリースし、2027年度から新モデルで提案できるようにしたい」と説明した。
ファミマは日販・加盟店利益が過去最高に
ファミリーマートは、営業収益2605億4900万円(1.2%増)、事業利益616億6400万円(19.1%増)、チェーン全店売上高1兆6952億8600万円(3.2%増)。全店平均日販は、過去最高の59万5000円(2万2000円増)となった。
8月までで、既存店日販は48カ月連続での前年超えとなっている。
昨年度までに、工場におむすびの最新設備を導入した。今年度、大谷翔平選手が、おむすびアンバサダーに就任。有名店監修のおむすびも投入し、米飯の売り上げが拡大した。
発売1週間で300万食を突破した「ファミチキレッド」のヒットも、増収に貢献した。
細見研介社長は「増量企画、お手頃価格でお手軽サイズのめちゃうまごはんシリーズ、対象商品をセットで購入すると値引きするファミマのお得リレーなどで、インフレ時代の顧客のニーズを捉えられた。商品の価格面のバランスを取りながら、お客様の期待を超える楽しいお得を提供をしたい」と話す。
また、加盟店利益が過去最高を更新。細見社長は、「加盟店利益は、コロナ前に比べ33%増と成長している。日販は前年同期比4.1%増と過去最高を更新した。当社では顧客利便性に加えて、加盟店の効率的な営業利益拡大に注力している。人手をかけ日販を追うのではなく、省人化を進めながら、効率的に利益を稼ぐことを最重視していく」と述べた。
ローソンの日販が初の60万円台に
ローソンの営業収益6218億6000万円(8.7%増)、事業利益613億7900万円(11.9%増)、チェーン全店売上高は1兆5244億2100万円(5.6%増)。
チェーン全店売上高、営業収益、事業利益、親会社の所有者に帰属する四半期利益の全てで3年連続過去最高を更新している。
全店平均日販は60万3000円と過去最高になり、初めて60万円台に到達した。
ローソン誕生50周年を記念した「マチのハッピー大作戦」、「盛りすぎチャレンジ」、KDDIがローソンの経営に参画したことによる「Ponta パス」会員限定キャンペーンといった各種販促が功を奏した。
竹増貞信社長は「節約志向は続いているとはいえ、商品が安ければ手に取ってもらえるわけではない。盛りすぎチャレンジのような楽しいお得感、飲むマヨといったお客様がびっくりする商品開発を徹底的に追及するなど、期待を超えていく、価値を提供することが重要」と話している。
加盟店利益は、前年同期比10%超増えた。2019年度から2024年度まで、6年連続で増加している。
竹増社長は「お客様に選ばれ、来店いただき、商品を購入していただく、日販と客数がお客様の評価であると考えている。そして、必ず加盟店ファーストであること。そうでなければ、サステナブルなフランチャイズビジネスは成り立たない。当社は、コロナ禍直前の2020年2月から、加盟店利益基軸経営にかじを切った」と指摘した。
取材・執筆 鹿野島智子
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