セブンイレブン、ファミマ、ローソン/二極化するコンビニおむすび最前線
2025年11月19日 13:23 / 商品
消費の二極化が言われて久しいが、コンビニエンスストアのおむすびも価格二極化が進んでいる。この秋に発売された新商品から、コンビニおむすびの動向を追った。
セブンイレブン「相盛おむすび」がヒット
セブン-イレブン・ジャパンは9月、中具だけではなく、上部にも具を盛り付け、一口目から具材を味わえる「相盛おむすび」シリーズを発売した。
テレビCMを放映したこともあり、おにぎり分類の9月売上高は前年同月比16.1%増と伸び、米飯カテゴリー全体で2ケタ増加した。
阿久津知洋社長は「相盛おむすびで新しさを提供。10月に入っても、最も成長しているカテゴリーは米飯だ。今後も外部の知見を取り入れ、おいしさだけなく、新しさ、見栄えを意識した商品づくりを行う」と話している。
ファミマは大谷選手を起用した販促が奏功
ファミリーマートでも、おむすびカテゴリーが成長している。
2月、おむすびアンバサダーに大谷翔平選手を起用。3・8月におにぎり専門店「ぼんご」監修の新商品を発売し、それぞれ発売1週間で、おむすびカテゴリーの売上高が前年同期比20%増となった。
11月にも、「ぼんご」が監修、魚沼産のコシヒカリを使用した「ごちむすび いくらと秋鮭」(税込み320円、11月18日発売)、「ごちむすび 牛そぼろと卵黄ソース」(275円、11月25日発売)を投入する。
商品本部の木内智朗デリカ食品部長は、「おむすびは低・中・高価格帯で商品をそろえている。高価格帯のごちむすび・大きなおむすび、中価格帯の定番商品、低価格帯はのりなしや混ぜ込みおにぎりを提供。多様な商品で、さまざまな層からお客様を呼び込みたい。大谷選手を起用したキャンペーンの効果で、女性客や若年層の購入増にもつながっている」と説明している。
ローソンはプレミアムと低価格の2軸で対応
ローソンはプレミアム商品と低価格商品の2本柱で、おむすびの二極化に対応する。
2025年7~9月のおにぎり全体の売上高は前年同期比7%増、中でも低価格帯の商品を含む直巻シリーズは20%と大きな伸びを見せている。
今秋、高価格帯は「プレミアムおにぎり」、低価格帯ではボリューム満点でコスパの良い大きなおにぎり、のりなしのだしおにぎりの2軸で商品を開発。高価格帯・低価格帯の両方を強化することで、11~12月のおにぎりカテゴリー売上高は、前年同期比1割増を目指す。
低価格帯では、税込み138円の「だしおにぎり」、もち麦入り、コスパで人気の「大きなおにぎり」で価格を抑えた商品を充実させる。
一方、おにぎりの販売数は前年並みとなっており、同社では買い上げ点数を増やすため、プレミアム商品で「特別感」を強化する。
商品本部の水島史喜統括部長は「自宅では作れない高付加価値商品、特別感でまだコンビニおにぎりを買っていないお客様も取り込み、販売数を伸ばしたい」と話す。
11月11日から「おにぎり浅草宿六」店主の三浦洋介氏とコラボレーションした「プレミアムおにぎり 紅鮭ほぐし(柚子胡椒仕立て)」(税込み279円)、11月18日「プレミアムおにぎり 黒毛和牛カルビと卵黄」(322円)などを販売する。
米、のりなど食品価格が高騰する中でも、コンビニの商品におむすびは欠かせない。クロス・マーケティング5月に発表した調査でも、おむすびの購入場所1位はコンビニ(58.6%)だった。生活者のこだわり、価格、ボリューム感など多様化するニーズに対応した商品開発はこれからも活発になりそうだ。
取材・執筆 鹿野島智子
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