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高島屋/2月期はコスト構造改革推進で営業利益41億円

2022年04月11日 11:00 / 決算

高島屋が4月11日に発表した2022年2月期決算によると、営業収益7611億2400万円(前年同期比11.8%増)、営業利益41億1000万円(前期は134億9600万円の損失)、経常利益69億300万円(前期は136億3700万円の損失)、親会社に帰属する当期利益53億6000万円(前期は339億7000万円の損失)となった。

グループのブランド価値の源泉であり中核事業である百貨店は、緊急事態宣言の解除と共に売上の回復傾向が見られたが、オミクロン株の影響による消費の減速ムードを受け、依然としてコロナ前の水準には至っていない。現下のコロナ禍において、百貨店の再生はまさに喫緊の課題であると共に、収益構造の改革を断行する契機となっている。

2021年度は、2023年度を最終年度とする「3カ年計画」の初年度として、早期黒字化に向けたコスト構造改革に取り組み、百貨店売上の回復につながる品揃えやサービスなど営業力強化を進めた。組織のスリム化や業務の内製化などにより、営業費の圧縮を進め、筋肉質な経営体制の整備に取り組んでいる。また、2023年度にEC売上500億円を目指す中で昨年8月にリニューアルした「高島屋オンラインストア」は、おせち料理やバレンタイン商材などのシーズンプロモーションを中心に、好調に推移した。

国内百貨店では、前年度のコロナ影響の反動から第1四半期は増収となったが、コロナ第5波による緊急事態宣言発出の影響から昨年8月に大きく売上を落とした。同年9月末の緊急事態宣言の解除と共に徐々に人の動きが戻り、クリスマス・年末商戦にも賑わいが見られ、初商では2年ぶりの店頭での福袋販売も実施するなど、インバウンド売上を除く国内需要は、一時はコロナ影響を受ける前の2019年度の水準に近付いた。しかしながら、昨年末以降オミクロン株の感染が拡大し、まん延防止等重点措置が発出されたことにより、店頭売上の回復は力強さを欠いた。

百貨店再生に取り組む中、コスト構造改革と営業力強化を両輪で進めた。コスト構造改革では、安定的に利益を創出できる仕組みへと転換すべく、生産性向上と共に適正な要員体制の構築や外部委託作業の内製化などによる営業費削減を進めた。営業力強化では、コロナ禍を経て変化したニーズを踏まえ、お客の期待に応えるワンストップショッピングの実現に向けた品揃えに取り組んだ。

グループ総合戦略「まちづくり」のけん引役を担う商業開発業の東神開発では、千葉県の流山おおたかの森地区において「流山おおたかの森S・C」を中心とする開発や、ベトナムのハノイ市におけるタウンシップ開発事業「スターレイク・プロジェクト」に参画するなど、国内外での拠点開発・事業開発を着実に進めた。

昨年11月には流山おおたかの森駅前に複合オフィスビル「アゼリアテラス」を開業したほか、東京都目黒区に住宅施設を取得した。また、同年12月には環境に配慮した事業に使途を限定するESG債「高島屋グループグリーンボンド」を発行した。これを開発資金としたグリーンビルディング「日本橋三丁目スクエア」を開業するなど、資産の多角化に取り組んだ。これらにより、まちづくり戦略の深化に寄与すると共に、安定的な利益の創出につなげる。

次期は、営業収益4315億円(43.3%減)、営業利益175億円(325.7%増)、経常利益160億円(131.8%増)、親会社に帰属する当期利益100億円(86.6%増)を見込んでいる。

なお、2023年2月期から「収益認識に関する会計基準」を適用するため、上記の業績予想は適用後の金額となっている。

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