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イオン/3~8月営業収益・営業利益が過去最高を達成

2023年10月11日 18:40 / 決算

イオンが10月11日に発表した2024年2月期第2四半期決算によると、営業収益4兆7113億3500万円(前年同期比5.0%増)、営業利益1176億2300万円(22.7%増)、経常利益1119億600万円(17.4%増)、親会社に帰属する当期利益233億1800万円(29.3%増)となった。

営業収益から親会社株主に帰属する四半期純利益までの全ての段階利益で増収増益を計上。営業収益から経常利益までの段階利益で過去最高を更新した。

2020年度以降、営業収益から親会社株主に帰属する四半期純利益まで右肩上がりに増加。いずれも2019年度のコロナ前実績を大きく上回っている。

<吉田昭夫社長>
吉田昭夫社長

同日行われた決算説明会で吉田昭夫社長は、「上期は小売り各社が業績をけん引し、前期のコロナ特需の反動を乗り越え、好調に推移している。2019年上期では小売りが営業利益162億円・構成比19%だったが、2023年上期544億円・46%と約3倍に成長し、増益に貢献している」。

また、「物価高で生活者は、価格・商品価値により敏感になっている。プライベートブランドは独自性で若い顧客の取り込みに成功しており、PBを強化することが集客とともに、収益性を高めるため重要になっている。さらに、コロナ5類移行で、エンタメ・アミューズメントの需要を取り込み、利益を伸ばしている。不確実でかじ取りの難しい時代だが、インフレの中で、グループのスケールメリットを生かせると思っている」と述べた。

原材料価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻、円安などを原因とする物価の上昇が続き、高付加価値商品と値ごろ感のある商品への消費の二極化が顕著となる中で、全報告セグメントが増収となった。

営業利益については、主力の小売り事業であるGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業、ヘルス&ウエルネス事業では、収益性の高いプライベートブランド(以下、PB)の拡販、デジタルを活用した生産性の向上や使用電力の削減などのコストコントロールにより、また、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業では、コロナ下対比で客足の回復が進んだことから、増益となっている。

一方で、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業が減益を計上している。

GMS事業は、営業収益1兆6710億7400万円(4.5%増)、営業利益36億1500万円(前年同期より73億6900万円の増益)。

イオンリテールは、荒利益額の拡大に向けて、成長カテゴリーの売場拡大や品ぞろえ拡充を推進した。商品カテゴリー別には、衣料では、夏休みのレジャーや旅行需要に応え、浴衣や水着などを売り込んだ。

また、販売時期と価格を個別に見極めた在庫コントロールによる商品回転率の改善を進めている。

大型店では、売場の改善に加え、生産性向上による接客へのシフトなど働き方も含めた新しいモデルを導入し、荒利益率の改善を推進。食品では、トップバリュやデリカで付加価値を高める商品リニューアルを実施、また、成長領域である冷凍食品は、専門店「@FROZEN」の出店と既存売場拡大を行ったことにより、食品全体で既存店売上高は対前年同期比で3.4%増と堅調だった。

H&BC(ヘルス&ビューティーケア)では、脱マスク・外出需要の増加により化粧品が売り上げをけん引し、既存店売上高は4.0%増。ショッピングセンターにおいては、集客策、空床の削減、テナントの一時利用の拡大などに注力してコロナ下で減少した客数を回復させ、テナントからの家賃収入を改善させた。

SM事業は、営業収益1兆3538億2400万円(3.4%増)、営業利益164億8400万円(前年同期より79億3900万円の増益)。

コロナ特需後の業績下降から反転し、上期営業利益は前年の約2倍に伸びた。

特に、まいばすけっとは、都市圏の人流回復により客数が増加した。オールセルフレジ店の拡大などセルフレジ導入による業務効率化が進んでいる。データ分析による商品発注精度の向上もあり、大幅増益を計上している。

DS事業は、営業収益2004億9400万円(4.8%増)、営業利益42億4900万円(前年同期より33億6900万円の増益)。

インフレによる購買行動の変化を捉え、2020年度のコロナ特需を上回る増益となった。

独自PBや大容量商品の拡販で利益率が上昇。マテハン・DXによる効率化で販管比率も改善している。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益6137億9500万円(8.6%増)、営業利益242億6000万円(6億8400万円の増益)。

営業利益が第1四半期は減益と苦戦したが、第2四半期は増益に転じた。インバウンド需要取り込みのため、免税対応店舗を2024年2月末までに1000店舗まで増やす計画だ。

総合金融事業は、営業収益2376億5700万円(6.4%増)、営業利益216億2200万円(前年同期より108億200万円の減益)。

営業債権残高は増加したが、貸し倒れ関連費用の増加や顧客基盤拡大コストが先行し減益となった。

ディベロッパー事業は、営業収益2332億4300万円(7.8%増)、営業利益250億8700万円(前年同期より20億6400万円の増益)。

アセット活用やコスト圧縮でさらなる収益改善を図っている。また、アセアンは外需低迷などに伴う経済成長鈍化の影響を一部受けるも増収増益。中国事業も好調に推移している。

サービス・専門店事業は、営業収益4018億7800万円(6.6%増)、営業利益116億円(前年同期より56億6300万円の増益)。

アフターコロナのエンタメ需要を捉えたイオンファンタジーやイオンエンターテイメントが好調だった。収益構造改革に取り組むジーフット、ブランド力強化・MD改革を進めるコックスが増収増益となっている。

国際事業は、営業収益2547億2900万円(3.8%増)、営業利益58億1800万円(前年同期より15億1700万円の減益)。

アセアンはマレーシア・べトナムでは経済の悪化もあり営業減益。衣料・住余の需要減が見られる。しかし、中国はゼロコロナ政策の解除で客数が回復、湖北は売り上げ・利益ともに好調だった。

通期は、営業収益9兆4000億円(3.1%増)、営業利益2200億円(4.9%増)、経常利益2100億円(3.1%増)、親会社に帰属する当期利益250億円(16.9%増)を見込んでいる。

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