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プロント/おしゃれカフェとキッサカバ「二面性」でブランド大刷新

2021年04月15日 15:20 / 流通最前線トレンド&マーケティング

おしゃれなカフェ、怪しくかわいい酒場が同一店舗、驚きの変身

<新しいロゴと制服を導入>
プロント新しいロゴと制服を導入

昼と夜とで大きくギャップのある二面性のある店を作り出すため、4月1日から20年ぶりに緑と黄色のブランドカラーを白と黒に変更し、ブランドロゴマークを刷新。新しいユニフォームも導入し、新しいロゴを前面にプリントした黒Tシャツを採用した。従来のオーセンティックバーを思わせる制服に比べ、若年層向けにカジュアルさ、明るさを意識した。既存店の内装は大きくは変更しないが、新規店舗より、木目・レンガ調の既存のスタイルから白とグレーを基調にクリーンなイメージの内装に切り替えていく。

<内装も白とグレーを基調にクリーンなイメージに>
プロント 内装も白とグレーを基調にクリーンなイメージに

メニューも大幅にリニューアルし、コーヒー以外のカフェフード、「リッチストロベリーミルク」といったスイーツドリンクを拡充。サンフランシスコで行列のできるカフェSTONEMILL MATCHAから日本初上陸した「STONEMILLの抹茶バスクチーズケーキ」のほか、「生チョコオレンジモンブラン」「ベリージェリーレアチーズ」「バターサンド ソルティーレモン」といったトレンドを意識したスイーツを取り入れた。

<抹茶バスクチーズケーキ>
プロント抹茶バスクチーズケーキ

ネオ酒場のテイストを取り入れた「キッサカバ」

また、夕方からの営業は、ネオ酒場のテイストを取り入れた「キッサカバ」に変身。仕事終わりに仲間と気軽に集う酒場でありながら、喫茶店のような懐かしさやワクワク感のある、お酒とおつまみを提供する空間をプロント流に「キッサカバ」と名付けた。カフェ&バー時代にはありえなかった、のれん、ネオンサインといったインテリア、威勢のいい接客などガラッとイメージを変えている。

<のれんとネオンで昼間のカフェとのギャップ演出>
プロントのれんとネオンで昼間のカフェとのギャップ演出
※プロント提供写真

看板メニューは、サントリーの歴史を生かした洋酒サワーをプロント流にアレンジした「ザ・ニューサワー」。甲類焼酎ベースではなく、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなどのスピリッツを使用し、フルーツやコーヒーなどのフレーバーで楽しめる。特に、コーヒーを使用しながら、液色が透明な「クリア珈琲」が先行導入した店舗では人気だという。

<クリア珈琲>
プロントクリア珈琲

食事メニューも従来はパスタなどイタリアン色が強かったが、ネオ酒場の要素を盛り込み、「タコサンウインナー」「チューリップ唐揚げ」「和豚シウマイ」といったちょい飲みのおつまみのほか、喫茶店のクラシックなメニュー「カツサンド」「揚げ玉子サンド」も登場。定番の赤「ナポリタン」に加え、ペペロンチーノとカルボナーラをミックスしたような「白ナポリタン」で、締めのラーメンならぬ、締めのパスタを提案する。

<タコサンウインナーも登場>
プロントタコサンウインナーも登場

カフェメニュー開発は「おっさんは発言不可」で

「サントリーの新しいお酒の飲み方もキッサカバで楽しめます。個人的には、ザ・ニューサワーの他に、オールドの水割りを一番おいしい混ぜ方で13回転半混ぜた『サントリーオールドの水割り』がお勧めですね。クリームソーダサワーなど、喫茶店イコール昭和レトロなイメージを生かし、新たなおいしさ、楽しさを提供します。氷も店内で削っており、クオリティの高いお酒が380円からそろいます。来ていただければ、単に店の外見、ロゴやメニューが変わっただけでなく、質の違い、品質へのこだわりがわかっていただけると思います」と片山氏は自信をのぞかせる。

「夜のメニューは、既存顧客もターゲットなので40代の私が商品やネーミングなどを考えますが、カフェのメニューは、20~30代の若い女性・男性にまかせています。商品開発の際は、(若い人が意見を言いやすいように)『おっさんは発言するな!』とまで言ってます。店のコンセプトや業態開発などは、経験を積んだ人の知見とセンスが生きると思いますが、特にスイーツの20~30代向けのメニューには、同世代の感性が必要です」と片山氏は言い切る。

<新イメージキャラクター「モッシー君」>
プロント新イメージキャラクター「モッシー君」

二面性で勝負する新業態を周知するため、新イメージキャラクター「モッシー君」(英語の「mossy」苔むした、苔の生えた、ひどく保守的なから命名)も設定した。プロントの変化を斜に構えてみているキャラクターで、彼が1~2年かけて、店の変化・楽しさに気づき、変わっていく様子を店内のインテリア、SNSを通じて発信。変わることを決意したプロントの勇気と変わっていくことの大切さを明るく楽しく世の中に宣言していく。

<キッサカバで驚きと楽しさを提供>
プロント キッサカバで驚きと楽しさを提供

5月中に直営店60店舗のリブランディングを完了

今後のリブランディングのスケジュールは、4月1日以降各店舗のメニュー、制服、ロゴを刷新、4月中に直営店約60店の看板を変更する。5月のゴールデンウイーク明けからキッサカバを本格的に直営店に取り入れ、5月中に直営店全店の夜の営業をキッサカバに切り替える。FCオーナーに対してはリブランディングの効果を実際に見てもらい、数年かけて既存店約220店舗(直営店、FC計)をリニューアルする予定だ。

「まず直営店から変わります。5月中には、二面性を取り入れた直営店のリブランディングは完成する予定です。売上の伸びや話題性向上といった結果を受けて、FCオーナー様に、現在の経営はしんどいけど少し投資して、看板変えて新しいプロントについてきてくださいと呼びかけます。年内に数十店舗のFCが一緒についてきてくれればありがたいですね。なるべく最低限の投資で業態変更できるプランを作ったつもりです。改装でなく、のれんをかけ、キッチンの設備を一部変えればいけます。去年の年末オーナー様を集めて、場当たり的な脱コロナ対策ではなく、これから5~10年戦っていくため、どこの企業よりも大きな改革を準備しており、その戦略についてきてほしいと説明しました」と片山氏は話す。

<どこの外食企業よりも大きな改革を準備してきたと片山氏>
プロントどこの外食企業よりも大きな改革を準備してきたと片山氏

リブランディング店舗は、実際1月から品川店、青山店など都内約10店でテスト運営を開始。20時までの営業にも関わらず、バータイムの売上が既存店の3~4倍になった店もあり、手ごたえを感じているという。さらに、4月10日にはリブランディングの旗艦店として、「銀座コリドー店」が登場した。リブランディングした約10店は、内装は基本そのままだが、「銀座コリドー店」は大幅に改装し、新生プロントをお披露目する。

<銀座コリドー店>
プロント銀座コリドー店

今後は、新戦略の検証にも力を入れる。今回のリブランディングで、ターゲットにした20~30代の取り込み、SNS映えを狙ったメニュー・内装の評判など、一部店舗にカメラを採用し、今夏までに分析する。片山氏は「狙い通りの戦略どおりに、ターゲットが想定通りの商品を買ってくれているかを、銀座コリドー店など数店舗で夏までに検証します。業態、店舗の好調・不調の本当の理由をきちんと捉えないと、今後間違った改善策、新施策を打ってしまう恐れがあります」という。

今回のリブランディングでプロントは、顧客に新たな驚き、楽しさを提供し続けることを目指す。片山氏は「内装は大きく変えませんし、分煙でタバコが吸える店もありますし、今までの顧客の居心地が悪くなることはないと思います。プロントの変わらぬコンセプトは、働く場所の近くで一日中楽しんでいただける店舗を提供することです。カフェ&バーから二面性をコンセプトにした店になっても、昼はコーヒー、スイーツを楽しんでいただいて、夜は、がらっと楽しいお店になるので1日中プロントを使ってください。1日中使っても飽きないお店、業態をこれからも作っていきます」と力を込めて語ってくれた。

<1日中使っても飽きないお店を作っていくと片山氏>
1日中使っても飽きないお店を作っていくと片山氏

■片山義一氏略歴
大阪府出身。同志社大学卒業後、現在のサントリー酒類に入社。千葉支店、市場開発本部にて外食企業への営業を通じて、多数の業態開発に従事。世界初となる完全養殖クロマグロ「近大マグロ」で有名な近畿大学水産研究所の業態開発なども企画、開発した。2017年に社内ベンチャーで渡米し、サンフランシスコにて抹茶カフェSTONEMILL MATCHAを開業し、2018年CEOに就任。2020年4月に帰国し、プロントコーポレーション取締役に就任、2021年1月よりプロントカンパニー長(現任)。

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