流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





酒類市場/2018年は1.4%減の3兆5100億円

2019年07月18日 13:10 / 商品

矢野経済研究所は7月16日、酒類市場に関する調査(2019年)を発表した。酒類カテゴリー別の動向、流通ルート別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにしたもの。

調査によると、酒類市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2017年度が前年度比0.4%現の3兆5600億円、2018年度が1.4%減の3兆5100億円の見込みとなった。

<酒類市場規模推移>
酒類市場規模推移

市場は縮小傾向にあり、底打ちがみられない状況が続いている。市場において約3割を占めるビール類が縮小し、清酒や焼酎といった和酒についてもマイナス基調であるなど、回復の兆しはまだみえていない。

2017年6月に施行された取引基準の改正によって店頭販売価格が上がったことで、ビール類からより安価な低アルコール飲料など他カテゴリーへの流出が加速したことに加え、2018年度は夏場が記録的な猛暑であったことで、業務用チャネルを中心に需要がふるわなかったことも縮小要因となった。

低迷する清酒市場だが、海外での和食ブームとともに清酒の人気も高まっていることで、輸出については好調となっている。財務省貿易統計によると、2018年の輸出は数量ベースで9.6%増の2万5747kl、金額ベースで19.0%増の222億3200万円となっている。2010年から9年連続で過去最高を更新し、輸出金額は初めて200億円を突破した。

国別ではアメリカへの輸出が全体の3割近くを占め、そのほか、香港、中国、韓国、台湾といったアジア圏が続いている。近年は観光での来日などをきっかけに日本の食文化に興味を持つ人が増えていることから中国への輸出が増えており、2年前と比べ2.5倍の規模にまで増えている。

酒類市場は長年減少が続いており、今後もその年によって好不調のカテゴリーはあるものの、将来人口の減少と若年層を中心とした酒離れが進んでいる状況を鑑みれば、長期的に見て縮小傾向に変化はないとみる。特に、2019年度は消費税率の10%への引き上げが予定されており、軽減税率が適用されない酒類については節約の対象になりやすいことで、市場の落ち込みが一段と強まるものと考える。

主要カテゴリーではビール類の動向に注目が集まる。2026年にかけて段階的に酒税が一本化される中、メーカー各社がビールの強化に注力しており、今後も基幹ブランドを中心としてさまざまな強化策が実施されるとみる。クラフトビールにも大きな期待が寄せられている。

一方で、消費税率の引き上げにより外食を中心に全体的に消費の冷え込みが予想されるなか、酒類についても節約志向が強まるとみている。メーカー各社では新ジャンルの強化も行われており、当面はビールと新ジャンルの両面での強化策が実施されるものと考えるという。

■酒類市場に関する調査(2019年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2171

関連記事

商品 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧