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経産省/世耕大臣コンビニ8社のトップと会談「自主的な行動計画策定」求める

2019年04月05日 17:50 / 行政

経済産業省の世耕弘成大臣は4月5日、7時30分から8時10分にコンビニエンスストア8社のトップとの意見交換会を実施した。

<会見した世耕大臣>
会見した世耕大臣

冒頭、世耕大臣は、「コンビニエンスストアは全国に5万5000店以上が存在して、消費者にとって身近な買い物の場として、弁当や日常品の販売のみならず、宅急便の集荷、公共料金の支払いなどの地域に密着したサービスを提供している。さらには、地域の安全確保や災害時の供給拠点となるなど、国民生活になくてはならないインフラとして多面的な役割を担っている」と述べた。

その上で「コンビニオーナーの環境は大きく変化しており、経産省が行ったコンビニの調査では2014年に実施した調査と比べ、人手不足を感じている人が激増していること、加盟をしたことに満足していない人も増えていること、さらには、契約を更新したいという人が減少してしまった、という大きな変化が認められた」。

「調査結果の特徴として、営業時間の長さに加えて、業務内容の複雑化などを理由に従業員の確保が困難となっており、人手不足が深刻化している。また、オーナーが高齢化する中、24時間営業など拘束時間が長く、休みが取れないことなど、処遇への不安・不満やロイヤルティやコスト分担など利益分配に対する不安・不満が多く、全体としてオーナーの満足度が低下している。これからの課題を解決するための、本部のサポートやコミュニケーション強化への要望が強い」と指摘した。

「これらを踏まえて、コンビニにおいては、こうした状況にどのようにオーナーと共存共栄する形で対応し、社会インフラとしてのコンビニを維持発展させていくのか具体的に分かりやすいメッセージを出していくことが重要だ。このため、コンビニ各社においては、コンビニ持続性の観点から、あくまでも例として、従業員の確保、オーナーの処遇の在り方、営業時間などを含むチェーン運営の在り方、本部とオーナーの役割分担、本部のサポート体制やコミュニケーション手段などについて、自主的な取り組みをまとめ、行動計画として対外的に打ち出していただきたい」とお願いをした。

また、「それぞれ各社とも置かれた事業環境や経営方針が異なるので、違いを踏まえつつ、それぞれの本部がオーナーとしっかり向き合い、共存共栄のため自主的な取り組みを行うことで、国民生活のインフラとしてのコンビニの持続的な発展を実現してほしい。コンビニは日本が世界に誇るビジネスモデルだと思っている。国民生活になくてはならないインフラであるので、オーナーの不安・不満を経産省としても真摯に受け止めている。経産省としても、今後、オーナーや消費者の声も聞かせていただき、フォローアップもし、国としての支援があるのか検討していきたい」と述べた。

これに対して、日本フランチャイズチェーン協会の中山勇会長は、「今回のコンビニ調査結果で、4年前と比べて悪化していることを重く受け止めた。FC協会は1972年に設立され、その精神は、本部と加盟者との間に適正で互恵の取引関係を保持しながら、消費者の利益を増進し社会発展に寄与すると定めている」。

「この実践を図るため9項目からなる倫理綱領を定めている。この倫理綱領は、協会と会員各社の基本となる考えであり、いまなお色あせることなく、フランチャイズビジネスの基本的な考えとなっている。これまでも都度、倫理綱領に立ち返り、課題を克服してきたので、今回もパートナーである加盟店と十分な意思疎通を図って倫理綱領の実践を通し、社会の期待に応えるべく、協会は加盟各社と協力していきたい」と述べた。

コンビニ各社は、1社3分程度で報告をした。報告内容は非公開だが、各社からはアンケートの結果を真摯に受け止めるとの表明があり、「IT化などの省人化の取り組み」「24時間以外の営業への取り組み」「人材確保に向けた本部のサポートの取り組み」についての話があったという。

意見交換を終え、世耕大臣は、「コンビニは国民生活に必要不可欠なインフラであって、持続的な発展が求められる。各社においては、コンビニ経営を支えるオーナーと向き合って、共存共栄の形を実現する、それぞれの行動計画をお示しいただきたい。経産省としても有識者を交えて、各地のオーナーであったり、ユーザーの声を聞く機会を設けていきたい。国としてもコンビニの持続的な発展にむけて、よく連携をしながら、やっていきたい」と述べている。

意見交換には、セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長、次期社長の松永文彦副社長、ファミリーマートの澤田貴司社長、ローソンの竹増貞信社長、ミニストップ藤本明裕社長、セコマの丸谷智保社長、ポプラの目黒真司社長、山崎製パン・デイリーヤマザキ事業統括本部長兼営業本部長の伊達宏和常務執行役員、国分グロ―サーズチェーンの横山敏貴社長が参加。

日本フランチャイズチェーン協会の中山勇会長(ファミリー会長)も参加した。

■会談後の世耕大臣と記者の質疑応答

――本日の会談の概要は

大臣 今日はまだ初めてお会いしてアンケート結果をお見せして、情報交換をした。各社から例えば、取り組みの方向性としては、IT化、ITを積極的に利用することによって、省力化を積極的に進めているという話があった。

逆に最大手ではないコンビニチェーンからは、そもそも24時間営業ではなく、24時間営業を前提とした契約とはなっていないという事例の紹介もあった。

今日の話し合いの結果を踏まえ、これから出てくる行動計画をしっかりみせていただいて、今後、さらに、どういう形で代表を選ぶとか、いろいろ論点はあるかと思うが、オーナー側の話も伺い、最終的には深夜勤務をしているような方々を含めて、ユーザーの声も聞いて行かなければならない。

コンビニという国民にとって生活上、必要不可欠なインフラともいうべきコンビニのネットワークが、今後も持続的に維持発展できるような取り組み、政府としてそれに対してどういう支援ができるかを良く考えていきたい。

―― 一部野党がフランチャイズ法を作ってはどうかという声が出ているが

大臣 私はあくまでもフランチャイズ契約に基づいて対応すべきだと思っている。まずはフランチャイズ契約を大前提としながら、その中でコンビニの皆さんが、どういう行動計画を出してもらえるのか。そこを見させていただきたいと思う。

―― 本来は、民間企業であり企業の自主的な経営判断によるものだ思うが、大臣として要請をした根拠は何か

大臣 まずこれは当然、企業の経営に関わることであり、経営者の皆さんが自主的に判断をされることが非常に重要だと思っている。オーナーとの関係においてもフランチャイズ契約で、ウィンウィンの契約の中で整備をされていくことが極めて重要だと思っている。

ただ、今回、我々は会社を超えたコンビニオーナー皆さん全体にアンケートを取った結果、非常に持続していく上で、かなり深刻な問題があるということを、経産省としても認知をするに至った。しかも、あくまでも民間経営の問題と言いながらも国民全体にとってコンビニというものがなくてはならないインフラとなっている。

24時間営業についても、「そんなものは止めた方がいい」というユーザーもいれば、例えば深夜勤務をしている方々を中心に、「やはり24時間の店がないと困る」という方々もいる。そういう中で、民間の経営に我々が介入するのではなくて、あくまでも我々から自主的にどういう行動計画をされるのか。これは画一的なものではないし、我々からこれをやって下さいと言うつもりはない。

各社の経営環境とか、各社がそれぞれやる。今日も、各社で契約形態も違うというのが良く分かった。一方で、コンビニが持続していくことが重要だと考えているので、そういう観点から、自主的に行動計画を作っていただきたいということをお願いした。

―― 民間の判断といっているが、政府としてはどんな支援が考えられるのか

大臣 例えば、国民の広いコンセンサス、声をしっかりと聞いていくことが、ひとつ国の役割ではないかと思っている。国民がやはり納得をしないとダメだと思う。

―― 行動計画については、いつまでに取りまとめして欲しいといったスケジュールはあるのか、有識者会議を作る場合の構成メンバーはどんな人選を考えているのか

大臣 行動計画についてはあくまでも各社におまかせしたいと考えている。何か期限を切ってということは考えていない。ただ、今日、私から直接、トップにお願いをしているので、いつまでも作らないということはない。作るということについては今日、異論なく皆さんご了解をいただいたと理解しているので、一定の時期には公にしていただけると思う。経産省に報告するというよりは、まず、世の中に示していただく、オーナーさんに示していただくことが私は重要だと思う。

今後の進め方については、まだ白紙だ。できれば行動計画を見てから考えたいと思っている。どこかのタイミングでは有識者の意見も聞くような形をやりたいと思う。

■コンビニ調査2018
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/franchise2018.html

■JFA倫理綱領
http://www.jfa-fc.or.jp/particle/36.html

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