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大手百貨店/1月売上高は5社3割減、外出自粛・免税売上減響く

2021年02月01日 16:10 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は2月1日、1月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹33.2%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)33.4%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)29.6%減、高島屋29.5%減、そごう・西武26.3%減だった。

11都府県を対象に緊急事態宣言が発出され、外出の自粛により入店客数が大きく減少、福袋販売方法の変更、セールの分散開催、免税売上の大幅な減少が継続している影響などから各社の売上は約3割減となっている。

各社が力を入れているECは好調に推移。バレンタインチョコレート需要が伸びている。また、ラグジュアリー商品は時計などが健闘している。

■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比28.6%減、三越日本橋本店店頭31.4%減、三越銀座店49.9%減などで、三越伊勢丹既存店計33.2%減だった。

札幌丸井三越37.8%減、函館丸井今井31.4%減、新潟三越伊勢丹40.2%減、松山三越72.8%減グループ各社も低調で、国内グループ百貨店既存店計は27.1%減となり、国内百貨店既存店計は30.6%減となっている。

緊急事態宣言が再発出された地域の店舗を中心に、外出自粛要請の高まりや営業時間の短縮によって、入店客数は伸び悩み、国内百貨店(既存店計)の売上は、前年売上を下回った。一方で、ロイヤリティの高い顧客が多い大都市圏の店舗では、客単価が前年を上回る店舗もあったという。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、買い物の目的が明確な日本人顧客による高付加価値商品への関心が引き続き高く、宝飾・時計、婦人カテゴリーのラグジュアリーブランドのハンドバッグ・靴・財布・アクセサリーが好調。オンライン売上は、前年比約2倍と12月よりも伸長率が高く、特に店頭でも人気の高いチョコレートのイベント「サロン・デュ・ショコラ」や「バレンタイン」特集の反響が大きかった。

免税売上は、引き続き低調に推移している。

■J.フロントリテイリング(2020年2月期売上高:1兆1336億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比33.4%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は34.8%減だった。

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、クリアランスセールの分散開催など初売り体制の抜本的見直しを図った影響に加え、11都府県を対象に緊急事態宣言が発出され、外出の自粛により入店客数が大きく減少したことにより、売上高が大きく減少した。

商品別では、ラグジュアリーブランドや高級時計において前年春節期間の反動減影響を受けたものの、いずれも国内売上が前年比2桁増であったほか、美術や家庭用品が引き続き堅調に推移したという。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年94.0%減(客数99.1%減、客単価同571.4%増)となっている。

1月度の大丸松坂屋百貨店合計の国内売上高(免税売上高の本年・前年実績を除く)は対前年25.0%減。

■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比29.6%減となった。内訳は阪急本店29.9%減、阪神梅田本店44.6%減、支店計26.0%減。

緊急事態宣言が再発令されたことを受けて、1月14日以降、阪急うめだ本店・神戸阪急・高槻阪急ではレストランの営業時間を20時までに短縮。さらに16日からは阪急メンズ東京の店舗営業時間を19時までに短縮した。

外出自粛に加え、寒波による気温低下も重なり、来店客数が都心店を中心に12月よりもさらに減少。クリアランスの12月への一部前倒し、春節の実績も影響し売上高前年比は30%減、インバウント(前年比86%減)を除く国内売上高前年比も24%減と低調。特に、郊外店(前年比17%減)に比べ都心店(前年比33%減)の落ち込みが大きい。

外出自粛も背景に、ECが売上高前年比約2.1倍と高伸。新規ブランドの追加、限定品など取り組みを強化した化粧品、バレンタインチョコレートなどが牽引した。WEB決済サービス「Remo Order」は、顧客への認知が高まり、特に緊急事態宣言再発令に伴い外出を自粛されている顧客からの利用が拡がっているという。

また、期間限定イベント、話題性・希少性の高い商品は「WEBカタログ」を通しての利用も増えている。

阪神梅田本店では、建て替え工事に伴い地下1階の売場面積がさらに縮小し、食品売場面積は約2割減の状況。さらにミセス・シニア層の来店減も継続している。

阪急本店は、福袋のEC販売へのシフト、クリアランスの前倒しによる分散開催など、店頭の密回避への取り組みにより、1月2日の初売りは、開店前の顧客の行列も約2000人(前年約7500人)と少なく、落ち着いたスタートを切った。

福袋はECも奏功し前年並みの売上は確保できたが、店頭では帰省客、3世代ファミリーの姿は少なく、さらに年始の休暇が短いということもあり初売り商戦は苦戦。晴れ着姿もほとんど見受けられなかった3連休も含め、厳しい滑り出し(国内売上高前年比80%)だった。

そのような状況のなか、100万円以上の高額品の売上は、比較的堅調に推移し、ラグジュアリーは店の売上水準を大きく上回った。特に時計売場は、前年実績もクリアし売上の嵩上げに寄与している。

1月13日から地下1階、20日からは9階特設会場を中心にバレンタインが本格スタート。今年は特設会場の密回避の観点から通路幅を拡大し、他フロアのイベントスペースも活用することで、全館で前年と同レベルの品揃えで展開。特に限定品や人気ブランドの先行受注など取り組みを強化し、12月から開始しているECの受注売上も高伸している。

■高島屋(2020年2月期売上高:9190億円)
高島屋各店の既存店計売上高は前年同月比29.5%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた各店・および国内百貨店子会社の既存店計は28.4%減となった。

1月度の店頭売上は、緊急事態宣言再発出に伴い外出自粛の傾向がさらに強まったことに加え、一部店舗での営業時間短縮、初商での福袋販売方法の変更、セールの分散開催、免税売上の大幅な減少が継続している影響などにより前年実績を下回っている。

免税売上は前年比86.7%減、免税を除いた店頭売上は24.9%減(既存店計23.6%減)。

店舗別売上は、全店が前年実績を下回った。

商品別売上(同社分類による15店舗ベース)は、サービス営業を除く商品群が前年実績を下回っている。

■そごう・西武(2020年2月期売上高:6001億円)
そごう・西武11店の売上高は前年同月比26.3%減、西武池袋本店は27.2%減となった。

ふたたび発出された「新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言」を受け、対象都県店舗を中心に9店舗で営業時間を短縮。客数売上とも低水準での推移となった。

衣料品は大きく前年を割り、売上前比約45%減、巣ごもり需要を捉えて堅調を維持してきたインテリアも約15%減にとどまった。一方、高級雑貨は前年並みの売上を確保した。

免税利用売上高は約70%減、客数は約95%減となっている。

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