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UAゼンセン/正社員「単純平均6546円」昇給、流通企業7割で前年超え

2020年04月30日 11:20 / 経営

UAゼンセンはこのほど、2020年労働条件闘争の3月末現在の妥結状況を発表した。4月1日10時時点で、正社員組合員は338組合(約30万人)、パートタイム組合員は169組合(約56万人)、契約社員組合員は62組合(約2万人)が妥結した。合計384組合、約88万人の組合員の賃上げが決まった。

<前年同組合比較(比較可能な329組合の集計)>
前年同組合比較(比較可能な329組合の集計)

第2のヤマ場終了以降、新型コロナウイルス感染症が国民生活に大きな影響を及ぼす中、労働者の生活の安心と日本経済の底支え、また労働組合の社会的責任を果たすべく交渉を進めた。早期に交渉を終結した組合は前年並みかそれ以上の成果を得たものの、交渉が長引くほど厳しい交渉となる組合が多くなってきている。前年同時期に比べて妥結組合数は正社員で46組合、パートタイマーで、15組合少なくなっている。

正社員の妥結総合計(制度昇給、ベア等込)は、単純平均で6546円(2.41%)となった。全体で6割程度、特に、内需中心の流通部門で7割近くの組合が昨年を上回る妥結を勝ち取った。

■パートタイマーの昇給率は5年連続で正社員超える

パートタイマーの一人あたりの平均引き上げ率(制度昇給、ベア等込)は2.87%で前年を0.1%上回る引き上げ率となり、正社員の2.39%を超え、5年連続正社員を上回ることとなった。契約社員も2.93%と正社員を上回っている。

パートタイマー・契約社員への家族・通勤手当や休職・休暇制度などを正社員と同等にすることや一時金、退職金・企業年金の導入など、均等・均衡処遇に向けた制度整備がさらに前進した。

多くの組合で、労働時間の削減やインターバル規制導入・拡大、自然災害被災時の対応方法や病気有給休暇など休暇制度の拡充を勝ち取った。また、悪質クレーム対策をふくむハラスメント防止や受動喫煙防止・健康経営の取り組みなども進んでいる。

企業内最低賃金について、月額交渉では昨年を8組合上回る91組合が、時間額では9組合上回る45組合が引き上げを勝ち取った。

■329組合の約6割が正社員の昇給獲得

正社員(フルタイム)組合員の妥結状況では、338組合の妥結総合計(制度昇給、ベア等込)は、単純平均で6546円(2.41%)となった。前年と比較できる329組合の約6割が前年以上を獲得し、単純平均で前年を408円(0.16%)上回った。

賃金体系維持が明確な161組合の賃金引き上げ分(ベア等)の単純平均は1862円(0.70%)であり、前年同時期の1510円(0.54%)を上回った。うち、前年と比較できる156組合の単純平均は前年を367円(0.16%)上回った。

規模別では、300人未満の組合の妥結総合計額、賃金引き上げ分(ベア等)の単純平均は、額では若干下回るものの、率ではいずれも300人以上の組合を上回っている。

年間一時金は、78組合で妥結、平均で122万708円(3.78カ月)となり、前年と比較できる65組合で0.01カ月上回った。

初任賃金は高卒78組合で単純平均3450円、大卒87組合で同3129円の引き上げを獲得した。前年同時期の引き上げ額(高卒2421円、大卒2264円)を1000円程度上回る。また企業内最低賃金は、91組合で単純平均3749円の引き上げを獲得し、妥結151組合の平均は17万2934円となった。

■パートタイマー114組合が企業内最低賃金の引き上げ妥結

短時間(パートタイム)組合員の妥結状況では、169組合の時間当たり賃金の妥結総合計(制度昇給、ベア等込)の単純平均は30.3円(2.99%)の引き上げとなっており、前年同時期の28.8円(2.93%)を上回った。前年と比較できる159組合の単純平均は前年を2.2円(0.19%)上回った。

パートタイマーと正社員ともに妥結した127組合のうち、正社員を上回る賃上げ率を獲得した組合が約69%(前年同時点64%)となった。

組合員一人あたりの平均引き上げ率(制度昇給、ベア等込)は2.87%で正社員の2.39%を越え、5年連続上回ることとなった。

114組合が企業内最低賃金引き上げを妥結し、そのうち45組合で平均21円の引き上げがなされた。時間額平均は924円となった。

<正社員との総合計妥結率の比較(パートタイマーと正社員ともに妥結した127組合)>
正社員との総合計妥結率の比較(パートタイマーと正社員ともに妥結した127組合)

契約社員組合員の妥結状況では、62組合の妥結総合計(制度昇給、ベア等込)は単純平均で5770円(2.70%)の引き上げとなっている。前年と比較できる58組合の単純平均は前年を1397円(0.70%)上回る。

組合員一人あたりの平均引き上げ率(制度昇給、ベア等込)は2.93%で正社員の2.39%を越えている。

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