飲食料品小売業の倒産/1~9月188件、年間で最少ペース
2020年10月19日 15:50 / 経営
東京商工リサーチは10月16日、2020年1~9月「飲食料品小売業の倒産動向」調査結果を発表した。
新型コロナの感染が拡大するなか、2020年1~9月の「飲食料品小売業」倒産(負債額1000万円以上)は188件(前年同期比18.9%減)だった。
<食品小売業の倒産年次推移>
※出典:東京商工リサーチホームページ(以下同)
これは1991年以降の30年間で、年間最少だった2016年の255件を下回るペースで、2020年は最少記録を更新する可能性も出てきたという。
コロナ禍で在宅勤務や休校、外出自粛などによる巣ごもり特需が生まれ、「内食」「中食」が広がった。また、オンライン飲み会なども寄与したとみられ、飲食料品だけでなく、鮮魚小売業、菓子・パン小売業、酒小売業なども倒産が減少した。
4月22件(前年同月26件)以降、5月11件(同29件)、7月20件(同38件)、8月22件(同33件)、9月13件(同27件)と、倒産の減少が続いている。
4月以降、倒産は月平均19件で発生し、このペースを持続すると年間250件前後となり、この30年間で最少の2016年(255件)を下回る可能性も出てきた。
■業種別「鮮魚小売業」「各種食料品小売業」「菓子・パン小売業」減
業種別では、減少率は「鮮魚小売業」の56.2%減(16→7件)が最大。次いで、食品スーパーなどの「各種食料品小売業」が30.9%減(42→29件)、「菓子・パン小売業」が26.3%減(57→42件)、「酒小売業」が20.0%減(20→16件)と続いている。
前年同期より増加したのは、「食肉小売業」の33.3%増(6→8件)だけで、「野菜・果実小売業」は13件で前年同期と同数だった。
■負債総額は199億1400万円、2年ぶり減少
負債総額は、199億1400万円(同18.2%減)で、2年ぶりに前年同期を下回っている。
負債額別では、1億円未満が155件(前年同期比18.8%減、前年同期191件)で、全体に占める構成比は82.4%(前年同期82.3%)と8割を超え、前年同期よりも0.1ポイント上昇した。
内訳は、1000万円以上5000万円未満が122件(前年同期比24.6%減)、5000万円以上1億円未満が33件(同13.7%増)だった。
このほか、1億円以上5億円未満が24件(同22.5%減)、5億円以上10億円未満が5件(同28.5%減)と、それぞれ前年同期を下回った。10億円以上は4件(前年同期2件)と、前年同期を上回ったが、そのうち、50億円以上の倒産はゼロ(同1件)で、中堅クラスの倒産が多かったという。
■地区別増加率で四国が増加
地区別では、9地区のうち、7地区が前年同期を下回った。
前年同期比の減少率が最も高かったのは、中国の46.6%減(15→8件)。以下、近畿28.8%減(59→42件)、関東26.6%減(75→55件)、北海道25.0%減(4→3件)、中部15.3%減(26→22件)、九州9.6%減(31→28件)、東北7.6%減(13→12件)と続く。
一方、増加率が最も高かったのは、四国の800.0%増(1→9件)だった。前年同期に倒産が発生しなかった徳島で4件、高知で2件、愛媛で1件発生したほか、香川も2件(同1件)と、4県すべてで増加。このほか、北陸が12.5%増(8→9件)で増加した。
同調査は、日本産業分類の「飲食料品小売業」(「各種食料品小売業」「野菜・果実小売業」「食肉小売業」「鮮魚小売業」「酒小売業」「菓子・パン小売業」「その他の飲食料品小売業」)の2020年1~9月の倒産を集計、分析した。
■問い合わせ先
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