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UAゼンセン/23年労働条件闘争方針決定、実質賃金の向上へ賃上げ6%目標

2023年01月18日 16:23 / 経営

UAゼンセンは1月18日、大阪府立国際会議場にて第11回中央委員会を開催、「2023労働条件闘争方針」を決定した。

「産業間」「企業規模間」「働き方」の3つの格差是正を引き続き目指す観点から、賃金体系維持分プラス3.0%以上の賃金引き上げで合計6%の賃上げを目標とした。正社員組合員は実質賃金向上のため、賃金水準ごとの基準、賃金体系維持分を明確にして要求。短時間組合員についても、最低賃金が大きく上昇する中で、経験・能力を適正に評価した賃金、正社員との格差是正などに取り組む。

<松浦昭彦会長>
松浦昭彦会長

松浦昭彦会長は「これまで日本は25年以にわたり賃金が停滞し、消費者物価も大きく上がることはなかった。結果として、先進国の中で最も賃金が低く物価も安い国の一つとなった。日本は相対的に貧しい国の方向に突き進んできた、ということだ。こうした状況を脱するには何をどうするべきなのか、目下のところは、賃上げの成否に世の中の注目が集まっていることは間違いない」と強調した。

「経済活動の回復に伴い、人材不足もほぼ全ての産業・業種で強まっていることも、賃上げを必要としている。多くの産業・業種で賃金水準が社会水準を下回るUAゼンセンとしては、先ず物価上昇分(3%前後)を賃金引き上げ分として確保し、その上で格差是正を進めるために、4%程度の賃金引上げ、体系維持分込みで6%程度の賃上げを目指す。また、これから数年・数十年継続的に賃金を引き上げていくためには、その裏付けとなる生産性の向上が必要不可欠。実質賃金向上とともに、デジタルツールのさらなる活用やビジネスモデルの見直しなど、企業体質の強化を認識しつつ、労使協議に臨まなくてはならない。特にこうした対策の遅れている中小企業については、場合によっては労働組合から体質強化策の検討実施を求めるくらいの姿勢が必要ではないか」としている。

そのほか、総合的な労働条件の改善として、年間総実労働時間短縮(到達水準:年間所定労働時間2000時間未満、目標水準:1900時間未満)、人権デュー・ディリジェンス、職場のハラスメント対策、安全で健康な職場環境づくり、障がい者雇用の促進、外国人労働者の就業環境の整備などを決定した。

なお、1月19日、製造産業・流通・総合サービス部門がそれぞれ評議員会を開催し、部門ごとの闘争方針を決定。その後、加盟組合は要求を決定し、2月20日までに企業に対しそれぞれ要求書を提出する予定だ。

<郷野ITUC会長>
郷野ITUC会長

さらに、国際労働組合総連合(ITUC)の郷野晶子会長(UAゼンセン参与)が登壇。郷野会長は「企業の事業活動において、国内外のサプライチェーンを含めた人権侵害の有無を確認・改善することを求める人権デュー・ディリジェンスは欧州では、取り引きに欠かせないようになってきており、人権問題を考えない企業は欧州市場で展開できない。モラルだけでなく、経済、貿易上も不利益となる。組合員の皆さんも賃上げ交渉の中で、世界の仲間のためにも、ぜひ会社に人権デュー・ディリジェンスを守る重要性を訴えてください」と力強く語った。

■UAゼンセン
https://uazensen.jp/

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