23年春闘/流通部門は過去最高の1万4500円以上要求へ、人材確保に賃上げ強調
2023年01月12日 14:17 / 経営
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流通、外食などサービス業、製造業の労働組合から組織されるUAゼンセンは1月12日、2023年労働条件闘争方針案を発表した。同方針は1月18日の第11回中央委員会の審議を経て、正式決定される。
古川大書記長は「UAゼンセン本部方針として、賃金体系維持分プラス3.0%以上の賃金引き上げで合計6%の賃上げを目標としている。各部門の要求基準も2012年の結成以来最高額に設定した。物価高で実質賃金が低下。組合員の生活を守るため、賃上げの機運を作っていきたい」と意気込みを語った。
流通部門の2023年労働条件闘争方針案では、正社員組合員の要求基準として、賃金ミニマム未達・不明企業において、賃金体系維持とベースアップを含め、1人平均1万4500円以上を要求するとしている。賃金到達未達で総額1万3250円(5.5%)以上、賃金到達以上で総額1万2000円(5.0%)以上、短時間組合員の要求基準は、時給の60円(6.0%以上)アップを目指す。
これらの金額も2012年結成以来の最高水準となる。
波岸孝典 流通部門事務局長は、「流通業界では、コロナ特需が一段落し、人材不足が大きな問題になっている。ドラッグストアを中心に人材確保、長時間労働、コロナ禍で疲弊した現場に報いるためにも、賃上げしていこうという機運が高まっている」と強調した。
また、「期末一時金、労働時間短縮、退職金など他産業に比べ条件が見劣りする分野も多い。賃金だけでなく、総合的な待遇改善にも取り組む」としている。
総合サービス部門では、正社員組合員1人当たり平均6.0%アップを基準とし、賃金ミニマム未達・不明企業において、少なくとも1人平均1万2000円以上を要求する。短時間組合員の要求基準は時給60円(6.0%以上)増を目安とする。
原田光康 総合サービス部門事務局長は「日本の外食チェーンは、リーズナブルで高品質な食事を提供してきたが、人材面では危機的状況にある。人材確保のため、感染リスクに向き合いながら働く人たちのため処遇改善が必要だ」と説明した。
フードサービス部会では、総実労働時間目標2000時間を目標とし、時間外労働・休日労働の削減、公休の完全取得、連続勤務日の上限を12日以下とすることなどに取り組む。
製造産業部門は、賃金ミニマム未達・不明企業において(81%)、賃金体系維持分プラス3.0%以上、もしくは総額1万2000円以上を要求する。賃金到達未達(5%)、賃金到達水準以上(14%)では5%を基準とする。
UAゼンセンは2022年9月現在、2218組合(製造:920、流通:527、総合サービス:771)、組合員185万2818人(製造:18万8870人、流通:113万4497人、総合サービス:52万9440人)となっている。
雇用形態別内訳は正社員73万4827人(39.7%)、短時間社員111万7991人(60.3%)。
■UAゼンセン
https://uazensen.jp/
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