イオンリテール／シニアケアの新事業開始、2024年にEC・店舗展開

2023年09月07日 17:28 ／経営

イオンリテールは9月7日、イオンのシニアケア事業「MySCUE（マイスキュー）」を開始した。

＜事業イメージ＞

少子高齢化が加速する時代背景を見据えた取組で、家族のシニアケアや介護に携わる人を「ケアラー」と呼称し、その人々に向けた総合プラットフォーム事業を新たに展開する。ウエルネスに関係するグループ各社や取引先などのネットワークを活かし、ケアラーにとって役立つ情報・商品・サービスへ容易にアクセスできるようにするほか、会員を対象とした相談・質問の場を設けるなど、シニアケアに関するさまざまなコミュニティスペースを運営していく。

事業の第1段階として、情報サイト「MySCUE」を開設し、2024年には、オンラインのマーケットプレイスと店舗もローンチ予定。オンラインとオフラインを融合したプラットフォームで顧客体験価値の最大化を図り、2025年度には会員数30万人を目指す。

＜イオンリテールの井出社長＞

同事業にイオンリテールが取り組む意義について、井出武美代表取締役社長は「高齢者やその家族が顧客に多くいる当社がシニアケアの案内人になることで、介護やケアに対する負担や不安を軽減できると考えた。これまでは高齢者向けリハビリデイサービスを提供するなど、主にケアを受ける方にフォーカスを当てていたが、今回の事業では、ケアラーにも注目している。新たに情報サイト、マーケットプレイス、店舗の3つのタッチポイントを設け、ケアラーをサポートするだけでなく、シニアケアに対するイメージ・文化を明るく前向きに変えていく。この事業をヘルス＆ウエルネス、OMO戦略の中核になるよう成長させたい」と語った。

＜イベントブース参加企業一覧＞

ウエルネス関連のグループ企業や取引先との協業によって、新たな商品開発・サービス拡張に着手していく。その中で同社は9月1日に家事代行など家事支援事業を行うアクティアを子会社化。同社との連携について井出社長は「当然考えている。リフォーム事業との協業によって、ケアラーの困りごとを解決する新たな取組ができる可能性があり、今回もパートナー企業に入れている。ともに共創していきたい」と話す。

＜駒井チームリーダー＞

経営企画本部 MySCUE事業プロジェクトチームの駒井一郎リーダーは「マイスキューの名には、ケアラーの方々を救いたいという意味を込めた。ケアラーは今後、誰もがなりうる身近な存在。暮らしの延長線上にあるシニアケアについて、もっとスマートに話ができる世の中に変えていきたい。情報サイト立ち上げにあたり、当社の中から850人の従業員モニターを集めて意見を反映し、各コンテンツを構築した。サイトを運営しながらもケアラーの意見を収集し、2024年以降のマーケットプレイス展開に活かしていく。シニアケアを通じて、今までイオンに来ていない顧客も獲得したい」と述べた。

＜シニアケアの最新ツールを展示＞

ケアラーと対象とした情報サイトのローンチを周知するため、シニアケアに役立つイベント「ケアラー4DAYS」を開催。「イオンモール幕張新都心」（千葉市美浜区）では9月7日～10日、商品やサービス紹介を行う6つの課題解決ブースを設置する。主な内容は、要介護者の睡眠やバイタル、離床、室内環境を手持ちのスマートフォンなどでリアルタイムに確認できる介護ロボット「まもる～の」、VRゴーグルを着用して脳機能を測定し、アルツハイマー型認知症の予防につなげる「脳健康VR測定」、日産「SERENA」の車椅子乗車オプション展示など行う。シニアケアのための最新技術やサービスが学べる。

このほか、MySCUEのサイト説明や会員登録用のブースも用意。体験コーナーにワークショップ、専門家の講演会も開催していく。

＜情報サイト＞

事業開始に先立ち、9月1日に公開された情報サイト「MySCUE」では、ケアラーがシニアケアに関する情報収集に相談、悩みを共有できるコンテンツを用意。「記事検索」機能のほか、パートナー企業・専門家に意見を聞くことができる「相談・質問」コーナー、介護などの記録ツールとしても活用できる「SCUERブログ」、ユーザー同士がトピックごとにシニアケア情報の交換場として使える「コミュニティ」、専門知識を学べる「イベント」の計5つとなる。質問機能などの利用には会員登録が必要だ。

サイトで扱う記事については、まだシニアケアに携わっていない人にも分かりやすいように、抱えやすい4つの課題と、シニアケアで直面しやすい8つの課題に分類した。コンテンツは順次、拡大していく。

■マイスキュー
https://myscue.com/

■イオンリテールの関連記事
イオンリテール／30店舗に「暮らしの総合サービス」売場を導入