ユニクロ/在庫回転率が3.1回転に改善、有明プロジェクトを進化
2024年11月14日 11:22 / 経営
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ファーストリテイリングは11月13日開催した「LifeWear=新しい産業」 説明会で、有明プロジェクトの成果により、ユニクロの在庫回転率が2017年8月期の2.5回転から、2024年8月期は3.1回転に改善していることを明らかにした。
田中大 執行役員は「有明プロジェクトは、真のLifeWearをつくり続けるための進化し続ける終わりのないプロジェクト。ビジネスの成長と無駄なものを作らない、運ばない、売らないを両立することを目指している。お客様の声を起点に商品を開発、必要なタイミングで作り、運び、販売し、在庫や値引き率を改善している」と説明した。
事業の柱として販売するTシャツ、スウェット、ジーンズなど年間通して販売する商品は、2024年8月期では50品番以上と、2017年8月期に比べて3倍以上に拡大している。
田中執行役員は「年間通じて必要とされている定番商品を増やすことで、在庫処分も減っている。2024年8月期のユニクロ事業の売り上げ規模は、2017年8月期比約70%成長しているが、生産量は約50%増程度に抑えており、無駄な商品を極力作っていない。夏の長期化や暖冬により変化するお客様ニーズに対応し、今後も年間定番商品を拡充していく」と話した。
「有明プロジェクト」は、情報製造小売業の実現に向けた改革となる。顧客とダイレクトにつながり、その情報を商品化。商品を、必要なタイミングで必要な分だけ生産し、必要な場所に運び、販売するためのEnd to Endで連動するサプライチェーンの実現を図っている。
顧客の声を起点とした情報の商品化について、2024年8月期にグローバルで、ECのレビューや店舗スタッフからの情報など顧客の声を約3140万件集めた。
最近では、北米の顧客の声をもとに、アメリカンスリーブブラタンクトップやホルターネックブラタンクトップを開発。世界的なヒット商品となっている。
ユニクロ商品本部の松崎里美 ウィメンズMD部長は、「お客様の声を分析すると、当社の商品には着心地、品質、洗っても崩れないといったことが世界各地で共通して求められていることがわかった。地域ごとに要望が大きく異なると考えていたので、これは驚きだった。ブラトップも欧米ではそもそもブラジャーを着けない人も多いが、女性の胸をきれいに見せることや1枚で着られる利便性がSNS中心に高く評価された。今後もお客様の声を反映し商品開発・改良を続ける」と意気込みを語った。
また、柳井康治 上席執行役員は「サステナビリティーと事業の成長は両立させていかねばならないものだ。当社は商品を捨てないことを前提にモノづくりをしている。お客様はSNSなどを通じて、生産の背景に関する情報をたくさん持っている。当社のサステナビリティーに配慮したものづくりでお客様の信頼を得ており、採用時も当社のサステナビリティーに関する姿勢を評価して、入社を希望してくださる人財が目立っている」と述べた。
取材・執筆 鹿野島智子
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