そごう・西武/NFTマーケットプレイス6/10オープン、若年層の開拓狙う
2024年06月06日 17:43 / IT・システム
そごう・西武は6月10日、百貨店初のNFTマーケットプレイス「NFT PRODUCED by SEIBU SOGO」の実証実験を開始する。6日、メディア向けに説明会を開催した。
NFTマーケットプレイスとは、クリエイターが作成したNFT作品を出品または売却できる、デジタルアートの売買プラットフォームを指す。NFTの登場により、ブロックチェーンにデジタルアートを結びつけることで複製が困難になり、価値を担保されるようになった「NFTアート」への注目が集まっている。
一方、「NFTアート」への参入ハードルは高く、知名度の割にはまだ一般的に普及していない。そこで同社では、「NFTを媒体としたソーシャルネットワーキングの場」をコンセプトに、顧客とアーティスト双方のデジタル交流の場として、自社運営のNFTマーケットプレイスを開設。顧客接点の多い百貨店という特性を活かし、NFTアートをより多くの人に楽しんでもらうことを目指す。
実証実験について、石川淳之 eコマース部 新規事業担当は「約半年間を目安に、デジタルアートがビジネスとして成立するのか、システムが上手く活用できるか、サイトの運営が上手くいくかなどを検証する。20~30代の今まで百貨店に来たことがない若年層顧客を開拓したい。将来的には、リアル店舗に導線を引く取り組みができればと考えている。
NFTアートは、まだ一般的には不安や不信感を抱く方が多い。だが、食品やファッションなど、さまざまな体験を提供してきた百貨店への信頼感によって、お客様にも安心してNFTアートを手に取ってもらえるのではないかと考えている。アーティストの方にも、デジタルを新たな創作活動の場として提案したい」と述べた。
NFTマーケットプレイスは、6月10日午前10時に公開する。現時点での出品作品は5作家約100作品を予定しており、決済は暗号資産のみ。主な価格帯は日本円換算で1~10万円、中心価格は3~5万円ほど。
会員登録は不要で、ログインにはウォレット(仮想通貨の保管ツール)が必要。ブロックチェーンについては、他社のNFTマーケットプレイスでも流通可能なパブリックチェーン「イーサリアム」「ポリゴン」を採用した。手数料は8%を予定している。NFTの出品については、作品の二次創作が懸念されることから審査制とした。
当然、そごう・西武側の収益も暗号資産のみ。将来、適切なタイミングで売却して日本円にするという。
サイトのUIは最終調整中につき、まだ非公開。6月6日時点では、販売中のアートがランダムに表示される仕組みで、商品の画像をクリックすると決済ページに移行できる。サイト上部には、暗号資産の初心者向けに、NFTの購入に必要なウォレット「メタマスク」の利用手順を記したガイドも掲載する予定だ。
リアル店舗を持つ百貨店の特性を活かし、店舗で作品のプロモーションや提案を行うことも可能。リアルの場で販促することで、より多くの人にNFTアートの周知を図る機会にもなる。4月には西武渋谷店で、人気NFTコレクション「MetaKozo(メタコゾー)」の事前告知POPUPイベントを開催。今後もNFTアートを活用したビジネスを検討する中で、リアル店舗との接点作りを考えていくという。
■NFT PRODUCED by SEIBU SOGO(6月10日公開)
https://nft.sogo-seibu.jp/
取材・執筆 古川勝平
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