イトーヨーカドー・イオン・西友/低価格PBを強化、値下げやアイテム拡充

2025年04月08日 11:24 / 商品

イトーヨーカ堂イオン、西友といった大手スーパーマーケットは、春からプライベートブランド(以下:PB)の値下げやアイテムの拡充に踏み切った。帝国データバンクの調査では、食品主要195社は4月、計4225品目の飲食料品を値上げする。調味料・缶ビール・缶チューハイなどの値上げラッシュとなる今春、スーパー各社は割安なPBで生活者に価格訴求する戦略を取る。

イトーヨーカドーは「セブン・ザ・プライス」から20品目を投入

イトーヨーカ堂はこれまで、松竹梅のうち売れ筋や定番商品である「竹」の商品に注力してきたが、2025年度は二極化への対応として高価格帯の「松」と低価格帯の「梅」の強化を図る。「梅」の役割を担うのが、セブン&アイグループの低価格PB「セブン・ザ・プライス」だ。

<新商品20品目を投入>
新商品20品目

「セブン・ザ・プライス」はナショナルブランド(以下:NB)に比べて、安さが武器となる。例えば「キムチ鍋つゆ」(税別198円)はNBの298円よりも100円安い。ペットボトルの「烏龍茶」525ml(57円)はNBの100円に比べて43円安い。

セブン&アイは3月31日に「セブン・ザ・プライス」から20品目を発売。「餃子」20個入(298円)や「旨辛麺」66g(98円)、「3種の割れせんべい」90g(98円)などで、各商品とも価格を抑えた。

<土居仁副事業部長>
土居仁副事業部長

イトーヨーカ堂フード&ドラッグ事業部の土居仁副事業部長によると、価格を抑えるために以下の3つの点に取り組んだという。

1つ目が商品の「パッケージ」だ。多くの色を使うとコストが増すため、使う色を3色以内とした。2つ目は「物流と生産の効率」。メーカーが納品する物流センターを1カ所や2カ所に集約するなど効率化した。そして3つ目が「シンプルな商品」の設計。商品開発でのキーワードを「引き算」とし、あるべき機能をシンプルに整えた。

こうした企業努力により低価格を実現。その結果、「セブン・ザ・プライス」の売上高は順調に拡大しており、2024年度は前年度比2倍に伸びた。2025年度は20%増を目標に据える。

商品数は2024年度末(2025年2月末)時点で222アイテムだが、2025年度は約300アイテムに拡大していく予定だ。

イオンは298円ワンプレート発売や75品目の値下げを実施

イオンは展開するPB「トップバリュ」の中の低価格帯ブランド「ベストプライス」から新商品を投入。さらに75品目の値下げも実施する。

<298円ワンプレート>
298円ワンプレート

同社は4月2日に「ベストプライス」から冷凍ワンプレートを298円で発売。商品は「五目ごはんと鶏肉の黒酢あん」「チーズカレーとハンバーグ」「ペペロンチーノとトマトソースハンバーグ」の3種類(1食240g~250g)をラインアップした。

イオントップバリュ取締役商品開発本部長の高橋幹夫氏(「高」は正式にははしご高)によると、「冷凍食品のトレンドはワントレーという形で、一皿で完結型のものが人気」としており、半年以上前から準備をしていた。

サラダやデザートなど「トップバリュ」の他の商品と組み合わせても、ワンコイン(500円)以下でセットメニューにアレンジできるのも魅力だという。

<75品目を値下げ>
75品目を値下げ

さらに4月9日からは、「トップバリュ」で過去最多となる75品目を4~21%値下げする。対象商品は冷凍食品や調味料、サラダ油、ティッシュペーパー、コーヒー、ワインなど。

イオントップバリュの森常之副社長は「全商品を開発から販売まで一元管理し、グループのスケールメリットを生かした商品開発によりコスト削減ができている」と、低価格の背景を説明。「計画生産」「全量買い取り」「流通の中間コスト削減」「営業費・広告費の削減」などの企業努力を続けることで、手頃な価格を実現している。

また、値下げだけでなく、鉄道輸送の活用や現地からの直接仕入れなどにより商品の価格据え置きにも取り組んでいる。

西友は「みなさまのお墨付き」の食品など94品目を値下げ

西友は4月2日~29日、価格強化キャンペーンを全店で実施。同社のPB「みなさまのお墨付き」の食品26品目を期間限定で平均8.2%値下げする。

<売場に掲出するポップ>
売り場に掲出するポップ

値下げする食品はハム、ベーコン、ドレッシング、ツナ缶、ポテトチップスなどとなっている。

さらに使用頻度の高いナショナルブランドの日用品47品目についても平均9.1%値下げする。値下げする品目は、食品と日用品を合わせて合計94品目となる。

同社では「みなさまのお墨付き」の価格据え置きも実施する。

冷凍野菜やフルーツ、冷凍カット野菜ミックスなどの冷凍食材14品目、カフェオレなど飲料3品目、スープ付きチルド麺4品目の計21品目の価格を維持する。

同社は生活者の節約意識の高まりを受け、「業務の効率化などを進めることで価格へ還元し、少しでもお客様の家計をサポートし、生活応援の一助になりたい」としている。

値上げペース早く、冷凍食品など「加工食品」が最多に

帝国データバンクによると、2025年における飲食料品の値上げは、9月までの公表分で1万1707品目で、前年に比べて値上げペースが早まっているという。

食品分野別では、冷凍食品やパックご飯を中心とした「加工食品」が3499品目で最も多く、次いで「調味料」が3294品目、「酒類・飲料」(2089品目)と続く。同社は「飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて大幅に強まっている」と指摘する。

物価が引き続き高騰する中、財布のひもが堅い生活者を引き付けるためのPB値下げ合戦は当分続きそうだ。

取材・執筆 比木暁、鹿野島智子

セブン&アイ/低価格PB「セブン・ザ・プライス」20品目発売、売上20%増目指す

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