スーパーマーケット各社/米高騰であの手この手、麺セット弁当やもち米活用の商品も
2025年07月03日 14:42 / 商品
随意契約による備蓄米の調達が始まったものの、スーパーマーケット各社は米価格高騰に悩まされている。利益率が高く、他社との差別化を図れる総菜部門では、弁当に使う米をもち米や麺に代替したり、米よりもおかずを楽しめる商品を開発している。流通ニュース取材班が、各社の総菜売り場で見かけた取り組みを紹介する。
イトーヨーカドー・生協はパスタなど麺類を強化
イトーヨーカ堂は、米価格高騰が続く中、オリジナル総菜ブランド「ヨーク・デリ」では、極力弁当の価格を据え置くため、麺のメニューを増加。丼ものとうどんを組み合わせた弁当のラインアップを拡大し、税別399円と値ごろ感のあるナポリタン、ミートソースといったパスタ類も充実させている。
生協の店舗では、米飯類以外のメニューも拡充することで、選択肢を増やしている。麺類やベーカリーの品ぞろえを強化しており、特にコープみらいでは、通年でパスタの売上が伸びているという。
直近では、米の値上げ等でロープライスの弁当を開発できない代わりに、ボリュームのある総菜パン「カスクートサンド」を新発売した。弁当よりも安価の商品を用意することで、消費を促す狙いもある。
ヤオコーはおこわ・赤飯を拡充
また、ヤオコーの川野澄人社長は5月開催の決算会見で、「(総菜部門では)米価格高騰により、数億円単位の原価上昇のインパクトがある。お米に変わる代替品の選定は難しいが、原価上昇をカバーできる工夫をしてきたい」と述べた。
最近のヤオコーでは、白米の代替品として、おこわや赤飯を投入。もち米の「腹持ちが良い」という特性を活かし、ボリューム感を演出する。
イオンはさまざまなおかずを楽しめる松花堂弁当を開発
さらに、イオンではご飯を減らし、少量多品種のおかずを楽しめる「松花堂弁当」(698円)を開発。
<松花堂弁当>
量は食べられないが、色々なものを食べたいという生活者のニーズに対応。見た目も美しい、紅ザケ、唐揚げ唐王、店内手作りだし巻き玉子、マイタケのてんぷらなど人気のおかず盛り込んだ。
そのほか、のりの使用を控えた商品も見受けられた。
イオンリテール 南関東カンパニーは、「千葉市食育おむすびプロジェクト」と銘打った葉市の食の課題解決に向けたプロジェクトに参画。千葉県立保健医療大学がレシピの考案したおむすびを千葉・東京・神奈川・山梨85店舗で「元気豚ケチャップライス」、「イワシきんぴらおむすび」(各税込み170円)などを販売している。
<のりなしおむすびも>
レシピ考案の際は、のり価格が高騰していることも考慮し、焼きのりを使用せず仕上げたという。
取材・執筆 鹿野島智子・古川勝平・比木暁
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