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気象データで商品需要を予測、製配販を最適化/日本気象協会技師、吉開朋弘氏

2017年は、10月に大型台風の日本列島縦断があり、セブン-イレブンの連続増収記録が62か月で途切れた。

一方で、7月に東京で30度を超える真夏日が初めて11日連続となる猛暑で、梅雨明けも早かったことから、コンビニ各社では、冷やし麺、ソフトドリンク、アイスクリームが売れ、アパレルでも夏物衣料が好調だったなど、気象と小売業の業績は深く連動している。

今回、日本気象協会で商品需要予測プロジェクトを担当する気象予報士で技師の吉開朋弘氏に、中長期的な気温の予測が流通業にもたらす変化について聞いた。

<吉開朋弘技師>
吉開朋弘技師

流通業界での気象データの活用は、これまで天候に基づく発注の最適化が中心だったが、日本気象協会は4月から新たに気温の中長期予測を活用した「商品需要予測事業」を開始した。

猛暑や冷夏、暖冬など中長期的な気温を予測することで、店頭での発注という短期の視点ではなく、中長期の視点を活用して、商品の生産、配送を含めた最適化を目指す新しい事業だ。

異常気象はもはや日常、毎年、極端な天候がやってくる

毎年、異常気象という言葉がニュースになっているが、猛暑、冷夏、暖冬、寒冬といった天候が増加している。気象庁が発表している東京都の猛暑日と熱帯夜のデータを見ると、近年、顕著に天候が変化していることが分かる。

<東京の猛暑日日数の経年変化>
東京の猛暑日日数の経年変化
出典:気象庁

吉開氏は、「地球温暖化が進むなかで、東京の猛暑日は2010年以降顕著に増加している。猛暑日よりも顕著なのは、最低気温が25度を超える熱帯夜日数が増えている。100年前は、30度を超える日は数日だったが、いまは猛暑が普通になりつつある」と語る。

<東京の熱帯夜日数の経年変化>
東京の熱帯夜日数の経年変化
出典:気象庁

気象庁は1981年から2010年までの平均気温で算出した平年値という数値を発表しているが、ここ10年は平年値を超える気温が続いている。

極端な暑さや寒さは、食品やアパレルなど幅広い業種に影響をもたらすが、こういった天候は予測することができるのか。もし、予測が可能になれば、猛暑に備えて、飲料の発注量を増加させる、半袖など夏物衣料の販売を早めるなどさまざまな対応が可能になる。

<気象予測の精度は15年で30%改善した>
気象予測の精度は15年で30%改善した
出典:日本気象協会(以下同じ)

吉開氏は、「気象は温度が上がり、水が蒸発し、雲ができ雨が降るというように、物理的な原理が単純であり物理学的に未来を予測できる分野だ。きめ細かい観測網の整備やスーパーコンピューターの進化により、予測精度は過去15年で30%改善している」という。

気温は最大で6か月先を予測、食品、アパレルで活用も進む

現在、日本気象協会は数日から最大で14日間の「短期」、4週間から最大で15週間の「中期」、3か月から最大で6か月の「長期」の3種類の予測を配信している。

<気象予測の種類>
気象予測の種類

来年の夏が猛暑なのか、冷夏なのか、気になるところだが、現在の予測精度は6か月までで、2017年12月時点では、来年の7月、8月の予測はできない。

吉開氏は、「まだ6か月を超える予測は難しいが、4週間までの中期の予測の精度はかなり高まっている。中期予測や短期予測を使った生産計画を実践する食品メーカーも生まれている」という。

商品需要予測事業に先駆けて、経済産業省の支援で行った2016年の実証実験では、ミツカンが気温の中期予測を活用し、冷やし中華つゆの終売予測を行い在庫を約20%削減した。

<生産計画を変更し在庫削減>
生産計画を変更し在庫削減

実証実験では、豆腐メーカーの相模屋食料も参加し、温度のほかに天気を加えた短期予測を活用した。需要予測に基づく生産計画で廃棄ロスを約30%削減することに成功している。

商品需要予測コンサルティングの導入企業は現在、食品メーカー、食品卸、食品小売、アパレルなど10数社に拡大しているという。

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