中部フーズ/AI需要予測サービス「サキミル」活用、総菜の売上・廃棄数改善
2024年07月25日 16:48 / IT・システム
中部フーズはこのほど、ソフトバンクが提供するAI需要予測サービス「サキミル」を活用した総菜の自動発注(以下「AI自動発注」)を本格開始した。
今回の「AI自動発注」は、店舗データ(POSデータ、賞味期限などの商品情報、キャンペーン情報など)に加えて、人流や気象データを活用したソフトバンクの需要予測サービス「サキミル」で予測した来店客数をもとに、商品ごとの発注量を自動で提示するAI予測モデルを構築したもの。工場で製造する総菜約100品を対象に、製造から販売までのプロセスでの利益最大化を一つの指標とした。
そこで中部フーズ、ソフトバンク、一般財団法人日本気象協会、バローホールディングスの4者は1~5月、中部フーズの工場1カ所と、同社が総菜部門を担うバロー運営のスーパーマーケット31店舗で事前検証を実施。結果、欠品による売上機会損失を防いだほか、売上総利益4.9%増加、発注作業時間27%削減など、一定以上の効果を確認できたという。
<事前検証でのAI自動発注効果>
項目(総菜部門) | 店舗 | 工場 |
売上 | 2.3%増 | 4.3%増 |
売上総利益(売上-原価) | 4.9%増 | 2.3%増 |
欠品回数(17時以前に商品が無い状態) | 19%改善 | – |
商品廃棄数 | 18%改善 | 見込生産に伴う仕掛け品廃棄0 |
発注・生産計画策定時間 | 27%改善 | 19%削減 |
具体的には、まず各商品の発注量が適正化されたことで、店舗では、欠品率改善による売上の増加と、値引き・廃棄削減による利益の増加を両立できた。AIが自動で最適な発注量を提示するため、店舗や工場での発注作業や生産計画の策定にかかる時間が短縮。業務効率化および業務負担の軽減につなげた。
店舗・工場間で、店舗はAIを活用することで前もって適正な発注量を把握でき、発注リードタイムを長期化することが可能になった。その結果、工場では見込み生産を廃止して受注生産に切り替え、仕掛け品の廃棄ゼロを実現している。
6月には、中部フーズが総菜部門の運営を担うスーパーマーケット76店舗(5月までの31店舗を含む)で、「AI自動発注」を開始した。今後、定期的にAI予測モデルを見直して精度向上を図るとともに、2024年度中に中部フーズが総菜部門を運営するバローのSM全242店舗で「AI自動発注」を導入する計画だ。売上・利益の向上に加え、業務の効率化を推進することでスタッフの業務負荷を軽減し、人手不足の解決を目指していく。
■サキミルの関連記事
ソフトバンク/安価で高精度なAI需要予測・映像解析で流通DX支援
バローHD/人流・気象データ活用のAI需要予測「サキミル」導入
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。