セブン&アイ/清水執行役員が語る、オムニ7「ネットとリアルの融合」(後編)
2018年02月28日 13:50 / 流通最前線トレンド&マーケティング
■VRショップの課題と今後の展開
――VRショップの課題は何か。
清水 いまのVRショップは、開店前のお店のように人がいない作りだ。だから、賑わいがない開店前のお店みたいになっている。それは直したい。
お客様がいないし、接客という意味では、リアルだと、「これいかがですか」と話かける人がいるが、それもない。あと、動きは、360度どこでも一歩、踏み出せる仕組みではないので、そこはスムーズにしたい。
よくできているが、自分一人しかいない空間になっている。例えば、人気商品のところには人が沢山いるとか、そういうのがあった方が、よりリアルっぽいし、その方が買いやすいだろう。
商品を選ぶと、普通の商品紹介の画面に飛ぶが、ネットとリアルの融合といいながら、最後は、各社の決裁ページに飛んでいる。本当はカゴの中に入れるような絵があって、それをレジに持っていくような絵があって、各社の商品を一括で決済できるようにしたい。
――VRショップはなぜ2月6日で終了したのか。
清水 2月6日までというのは、確かに短いと思う。少なくとも販売のピークである週末の10日、11日、12日まではやりたかった。ただ、品切れが多くなってしまうとか、14日までに届けられない可能性があるとかを考慮して6日までの展開となった。
バレンタインやクリスマスなど、日にちに意味があるイベントでは、商品をその日までに届ける必要がある。
一方で、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日のように、解禁日以降でも需要が見込まれるイベントもある。実際、アマゾンのボジョレー・ヌーヴォー特設ページは、解禁日以降も開設されていた。
オムニ7としての商品在庫の確保や配送といった課題はあるが、今後、催事的な特設ページについては、できるだけ実施期間を長くできるようにしたい。
――ネット専用商品の開発の視点は。
清水 当社もネット専用商品の開発は進めている。ただ、各社のMDはリアルな事業に張り付いている。それぞれのリアルな商品開発に、ほぼすべての時間を費やしているので、なかなか難しいのが現実だ。
一方で、事業会社にはオムニMD部というのがあって、オムニ7向けの商品開発をきっちりやっている。ただ、現実問題としては、やっぱり商品化にしても、運営にしても、リアルがメインになっている。
将来的には、オーダーメイドの商品を作るというのもあると思う。例えば、缶コーヒーは、ブラック、微糖、砂糖入りの3種類が中心となっている。ところが、サイト上では、同じブランドで、糖質10%、20%、30%、40%、50%オフみたいのをオーダーで作ることも考えられる。
そこから翻って、30代男性は微糖好みだと思われていたけど、いまある微糖じゃなくて、糖質30%、40%の方が受けがいいみたいなことが分かれば、それをリアル店舗へ戻す商品開発的な視点もある。
缶コーヒーのほかに、おにぎりなんかも塩分をオーダーメイドで調整するとかも考えられる。オムニ7で本当に売れる商品ができれば、リアルな店舗でも売れる。
――オムニ7向け商品の特徴は。
清水 数がある程度限定されても特別なものは、リアル店舗では展開しにくいが、オムニ7だと展開できる。リアル店舗と異なり、賃料や人件費がないネット通販特有の原価構造を生かした商品もある。
また、予約商品もリアルよりはネットの方が、大々的にできる可能性がある。予約商材はネットの方が優位性がある。
ネットの世界だと、アイドル系のDVD、写真集だったり、あとはゲームソフトが予約で強い。リアル店舗でももちろん受け付けているが、親和性は圧倒的にネットの方にある。
■セブン&アイ/清水執行役員が語る、オムニ7「ネットとリアルの融合」(前編)
https://www.ryutsuu.biz/column/k022740.html
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