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セブン&アイ/清水執行役員が語る、オムニ7「ネットとリアルの融合」(後編)

セブン&アイ/清水執行役員が語る、オムニ7「ネットとリアルの融合」(後編)

「オムニ7」が進めている「ネットとリアルの融合」について、前編ではネットとリアルのそれぞれのメリット、デメリットを整理しながら、清水健執行役員に語ってもらった。後編では、ヴァーチャルリアリティ(VR)システムを活用したリアル店舗からネットへの送客の可能性やオムニ7が現在、直面している課題と今後の方向性について聞いた。

<清水執行役員>
清水執行役員

■QRコード、NFCを活用しリアルからネットへ送客

――VRシステムで、もっとも実用性がある部分は何か。

清水 まず触ってみようという気にさせる部分がある。こちらが目指しているウィンドーショッピング的な要素は十分に取り込めている。今回は、渋谷駅にイベントでVRバレンタインショップの告知の大きなポスターを張り出した。

渋谷駅の掲載期間が終わって、本社7階の社員食堂前に同じポスターを張り出したら、かなり人が集まった。実際に、しゃがみこんで、QRコードを読み込んで、オムニ7のVRバレンタインショップの売場に行った人もいる。やってみた人の感想を聞くと、「すごい」という人が多かった。話題性は間違いなくある。

<社員食堂でポスターを張り出した様子>
社員食堂でポスターを張り出した様子

QRコードを読み込むだけで、スマホからネット通販の売場に直接、アクセスできる。QRコードを張り付けるだけだと貧弱なので、多少、演出はする。技術的には、QRコードだけじゃなくて、アンドロイド端末のみの対応になるが、NFCシステムを使ってかざすだけで、ネット通販にアクセスできる仕組みもある。

注:NFCとは、Near Field Communicationの略で、近距離無線通信技術を活用した機能。触れるだけで、機器認証ができ、Wi-FiやBluetoothのように、無線通信ができる。

VRバレンタインでは、ソフトバンクとコラボして、NFCシステムをVRバレンタインショップの入口に導入して、VRバレンタインの売場や単品の商品に直接、誘導した。ただ、まだNFCに慣れている人が少ないので、ほとんどの人はQRコードを使っていた。

<QRコードを読み込みVRショップへアクセスする人>

――ネット通販へ送客することのメリットは。

清水 セブン-イレブンのような小型店だと、例えば、折りたたみ傘は店頭では黒とオレンジしかないけど、これをNFCでかざしてオムニ7で見ると、実は12色あるとか、紫は1週間後じゃないと受け取れないけど、そこで買えるみたいなやり方もある。

商品の色とか、大きさとか、形のバリエーションを広げるという意味では、ネットとリアルの組み合わせはあると思う。

大型商業施設のアリオでも活用できる。アリオでは、テナントの入れ替えのタイミングだと、営業中でも改装中の囲いが立つお店がでる。その囲いにVRショップの入口を描くことも考えている。改装中の囲いにVRショップの入口を描けば、ネットショップへ送客できる。

――ECサイトで商品を販売する上で工夫している点は。

清水 ECサイトでは商品の実際の大きさをイメージしにくいので、VRバレンタインショップでは、実際の商品の大きさに合わせて、陳列商品の大きさを変えた。

大きい商品は大きく、小さい商品は小さく表示している。従来のネット通販では、商品を個別にクリックしなければ大きさは分からない。VRバレンタインショップでは、商品を見ただけで大きさがわかるメリットがある。

<VRでは実際の商品の大きさをイメージできる陳列を採用>
VRでは実際の商品の大きさをイメージできる陳列を採用

一方で、商品を単品で陳列しているので、売場に賑わいがない。リアル店舗の大量陳列のような迫力はない。また、接客もない。ネットでも接客の人が居て、話しかけると分かりやすいと思う。

接客とは異なるが、動画で商品を説明する取り組みもある。いまIYフレッシュで動画に取り組んでいて、動画レシピを公開している。レシピをIYフレッシュで紹介するのは自然な流れだと思う。

また、2017年11月中旬から12月上旬まで、クリスマスの時に、クリスマスパーティーの再現を動画で実験的にやってみた。オムニ7で買える商品で、こんなクリスマスパーティーができるという動画を、システム会社と組んで作成した。

商品紹介動画を専門的に制作するシステム会社と組んで、オムニ7で販売している商品でクリスマスをやったら、どういう風になるか紹介した。実際に、動画を見て商品を買える導線も作った。

今後、動画コンテンツをオムニ7に導入することもありうるが、何の動画を、どういう風に入れるかは、課題だ。ネットとリアルは明らかに違うものだと考えるのではなく、いかに近づけるかというのが、人間の感性からして、ストレスがない世界だと思う。

――オムニ7には、商品を比較できる機能はあるのか。

清水 オムニ7では、まだカゴにいれた商品を横並びで比較できるような機能はもっていない。現在のシステムでは、カゴの中にある時点では、商品価格だけは比較できるが、商品の購入段階では、各事業会社の決裁ページで決裁する。そこは本当のお店とは違う。

価格や機能の比較は、どういう観点でどこまでやるか検討している。価格は比較的やりやすいが、そのほかの要素は、接客的なことをしないといけないと思う。

チャットボットみたいのが入れば、例えば、ランドセルだったら軽いのがいいのか、ピンクのもうちょっと薄いのが欲しいとか、収納量が多いのがいいとかというニーズに合わせて、それにふさわしい商品を提案することができると思う。

ただ、あらゆる要素を書き込んで、それに○×をつけて書き出すというのが、お客様にとってどこまで必要かはなかなか難しい。

――商品説明では、価格、量目のほかにどんな情報を掲載しているのか。

清水 いろいろと制約はあるが、いま何文字以内とか、何行以内とか、ルールだけは統一している。各マーチャンダイザー(MD)が商品のおすすめとかを、書いているので、ルールを設けないと長く書く人と、一言で終わってしまう人など、ばらつきがでる。

<VRショップの商品説明>
VRショップの商品説明

それ以上は、本当に客観的に比較できるような中身で、商品説明をそろえられるかというと、かなり難しい部分がある。ネットの世界の特殊性で、商品説明にどんな言葉をいれるかというのは、検索で引っかかるキーワードにもつながっている。

例えば、バレンタインのチョコレートの説明で、義理チョコというキーワードを入れるのが、果たしていいのか、悪いのかという見方もある。

――オムニ7内の商品検索では、どんなことが課題か。

清水 商品検索では、最初のころはいっぱい商品が上がっていた。例えば、「栗のように甘いさつまいも」と商品説明に書いてしまうと、「栗」と検索しているのに、「さつまいも」も表示された。部分一致で検索できるので、いろいろなものが引っかかる課題があった。

検索のほかに、商品を探しやすくする工夫として、カテゴリー精査を日々、行っている。気づかないレベル、気づくレベルでもかなり変更して、買いやすいようにしている。

「栗」と「さつまいも」の例のように、検索で紛らわしいものは排除するルールを作ったりしている。単品の商品にたどり着けるように、いくつかの注意事項を定めたりしている。

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