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キリンビール/3カ月で1億本突破「本麒麟」ヒットの秘密(商品開発編)

キリンビールが3月13日から発売した新ジャンル「本麒麟」が、発売から3カ月で大台となる1億本(350ml缶換算)を突破した。前回のマーケティング編では、新ジャンルユーザーが既存商品にもつ「安いからしょうがない」という不満を起点にしたコンセプトづくりや「おいしさ」を起点にしたTVCM戦略などを、マーケティング本部マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の木村正一ブランドマネージャーに聞いた。商品開発編では、消費者ニーズを探る手法や商品名やパッケージの決定までの商品開発の裏側を明らかにする。

■消費者インタビューで仮説を立て、アンケートで検証

<本麒麟の商品ディスプレイ>
本麒麟の商品ディスプレイ

――「本麒麟」の開発にあたり、どんな調査をしたのですか。

木村 これは皆さん、いろんなことをされていますけど、インタビューを中心とした定性調査、アンケートを中心とした定量調査を、繰り返し行いました。定性調査において、お客様の本音というか、ヒントとなるものを探求していって、それを定量にかけることによって、それが実際に正しいのか、または、はずれているのかというのを、繰り返しました。

定性と定量の組み合わせが非常に重要で、定性調査は聞き方が限られるので、限られた結果に集約されてしまう。それをしっかりと定量調査に当てはめて、それがしっかりとあてはまるのかを検証していく。定性調査で仮説を作って、それを定量調査で検証していくということをやっています。これをローリングしています。

――調査は商品開発のどの段階から行うのですか。

木村 調査は商品コンセプトの立案の段階から行います。商品コンセプトが好きか、嫌いかみたいなところから始まって、試作品の味、パッケージの好き嫌い、どんなコミュニケーションをとっていくのかなど、上げだすときりがありません。

例えば、「本麒麟」のビジュアルを見てもらうと赤ということが分かると思うんですけど、赤の色味をひとつ決めるにあたっても、本当に検証をして、お客様にもっとも気に入られる赤というのを決めている。ビール系の赤というのは何なのかを決めています。

例えば、ベタッとした赤ですと、トマトジュースみたいな印象になってしまうんですね。そこが難しいところで、ビールの中で外れないイメージで、高級感があるものは何かを決めて決定しています。僕はこの色を本麒麟レッドと呼んでいます。

お客様によっては、ビールに爽快さとかを求める方もいるので、もしかすると、そういう方には違うイメージかもしれませんが、商品のコンセプトを体現したものをパッケージでしっかりと表現することが大事です。

――商品パッケージはどう決めていますか

木村 TVCMでは、「驚き」をキーワードにおいしさを伝えました。パッケージにも同じく「驚き」というのがあります。お客さんから見たら、店頭で購入される際に迷う時間というのは、本当に短い。1、2秒でその商品を、どういう商品なのか伝えることを軸としたので、そこのコミュニケーションも統一しています。

<木村正一ブランドマネージャー>
木村正一ブランドマネージャー

――「本麒麟」のターゲット層は、どう考えていますか

木村 定量的なセグメントでいうと、40代から50代の男性がメインターゲットです。でも、簡単に言うとビール好きが満足できるものを作ろうとしました。ビール好きが新ジャンルで満足できるものを開発しようとしました。

■ビールに本格感を求める人がターゲット

――若者のビール離れが言われていますが、若者はターゲット層に入れていないのですか。

木村 メインターゲットはビールユーザーです。若者の方はメーカーから飲んでくださいとアプローチだけをしても、これだけ情報が多いので、なかなか動かない。どちらかというと、マーケットを変えるようないいものが出たという情報に触れた方が、自分からアクセスしてくれんじゃないかなというのがありました。

あえて若者の方に合わせて、苦みの少ない、さらっとしたみたいなことではなくて、いいものが出たんだよということをきちんと伝えることで、自ら触手を伸ばしていただけるのではというのがありました。

ビール類というジャンル自体を活性化することが、ひとつのニュースになるので、それによってビール類に対して、もっと興味をもっていただくというのが、ありたい姿であり、追求しているところです。

まだまだ発売3カ月の新しい商品なので、これから3年くらいをかけて、しっかりとブランドとしてお客さんに定着していくというのが重要になっていくかなと思っています。

――実際の購買客層はどうですか。

木村 買っていただいている方は、コンセプト通りの40代、50代です。男性の方とは限らないですが、40代、50代の方から高い支持を得ている。ただ、お客様のニーズという区分けにおいては、やっぱりビールに本格感とか、高級感、本質感、品質感みたいなものを求める方から支持を得ている。

<スーパーのビール類売場>
スーパーのビール類売場

――ビールらしい本格感とビールの本格感はどう違うのですか。

木村 ビールらしさというのは、人それぞれ感じるものがあって、ビールの中でもいろんな好き嫌いがあると思いますので、一重に、これがビールらしさだといえるものはありません。「一番搾り」が好きな人がいれば、「ラガービール」が好きな人もいます。共通して一番というものはない。

我々として、この商品を発売するにあたっては、ビールらしさというのは、「力強いコクと飲みごたえ」というのが一番太いところだという、仮説をもって販売しているので、そういったところが受け入れられていると思っています。

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