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ライフ/キャッシュレス化40%達成、岩崎社長が語る成長戦略

2018年12月21日 16:00 / 流通最前線トップインタビュー

――現在話題のキャッシュレス化も進めていますね。

岩崎 キャッシュレス比率は40%を超えています。通常の小売店の平均を超え、レジ作業の軽減、準備金の減少など店のオペレーション面で確実に効果をあげています。

自社のクレジットカード「LCカード」や電子マネー機能付きポイントカード「LaCuCa」は、最近の店で導入を増やしているセミセルフレジとの相性が抜群で、お客様の利便性も高まります。

<LaCuCa、LCカード>
LaCuCa、LCカード

――カード戦略の進捗状況は。

岩崎 カードについては、当社のクレジットカード「LCカード」のメンバーは30万人で、当初目標を超えました。子会社ライフフィナンシャルサービスも今期計画通り黒字化する予定で、早期に50万人突破を目指します。当社のお客様にとって一番ポイントが貯まりやすいカードになっています。

電子マネー機能付きポイントカード「LaCuCa」は、現在会員300万人を達成しました。

――店づくりでは「ライフでしか買えない商品」にこだわりがありますね。

岩崎 第6次中計では、商品への投資も強化しています。「おいしい、ワクワク、ハッピー」が見つかる店とは、どんな所か。従業員一人一人が考えて、商品にも取り組んでくれている点で、今期は及第点だとみています。

年2回東京、大阪で全社的な職場での取り組みを発表する「スマイルワークショップ」がありますが、日常的にも現場のパートナーさんたちがワークショップを開き、「おいしい、ワクワク、ハッピー」を提供する商品を考えてくれています。

これも、サントリーさんから聞いた話ですが、ライフは新商品の投入が遅いといわれてきましたが、今年の3~11月、サントリーの新商品上位10品の第1週の売上金額は、ライフが第1位だったそうです。新商品の投入もすぐに行っています。

<惣菜を強化>
惣菜を強化

――惣菜も人気です。

岩崎 デリカは上期2.8%増と好調で、お客様に実施しているWEBアンケートでも惣菜の評価が上がっています。

おいしい、でき立てにこだわった惣菜を実現するには、商品部の企画設計、プロセスセンター(PC)での下準備、店で最終的な調理の3つが連携しないとうまくいかない。

最近、この連携が一気通貫でできるようになってきました。店内調理ですべてできればいいのですが、人手不足や調理場所の不足など現実問題無理なので、惣菜のキット化をPCで進めています。

<あごだしなどこだわりの商品をそろえている>
あごだし

――PBで人気商品も生まれていますね。

岩崎 11月に発売した「ライフプレミアム ポテトチップストリュフ塩味」は、北海道産じゃがいも、最適な粒度の特別な塩を使った、ちょっと贅沢な商品。TVで取り上げられたこともあり、秋田や静岡から「どこで買えるのか」とお問い合わせを頂戴しました。

「ライフプレミアム」では、ほかにも無着色、無添加のトマトケチャップ、そのまま飲んでもおいしいあごだしなどこだわりの商品をそろえ、これらを使用した総菜も作っています。

――PBの売上規模はどれくらいでしょうか。

岩崎 PBはお手頃価格の「スマイルライフ」、おいしさを追求した「ライフプレミアム」、健康・自然派の「ライフナチュラル」、ヤオコーと共同開発し原価を抑えた「スターセレクト」をそろえています。

売上はPB全体で600億円、そのうちライフプレミアム60億円、スターセレクト100億円です。

ライフにしかない商品を打ち出すのが第6次中計の重要戦略でもあるので、価格やおいしさでメリットのある当社PBを強化します。

ヤオコーとのスターセレクトは商品がそろっているので、リニューアルが必要かなと思っています。今後も、おいしさと品質、価格のバランスのとれた商品戦略を進めていきます。

――第6次中計では人への投資も強化していますね。

岩崎 人への投資は、採用強化、従業員の処遇改善、パートナーさんの時給アップ、従業員のベースアップなどに取り組んでいます。また、2018年は自分が中心となった経営塾、店長塾など教育にも力を入れた一年でした。

<人への投資も強化>
人への投資も強化

店の品ぞろえなども、従業員一人一人がお客様の対面アンケート、WEBアンケート、エリアごとのニーズなどを考慮し、小売業にありがちなトップダウンではなく、部課長、バイヤーが自分で考えられるようになってきています。

――災害対応で教育の効果を感じたそうですね。

岩崎 2018年は、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号など自然災害に見舞われ、非常に難しい年でした。従業員、お客様の安全を確保しながら、ライフラインとしての、物資供給する店の役割のバランスが難しかった。

従業員の通勤も確保しながら、どこまで営業を続けるか、店長など現場の判断に任せました。台風の時はさすがに前日から大阪に行きましたが、地震の時は、翌日大阪に出張した後は、電話での指示のみで、現場が自主的に行動してくれ、人の成長を感じました。

<岩崎社長>
岩崎社長

――2019年10月予定されている消費増税にどう対応しますか。

岩崎 8%から10%への増税は、個人的には、それほど落ち込みは大きくないとみています。5%から8%に増税した際も、3月に駆け込み需要があり、4月は少し落ち込みましたが、5月には(数字が)戻っていた。軽減税率もあるので、落ち込みはそれほど大きくないと考えています。

現在、話題になっているイートインと持ち帰りの問題は、オペレーションで乗り切れると思っています。それより、一番大きな問題は、ポイント還元です。

キャッシュレスでの支払いで、最近の報道によると中小企業5%、コンビニ2%のポイント還元などが構想されていますが、中小企業支援、キャッシュレス化の推進、軽減税率による景気対策と一緒になっているので、政策としてわかりにくい懸念があります。

スーパーはなぜポイント還元がないのか。これは競争環境をゆがめるのでないでしょうか。チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会などで問題意識を強く持っており、政府に働きかけなどを行うなどしています。競争環境をゆがめないようにしていただきたいと思っています。

■岩崎高治(いわさき たかはる)氏のプロフィール
1966年3月 東京都生まれ
1989年3月 慶応義塾大学経済学部卒業
1989年4月 三菱商事入社
1994年2月 Princes Ltd.(在英国、三菱商事100%子会社)
1999年5月 ライフコーポレーション取締役に就任
1999年5月 営業総本部長補佐
2000年2月 営業推進本部長
2000年4月 首都圏ストア本部長
2001年10月 専務取締役首都圏事業本部長
2002年3月 首都圏生鮮・食品本部長
2004年1月 近畿圏生鮮・食品本部長
2004年3月 営業統括本部長兼近畿圏物流本部長
2006年3月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長就任
2006年6月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼経営システム統括本部長
2006年11月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長
2014年6月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼開発統括本部長
2017年1月 代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長

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