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東武鉄道/顧客多様化に対応した商業・住宅支えあう開発で沿線価値向上

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東武鉄道は不動産事業の強化を推進している。駅ごとの性格をつかんだきめ細かな駅チカ・駅ナカ開発とともに、商業施設開発と住宅開発が支えあう沿線の街づくりなど戦略を深化させている。生活サービス創造本部が手がける商業施設の開発を中心に、木村吉延 執行役員 生活サービス創造本部 沿線価値創造統括部長に今後の挑戦について聞いた。

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――生活サービス創造本部はどのような事業を手がけていますか。

木村 生活サービス創造本部は、鉄道事業以外の分野を大きく広げ、収入を上げることを目指しています。鉄道事業以外の収益の柱を育てるというのは、鉄道同業他社の共通の課題になっています。住宅を中心とした賃貸事業・分譲事業・生活サービス支援事業などを手掛ける沿線開発部、商業施設開発と電車の中づり、デジタルサイネージといった広告事業の商業開発部、東武百貨店・東武ストアなど大型の一棟貸しの施設管理、当社保有地の開発などのアセット戦略統括部、行政と連携した長期にわたる大規模開発などを手掛けるまちづくり推進統括部、施設の設計や修繕を行う建築技術部で構成されています。セグメントで言えば、不動産部門にあたります。

――商業施設開発の現状を教えてください。

木村 当社が手掛ける商業施設では、イオンモール、ららぽーとのような大型ショッピングセンターといった規模感の施設は、東京スカイツリータウン(東京都墨田区)があります。大半を占めるのがエキナカ・エキチカ施設ですが、最近では南栗橋駅エリア(埼玉県久喜市)や獨協大学前駅エリア(埼玉県草加市)でもっと大規模な街づくりに取り組んでいます。

駅ごとの性格に対応した商業施設を開発

――エキナカ、エキチカ施設の開発ではどのような点を重視していますか。

木村 ステーションフォーマットという、駅の性格ごとに戦略を変えるマーケティング施策を行っています。具体的には駅の性格は大きく3つに分かれます。1つは電車の乗換駅、例えば新越谷、朝霞台などですね。もう一つは目的駅というのがあって、通勤先・通学先・買物などの目的となる駅です。3つ目は自宅駅と言って住まいに近い駅、この3つの駅のどこに属するかで商業施設の性格は変わりますし、誘致するテナントも変わります。

――3つの駅の違いを教えてください。

木村 目的駅は、通勤先・通学先・買い物など目的のために利用する駅ですので、一般的に昼間人口が多い傾向にあります。乗換駅は朝から晩まで人が移動していたり、自宅駅は朝と夜に利用者が多かったり、時間帯で必要なものが違うなどの特徴があります。そのため、駅の中に店舗を作ったり、駅ビルを創ったりという時には、駅ごとの性格に沿った形で、店舗を誘致、構成する必要があります。

――大型商業施設とは違うエキナカ商業施設の作り方があると。

木村 そうです。大型商業施設はやはり圧倒的な集客力が必要になります。基本商圏が周辺5~10㎞、超大型施設ですと15~20㎞の商圏を見込んで、地域のハブを目指している場合が多いと思います。そうなると、アパレル、飲食、物販と幅広いラインアップをそろえないと顧客ニーズに応えるのは難しいです。しかし、駅ビルとかエキナカはそんなに商圏が大きくないので、ある程度マーケティングをして、ターゲットを絞った業態・業種を誘致します。そのほうが出店する方にとってもいい話ですし、われわれとしても売上が確保できることとなりますし、駅を使われている方にとっても利便性の向上につながると思っています。

――駅ごとの性格分析、細やかなテナント誘致が必要になりますね。

木村 駅ごとにさまざまな顧客ニーズを想定しながら店舗を誘致しています。もちろん、コンビニエンスストアは自宅駅にあっても、乗換駅にあっても、目的駅にあってもニーズはあると思います。しかし、「この駅にあったらいいね」といった店舗は、駅ごとに需要が違いますから、顧客ニーズにあった店舗構成が必要となります。

<駅の性格ごとの開発が必要と木村氏>
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――今後のエキナカ開発の方向性を教えてください。

木村 十数年前のエキナカは、コンビニにある商材の一つずつを専門店にしていくと成り立っていたというとわかりやすいかもしれません。コンビニで扱っている、パン、雑誌、スイーツ、惣菜、弁当、飲料を専門店化して、ベーカリーストア、本屋、スイーツ店、デリショップ、おにぎり屋、カフェなどセレクトしていました。こういった店がエキナカにそろっていれば、顧客は通勤・通学、外出の際に駅でものを買うのが便利という傾向がしばらく続いていました。

しかし、コロナ禍で今までECに抵抗があった方もECを利用するようになりましたし、必ずしも駅に行かなくても必要なものが買えます。顧客ニーズが多様化し、どこでもあるようなものを並べていては、集客が難しいのが実情です。

――コロナ禍で、顧客ニーズはどのように変化していますか。

木村 これは難しい問題です。テレワークシフトといわれていますが、テレワークをどの企業も全体的に取り入れて、通勤がなくなるといった極端なことはないと思います。当社も2021年11月、施設の売上もですが、鉄道の利用客もそれなりに、定期券利用者が若干厳しいと言いながらも回復してきています。外出したいという欲求は、なくならないと思いますが、外出する人としない人は二極化するような感じがしています。また、外出するのも、遠くに行くのか、近くの外出で終わるのか、外出の仕方が変わると思います。われわれも駅に来ていただくのを待つだけでなく、集客のフックになるような施策が必要だと思っています。

――鉄道に乗る以外で、駅にきてもらえる仕掛けが必要だと。

木村 鉄道に乗る目的以外で駅にも来てもらうようなことをしていかないと、今後商業施設運営は厳しいと考えています。鉄道の利用を前提にするだけでなく、フックになる個性ある店舗を入れたり、顧客にコミュニティーの場を提供したり、それはいろんな仕掛けを入れていかないと。駅を多くの方が利用してくださるから、商売が成り立つという時代ではもうないのではないかなと感じています。

>>>次ページ 10周年で地域需要も取り込むスカイツリータウン

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