現場実務をシステムで効率化できれば、それはDXといえる
――佐藤社長が考えるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何ですか。
佐藤 まあ、そうですね。例えば昔、私が店にいた頃、全部手書きの伝票だったんです。大型家具を売るたびに本部に電話をかけて「在庫ありますか?」って商品部に電話します。また、物流センター側からは「この日だったらトラック空いてるよ」っていう一覧表があって、それを店舗で確認します。会計レジでお支払いが終わると、今度は伝票を近くの配送センターであれば、手渡しで持っていっていました。遠くの配送センターならFAXで伝票を送っていました。
配送センターで今度はそれをファイリングして、配達日が近くなってきたらその商品が間違いなく、配送センター入ってきたかどうか確認します。商品が入ってこなかったら、ディストリビューションセンター(DC:在庫保管型物流センター)に電話をして、商品を手配します。商品が配送センターに入ったら、次の日にトラックに積み込みをするような流れがあります。でも、ここでいろいろな手違いがあって商品が入ってこなかったら、夜中に店の中を探して、在庫を確保します。店頭在庫を売ってしまう場合は、店頭在庫が配達用になったことを明記します。そこまで確認した上で、会計システムに売上データを計上するようなことがありました。
いまは、伝票自体がデジタル化されていて、在庫も生産段階から把握できています。これまで、いくつもの手作業があったものが、デジタル化されることで手作業がなくなり、ケアレスミスも削減できます。例えば、自動発注のシステムです。それが入る前は、店の中をはいずり回って商品を毎週棚卸しして、この商品って今週これぐらい売れたから、来週はさらにこれだけ追加しなきゃいけないということを、全部手作業で、FAXして商品を入れてもらっていました。でも、自動発注を入れるともう手作業はなく、在庫の管理も全部デジタルでやれます。これってまさしく、DXそのものじゃないかというふうに考えています。
だからDXって何かっていうと、IT、デジタルの力を使ってがらっと業務とかビジネスを変えること、一言で言うとそれじゃないですか。だから時代とその時にある最新技術というものをいかに活用してビジネスを変えていくかという取り組み自体が僕はDXだと思っています。伝票をデジタル化したことで、人間では、さばききれないような、見えない在庫を押さえることもできる。だからそういう、がらっと変化を起こすことがDXじゃないかなと思います。
――今後、どんなDXが進むと思いますか。
佐藤 手書きからのデジタル化は2002年~2003年頃に実現しました。大型家具配達手配についても、いまはお客様が自分の手で、店舗のセルフクロージング端末で簡単にできるようになっています。さらにいまは、お客様がいつでもどこでも買い物ができるようにニトリネットがあります。ニトリネット自体は、2010年くらいからあったと思いますが、本格的に伸びたのは2015年前後くらいだと思います。どんどん便利になって、スマートフォン(スマホ)の「ニトリアプリ」からでも買い物ができて、店舗に行かなくても、配送や在庫の引き当てがスマホできる。
今後は、スマホの上で、お客様が何も迷うこともなく、店舗で買い物をするのと同じように、いろんなレコメンデーションだとか接客をスマホの上で受けられる。さらに言うと、お客さんが自分が欲しいものレコメンドやお勧めによって買い物をする。何年か先には、システムがお客様の欲しいものが分かった状態になっちゃうみたいなこともあるかもしれません。
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