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流通最前線/IT・デジタルの新拠点「ニトリデジタルベース」トップインタビュー

2022年07月29日 15:20 / 流通最前線トップインタビュー

ニトリデジタルベースが求める人材像

――システムの内製化がキーワードですが、どんな人材を求めていますか。

佐藤 例えばAIを使っていわゆるデータサイエンス的なことをやろうとしたときに、本当に数字だけいじっているだけでビジネス成果を上げられる人もいるかもしれない。でも、やっぱりいわゆるビジネス側のロジックだとか業務というのを理解して、きちんとユーザーとビジネスの言葉で会話した上でシステムに落としていくような人も必要です。例えば、物流の仕組みを再構築するのに、「ITの能力は一流でも物流の業務に興味がありません」みたいな人を採っても仕方ないじゃないですか。

ニトリには、4C主義という言葉あり、Change、Challenge、Competition、Communicationを大切にしています。いろんなことに前向きにチャレンジしたいっていう人を、どんどん採っていきたいと思います。

<ニトリの4C主義>
ニトリの4C主義

――これまでニトリグループのIT人材をどのように集めてきたのか教えてください。

佐藤 ニトリグループでは、4年前から新卒でもIT専門人材を採用しています。また、通常の新卒採用者でもIT部門を希望すると選考の上、配置転換する制度もあります。内製でやっている情報システム室ってITのスキルだけいくら高くても駄目なんです。当然ですけども、ニトリグループの業務に精通している人間も必要です。それこそ店長経験者も引っ張ってきたりして情報システム室に配属させています。

IT新卒で採った人材も、カリキュラムの中で、例えば、最初は現場配属が1年間あり、物流や店舗での販売を経験します。これはあくまで例ですけどね。こんなカリキュラムを組んで、その現場経験中にも、きちんと情報システム室とコミュニケーションを取らせながら課題を設定して現場で学んでもらい、期が明けたら戻ってきて本格的にITの教育をたたき込むみたいな活動をしています。

中間採用の方でも同じで、情報システム室に中途採用されたけど、3カ月間店舗で現場研修した上で情報システム室に配属されることもあります。これは要相談で、絶対店舗に行きたくないとかっていう人を無理やり行かせることはないです。ただ結局、店舗に行かないで情報システム室に着任になった人も数年ぐらいたつと「やっぱり入社時に現場へ行っておけば良かった」って、後悔する人が多いです。その時は、情報システム室での業務にもよりますが、店舗を経験することもできます。

――IT人材に期待することはなんですか。

佐藤 プロジェクトによっては、本当に尖ったスペシャリストも必要です。期待値として、本当に大きなシステムを作る部分に関していうと、全体最適もやっぱり考えられるようにしてほしい。例えば、ECならECの世界で、そこでの最適化でもいいんですよ。ただ、ECの上にいる人間がもっと横串を刺して、全体的な最適化を考えられるような組織立てを目指しています。これだけ広い範囲の業務全部のロジックをちょっとやそっと勉強したからといって学べないのは仕方がないなと思っています。例えば、20年やっていりゃそれは分かりますけど、1年ぐらいで全ての業務を理解するというのは無理なんです。ならば、部分的にでも業務上の専門分野を作って、販売領域とか物流領域とかって専門分野を作る。でも横串を刺す人間がきちんと上にいるみたいな、そういう組織立てになっていれば機能すると考えています。

――最後に、最高情報責任者(CIO)に求められる資質を教えてください。

佐藤 最初に言いますが、僕自身のIT能力は低い、まわりの中で見た時、僕も真ん中ぐらいにいればいいかなぐらいの感じです。ITの仕組みを考える人間には、推測する能力が必要です。ユーザーがどんなアウトプットを求めているのか?何かの問いかけなり、課題なりが入ってきた時に、手前みそで決め打ちして自分が言ったことが正しいんだ、みたいなことは、意味がない。相手におもねる意味ではなく、相手が理解しやすい形や言葉で伝えることが必要です。

システムもたぶん同じ話だと思っていて、単純に機能を満たせればいいという考え方ではありません。ユーザーが言わなかったとしてもユーザーが欲しがっている姿を、いろんなビジネス要件だとか相手方の課題だとかを総合的に判断して、形にして提供します。機能がありさえすればいいじゃなくて、その機能がどんなふうに使われるかも含めて提供する。最下流のユーザーから最上流の業務は見えないのです。でも、ここで提供する機能は、最上流のことも考えて、最下流が使いやすいようにシステムを考える。そういう想像力とか洞察力が必要です。こういった能力は、CIOだけでなく、ビジネスで必要だと思います。

<ニトリデジタルベースを解説する佐藤社長>
ニトリデジタルベースを解説する佐藤社長

■佐藤昌久(さとう・よしひさ)氏の略歴
1962年:生まれ(59歳)
1994年:ニトリ入社後、店舗勤務
1996年:情報システム室着任
2003年:情報システム室室長着任
2010年:新フォーマット立上げ、海外出店等の新規事業プロジェクトへ参画
2020年:執行役員・CIO着任(現任)
2022年:ニトリデジタルベース設立に伴い代表取締役社長就任

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