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流通最前線/IT・デジタルの新拠点「ニトリデジタルベース」トップインタビュー

ニトリホールディングスは4月1日、グループのDX戦略を推進する新会社「ニトリデジタルベース」を設立した。2032年3000店舗・売上高3兆円というビジョン達成に向けたグローバル事業とその他事業領域拡大を支える情報システムの開発を加速する新会社だ。今回、ニトリデジタルベース社長とニトリホールディングス上席執行役員兼最高情報責任者(CIO)を務める佐藤昌久氏に、ニトリのDX戦略の鍵であるシステム開発の内製化の歴史と今後の展開について聞いた。
取材:6月7日 場所:ニトリデジタルベース目黒新オフィス

<佐藤昌久社長>
流通最前線/トップインタビューDX成功の鍵はシステム開発の「内製化」IT・デジタルの新拠点「ニトリデジタルベース」設立 ニトリデジタルベース佐藤 昌久 代表取締役社長

配送センター・店舗など現場経験がコア・コンピタンスに

――この春から新会社の社長に就任されました。まず、簡単にご自身のキャリアを教えてください。

佐藤 私は1994年入社で、入社後2年間は店舗の店員として働いていました。店員として働く中で、配送センターの仕事も経験する機会があり、この頃に一通りの家具の販売を学びました。例えば、店舗で大型家具が売れた場合、売上伝票を起票し、倉庫の在庫や配送可能日時を確認し、配送車両を確保したり、また、返品があった時には、どんな手続きがあるのかなどの実務を知りました。

店舗や配送センターでの勤務を経て、1996年に新設された「業務システム室」(現・情報システム改革室)に配属されました。この1996年が、ニトリのIT化のスタートだったと思います。当時のメンバーは4人でした。「業務システム室」のほかに、「電算室」がありホストコンピューターの保守や帳票の出力などを20人ぐらいでやってました。一方で、いわゆる社内の業務改革、ITの力を利用して業務改革をしようという部署が「業務システム室」でした。そこで、システム開発に携わり、途中で新業態のデコホームの立ち上げや海外店舗などの展開に携わり、2年前から また、情報システム改革室に戻ってきたというキャリアです。

――当時の業務システム室では、どんな業務をおこなっていたのですか。

佐藤 ご存知だと思いますが、コンピューターの2000年問題※がありました。ニトリでも「2000年問題どうする?ホストコンピューターで動いてるんだけど大丈夫か?」みたいな話がありました。当時はダウンサイジングといっていました。いい機会だから、ホストコンピューターを止めて、サーバーに基幹システムを置き換える取り組みをしました。1999年9月に、現在のニトリのシステムの元になる基幹システムを開発しました。当時のシステムが、今も動いています。参考書とかマニュアルを見ながら、システムを作っていた時代です。

当然ですが、二十数年間ずっと手を入れ続けて、どんどんビジネスが変わるのに合わせて手を入れたりなどして規模を拡大しています。それこそ僕が当時書いていたソースコードがいまだに動いてますからね。二十数年間一つのシステムをどんどん成長させて、ビジネスの成長に合わせてずっと成長させながらやってきた、作り続けてきたというのがいわゆるニトリのITの基本的な流れです。

ホストコンピューターって変化に弱いのです。ビジネスで、こういう課題があるのでこうしたいとか、業務の効率化を進めたいといっても、ホストコンピューターでは、全く対応できなかった。「もうこれで我慢しろ」の世界だったんです。ビジネスに合わせて柔軟にシステムを変えることができないことに悩んでいた時期です。

※2000年問題とは、西暦を2ケタで管理している場合、コンピューターが00年と誤って判断し、誤作動を起こす可能性があり、西暦2000年をコンピューターが正しく認識できるように改修する必要があった問題。

――ニトリの基幹システムの特徴を教えてください。

佐藤 基幹システムというと、会計システムが中心となることが多いのですが、ニトリの基幹システムは、どちらかというと物流の仕組みに近いものです。物の流れの物流とお金の流れの商流をきちんと一致させて、ぶっ通しで流れを常に追える状態にしています。物流・商流のベースがしっかりあり、その上に、いろんな業務系のシステムを載っけられる形を構築しています。だから、基幹システムのベースは、ほぼこの20年間あまり変わっていないんですよ。ただ、この上にのせるいろんなアプリケーションを、どんどん作り替えているイメージです。そんなきれいなもんじゃないんですけどもね(笑)。

アプリケーションの例としては、店舗のシステムがあります。お客様が店舗で大型家具を購入されると、お名前を伺い、住所を入力し、配送手配をして会計をします。こういったデータが、基幹システムに入ると、配送センターで伝票が出て、商品手配が完了し、売上と在庫の管理ができるなど、データが一元的に管理できるデータベースを構築しています。

――基幹システムを開発する上で、現場経験は役立ちましたか。

佐藤 入社して間もない時期の現場経験は、いまだに僕のコア・コンピタンスになっています。いわゆるビジネスの基本をそこで学べたので、常に、現場の感覚とかを意識しています。いろいろなことを、この20年やってきましたけど、根底にあるのは当時の経験ですよね。

例えば、お客様に大型家具をお届けする時に、いつお届けしましょうという話をするじゃないですか。でも、その時点で、お届けするのに間に合う在庫がどこにあるのかを把握し、その在庫を押さえてからちゃんと売らないと、お客さんに売り越してしまいます。こういった経験は、システム開発に役立っています。一例ですが、ニトリの商品のうち9割近くは、海外のサプライヤーが供給するプライベートブランド商品です。ニトリには、需要をある程度予測して販売計画を立てて、何個海外から入れたらいいか、みたいな、そういうシステムもあります。そのため、いま船で日本に向かっている洋上にある在庫も売ることができるんですよ。

――洋上の在庫も販売できるような仕組みはいつからあるのですか?

佐藤 海外のデータも活用する仕組みは、2002年~2003年くらいにはあったと思います。一般的に、サプライチェーンマネジメントでは、どうバリューチェーンをつなぐかが課題となります。商品開発、店舗、配送とそれぞれ登場人物(企業)が違う場合、バリューチェーンが大きな課題です。でも、ニトリの場合は、商品開発、店舗運営、配送まで、全て社内で行っています。社内のいろんな部署が貿易や物流をやっているので、同じシステムでいろんな業務が実現されている。だからバリューチェーンをつなぐ部分に関して自然とできています。

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