専門家会議/感染地域を3分類「地域ごとの対応」学校再開も地域判断
2020年03月20日 11:10 / 行政
厚生労働省は3月19日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を発表した。専門家会議は、今後の見通しの中で、地域の感染状況に応じた対応をする基本的な考え方を示した。
まず、「今後、日本のどこかでオーバーシュート(爆発的感染拡大)が生じた場合には、地域ごとに断続的に発生していくことが想定されます。こうした状況下では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止とクラスター連鎖防止の効果を最大限にしていく観点から、地域の感染状況別にバランスをとって必要な対応を行っていく必要があります」と述べた。
その上で、「感染状況が拡大傾向にある地域」「感染状況が収束に向かい始めている地域並びに一定程度に収まってきている地域」「感染状況が確認されていない地域」と3つの地域を分類した対応する考え方を示した。
感染状況が拡大傾向にある地域では、「まん延のおそれが高い段階にならないように、まずは、地域における独自のメッセージやアラートの発出や一律自粛の必要性について適切に検討する必要があります。その場合、社会・経済活動への影響も考慮し、導入する具体的な自粛内容、タイミング、導入後の実施期間などを十分に見極め、特に「感染拡大が急速に広まりそうな局面」や「地域」において、その危機を乗り越えられるまでの期間に限って導入することを基本とすべきだと考えます」。
感染状況が収束に向かい始めている地域並びに一定程度に収まってきている地域では、「人の集まるイベントや『3つの条件が同時に重なる場』※を徹底的に回避する対策をしたうえで、感染拡大のリスクの低い活動から、徐々に解除することを検討することになると考えます。ただし、一度、収束の傾向が認められたとしても、クラスター(患者集団)発生の早期発見を通じて、感染拡大の兆しが見られた場合には、再び、感染拡大のリスクの低い活動も含めて停止する必要が生じえます」。
※3つの条件が同時に重なる場とは、集団感染が確認された場に共通する1.換気の悪い密閉空間であった、2.多くの人が密集していた、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場を意味する。
感染状況が確認されていない地域では、「学校における様々な活動や、屋外でのスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用などを、適切にそれらのリスクを判断した上で、感染拡大のリスクの低い活動から実施してください。ただし、急激な感染拡大への備えと、『3つの条件が同時に重なる場』を徹底的に回避する対策は不可欠です」と指摘した。
■学校再開も地域対応、拡大傾向にある地域では一定期間の休校継続
学校等については、「政府は、2月27日に、全国の小中高・特別支援学校の一斉臨時休校を要請しました。学校の一斉休校については、北海道においては他の取組と相まって全体として一定の効果が現れていると考えますが、学校の一斉休校だけを取り出し『まん延防止』に向けた定量的な効果を測定することは困難です」と指摘した。
また、「この感染症は、子どもは重症化する可能性が低いと考えられています。一方では、中国等では重症化した事例も少数例ながら報告されており、更に、一般には重症化しにくい特性から、無症状又は症状の軽い子どもたちが、高齢者等を含む家族内感染を引き起こし、クラスター連鎖のきっかけとなる可能性などを指摘する海外論文なども見られており、現時点では、確たることは言えない状況であると考えています。ただし、『感染状況が拡大傾向にある地域』では、一定期間、学校を休校にすることも一つの選択肢と考えられます」と述べた。
なお、専門家会議が感染地域の分類を発表するのかという質問に対して、「専門家会議として各地域の感染状況をアナウンスすることはない。各地方自治体と厚生労働省が緊密に連携して情報交換することで判断して欲しい」と述べている。
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