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マックスバリュ東海/無人店舗の商品棚などを確認できる売場ウォッチ導入

2022年10月25日 12:40 / IT・システム

ネクスウェイはこのほど、マックスバリュ東海が、無人店舗の商品棚やレジの様子を記録、確認できる売場ウォッチを導入し、商品配送の直前の状況をリモートで確認し、販売のチャンスロスを削減したと発表した。

マックスバリュ東海では、「何よりもお客さまの利益を優先しよう。」という企業理念のもと、地域密着型のスーパーマーケットを運営している。現在、社会のニーズに応じて進めている新規事業として、店舗にスタッフを配属しない無人店舗「Maxマート」がある。しかし、トラブル対応を行うスタッフが存在しない無人店舗の出店、運営には、さまざまな課題が存在する。その解決策として導入したのが、売場の状況を記録するネクスウェイの「売場ウォッチ」だった。

<売場ウォッチの概要>
売場ウォッチの概要

「Maxマート」は2021年5月、浜松市にある本社オフィスに第1号店を設置。2022年の3月には静岡朝日テレビ本社内、8月には三栄ハイテックス本社内にオープンした。いずれもオフィスの従業員を対象にした無人店舗となる。

無人店舗の位置づけを、経営企画統括部EC推進部の高尾一弘部長は「従来の店舗はお客さまに来ていただくものでした。それに対し無人店舗は、私たちからお客さまに近づく新しい手段のひとつとして始めた新規事業になります。今後は地域に合わせたさまざまな形の無人店舗を出店していきたいと考えています」と説明する。

また、1年以上無人店舗を運営したことで意外な気づきもあった。例えばオープン前には、「近隣にコンビニがある状況で無人店舗を開いて利用されるだろうか」と懸念していたが、実際にオープンしてみると利用者からは「雨の日に屋外に出ることなく買い物ができる」「コンビニより価格が安い」などの喜びの声を得た。

高尾氏は「近くに無人店舗があることは、自分たちが思っているより便利と感じているお客さまは多いと実感しました」と語る。3店のMaxマートのうち、浜松市の本社オフィス、三栄ハイテックス本社に、ネクスウェイのクラウドカメラサービス「売場ウォッチ」を導入した。

店舗内の様子を場所や時間を問わずに確認できる売場ウォッチは、売れ筋である弁当コーナーなどを中心とした店舗全景、レジ周辺を録画している。過去の映像は15分ごとの静止画として、ライブ映像は動画として確認することができる。この売場ウォッチを採用するきっかけとなったのが、グループ会社であるマックスバリュ西日本の利用実績だった。

高尾氏は「マックスバリュ西日本で売場ウォッチを活用していることを知り、ネクスウェイにコンタクトをとりました。そして無理を承知で実証検証のため『なるべく早く送ってほしい』とお願いしたところ、ネクスウェイはすぐに対応してくれて、さっそく2週間ほど店舗に設置してみました」と語り、「店舗の商品棚やレジの状況がリモートでもはっきりと確認できること、使い勝手の良さを確認して、これは使えると確信しました」と導入までの経緯を説明する。

現在、マックスバリュ東海では、主に「売場の確認」「レジトラブル対応」に売場ウォッチを活用している。静岡のオフィスから無人店舗の様子を確認している、経営企画統括部EC推進部の宮坂侑樹新規事業推進グループ担当は、「無人店舗の商品は、近隣にある通常の店舗から補充するので、配送前には欠品状況、売れ行きに関する確認作業は欠かせない。その確認に役立っているのが、売場ウォッチです」と説明する。

宮坂氏は、「毎日配送する店舗では、前日のPOSを確認して運ぶ商品をピッキングします。しかし24時間営業していると、前日の最終確認後にも売買が行われるので、予期せぬ欠品が生じる可能性もあります。しかし、スタッフが配送のタイミングに合わせて売場ウォッチを確認すれば、『この商品はもう少し追加しておこう』と調整でき、チャンスロスが減らせます。いちいちパソコンの前に行かなくても、他の作業中や移動中でもスマートフォンでアクセスし、無人店舗内の棚を確認できる点も店舗スタッフにとっては便利です」と語る。

さらに、ピーク時間帯や一日の終わりの売り上げ状況を売場ウォッチで確認している宮坂氏は、「1回あたり数分程度で売場の様子などを確認できる手軽さも魅力のひとつ」と述べる。そのうえで高く評価する点が、売場ウォッチに記録された画像をもとにした議論だ。「無人店舗に関するノウハウは蓄積している最中で、手探りの状況といえます。売場ウォッチを活用すれば、担当者同士で『この商品を新しく置いてみたんですが、どうでしょう』と議論をするときなどに、映像を確認しながら相談したりもできます」(宮坂氏)。さらに、高尾氏は、「無人店舗のオペレーションも試行錯誤の段階です。いずれは統一したオペレーションを確立したいと考えていますので、それに向けた取り組みを進めるためのデータとしても役立てられると思います」という。

そのほか、マックスバリュ東海では「カスタマーサービスにも役立てられるのではないか」という想定外の利用法にも気づいたという。例えば、無人店舗ではレジ操作を購入者が行うが、操作に困ったときに問い合わせるための電話番号を記載している。「電話だけなら声でのやり取りになりますが、売場ウォッチならその場の様子をライブ動画で確認できますので、リモートであっても有人店舗のサービス、対面の接客に近づけられると感じています」(宮坂氏)。

2022年8月オープンの三栄ハイテックス本社店では売場ウォッチのみの設置となっている。その理由を高尾氏は「基本的に従業員しか立ち入らない場所に出店しています。そのためセキュリティカメラとしての位置づけだけではなく、在庫管理やレジトラブルに対応を利用目的とした売場ウォッチを設置しました。この『出店しやすさ』こそ、売場ウォッチの一番のメリットです」と説明した。

導入コストが安い売場ウォッチは、新規出店のハードルを下げられる。小型で軽量なカメラもクリップなどで固定できるので工事がいらない。設置したあとに位置や角度を変更するのも手軽にできるので、最適な位置や画角を探すための試行錯誤も簡単だ。高尾氏は、「導入コストを抑えれば損益分岐点売上が下がり、新規出店がしやすくなりますので、スピード感を持って事業を広げられるようになります」と語る。

無人店舗の運営にスピード感と安定感をもたらした売場ウォッチ。しかし、高尾氏は「今のやり方が完成形ではありません」と述べる。「無人店舗は、開店する場所によって求められる役割が変わるものです。年齢層や勤務時間など、お客さまの勤務形態が異なる中で最適な販売方法を追求するためには、セキュリティ、オペレーションなども改めて考える必要があります。導入コストが安く、柔軟に設置できる売場ウォッチは試行錯誤しやすく、無人店舗の出店を後押ししてくれるでしょう」(高尾氏)。

現在は企業内のオフィスの一角への出店が主だが、今後はさまざまな場所への無人店舗が増えてくるだろう。売場ウォッチによってさまざまなタイプの無人店舗を出店しやすくなると、両氏は期待している。

マックスバリュ東海の売場ウォッチ導入事例

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