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食品ロス削減/生乳廃棄回避に向け各社キャンペーンを実施

2022年12月20日 14:00 / 販促

流通企業、生乳メーカー各社や事業団体は例年通り、冬休みに学校給食がなくなるなどの理由で生乳の需給が緩和する年末年始に、ミルクの過剰在庫による廃棄を防ぐため、さまざまな取り組みを通じて乳製品の消費を促している。

<ローソンでは昨年に続きホットミルク半額実施>

ローソンでは昨年に引き続き、12月31日~1月1日の2日間、「ホットミルク」(税込180円)の半額セールを実施する。昨年の販売量は2日間で135トンに上り、今回も牛乳の消費拡大を応援する構えだ。

そもそも生乳が余る理由について、牛は毎日乳を搾らないと病気になるため、搾乳を増減することができないという事情がある。その一方で、コロナ禍による需要停滞や、2014年のバター不足以降の増頭対策の結果、生産量が増加している。これに加え、ウクライナ情勢による牛の飼料値上げをはじめとする生産コスト増加により、11月には牛乳メーカー各社が値上げを実施。販売数の低下もあり、昨年に続き、乳業関係者たちは余剰回避に注力することとなった。

2022年の生乳生産量について、Jミルクによる9月30日時点の需給見通しによると、前年より0.5%増の768万7000トンと予測。10月にはホクレン農業協同組合連合会による追加的な生産量抑制の取り組みが発表され、農林水産省の統計によると10月の生産量が1.4%減するなど減少傾向にはある。

Jミルクは、「例年、需給のバランスが崩れる冬場に生乳を売り込むのがメーカーとして長年の課題となる。処理不可能乳を発生させない最大限の取り組みを、引き続き業界内に呼びかけている」としている。

また、生乳の需給対策について、野村農林水産大臣は11月22日の記者会見で、「可能な限り生乳を廃棄をしない方法で需給対策を行ってきたが、どうしても供給量が上回る。消費キャンペーンを行う一方で、乳量が少なく成績の良くない牛をリタイアさせることも、1つの方法として考えなければならない。今後、何らかの形で生産調整を自主的に行っている酪農家への支援をしていきたい」と述べた。

こうした状況に先立ち、農林水産省では今年6月、Jミルクとともに「牛乳でスマイルプロジェクト」と企画。酪農関係者のみならず、さまざまな企業や自治体など官民一体となって行うもので、業界全体で乳製品の消費拡大に取り組んでいる。

<クックパッドや、さとふるも参画>

クックパッドはこのほど、同プロジェクトへの参画を発表。牛乳・乳製品に関する情報発信やイベントを、月間5200万人のユーザーが利用するレシピサービス「クックパッド」や自社メディアなどで行い、牛乳レシピの掲載や乳製品の食トレンド紹介をはじめとする各活動を通じて食品ロスの削減を目指していく。

同じく、プロジェクトに参画しているさとふるでは、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」で「牛乳・乳製品特集」を公開。同サイトでは、牛乳・乳製品に関連するお礼品を約5400点掲載しており、同社によると牛乳・乳製品に関連するお礼品の登録数は、2019年1~10月と2022年同時期を比較して、約8倍に増加。このことから、コロナ禍で乳製品需要が落ち込む中で、地域事業者が収益確保の場として、ふるさと納税を活用していることが分かる。

<農協でも牛乳メニューを拡販>

ホクレン農業協同組合連合会は12月15日、北海道の酪農家のアンテナショップ「MILKLAND HOKKAIDO→TOKYO」(東京都目黒区)で、北海道ミルクのカップチャウダー(各税込660円)やミルクドリンク(各550円)を販売開始。乳製品の消費喚起を目的としたもので、冬の街歩きにピッタリなメニューを通じて北海道の酪農を応援していく。

<牛乳サブスクで消費促進>

オイシックス・ラ・大地は12月15日、EC食品宅配サービス「Oisix」で提供するサブスク「牛乳とか飲み放題」(月額税別1480円)の品ぞろえを拡充した。2019年6月から開始した毎月定額のオプションサービスで、牛乳や乳製品を中心に、食パンやたまごなどの定番商品を「毎回3品まで」、追加料金0円で選べるというもの。一定量の牛乳を消費でき、産地の生産者と家庭の双方にとって持続可能なサービスとして支持を広げている。

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