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国内菓子メーカー/2019年度売上高0.8%減、インバウンド需要激減が影響

2021年02月15日 14:00 / 経営

帝国データバンクは2月12日、国内菓子メーカー487社の経営実態調査結果を発表した。

2021年1月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)の中から、2019年度(2019年4月期~2020年3月期)決算の売上高が判明した国内菓子メーカー487社(売上高10億円以上)を抽出し、売上高、主力商品別、地域別、業歴別について分析したもの。

<地域別売上高 上位企業>
地域別売上高 上位企業
(C)TEIKOKU DATABANK,LTD(以下同)

国内菓子メーカー487社のうち、2017年度~2019年度決算の売上高が判明した477社の2019年度の総売上高は、4兆2898億5100万円(前年度比0.8%減)となっている。

初回調査の2012年(2010年度、今回で9回目)以降拡大傾向にあったなか、初めて減少に転じた。冷夏、台風など天候不順の影響を受けたほか、伸び率が縮小していたインバウンド需要が年度末には新型コロナの影響で激減した影響を受けているという。

2017年度~2019年度の売上高(変則決算を除く)が判明し、比較可能な459社の売上高増減分布をみると、前年度比「増収」企業は44.9%(206社)、「減収」企業は45.1%(207社)だった。

帝国データバンクは「2019年度は梅雨明けが遅れて冷夏となり、台風19号も発生し、天候不順による客数の減少や季節需要が減少した。近年、菓子市場の拡大の下支えとなってきたインバウンド需要については、2019年も訪日外客数は8年連続増加した(日本政府観光局)」。

しかし、「伸び率は4年連続縮小したうえ、2019年度後半は新型コロナの感染拡大から、2月の訪日外客数は前年同月比58.3%減、3月は同93.0%減と大きく減少したことが総売上高に影響したとみられる」と分析している。

6月・7月・8月・9月決算企業で売上高が判明した98社の2020年度の総売上高は、前年同期比10.9%減。「減収」が約8割を占めた。

増収企業で構成比1位は「チョコレート、キャンディー」51.2%

<主力商品別売上高増減分布>
主力商品別売上高増減分布

また、2018年度・2019年度の売上高が比較可能な477社をみると、増収企業の構成比の項目別では、主力商品別1位は「チョコレート、キャンディー その他」で51.2%(43社)。

「チョコレート、キャンディー その他」は、チョコレートはハイカカオブームも収束を見せ、年度末のバレンタインデー・ホワイトデーは新型コロナの影響で失速したが、定番となっている商品に支えられた企業、巣ごもり需要を取り込めた企業もあり、好不調が分かれた。清涼菓子やグミ、キャンディーが好調であったが、新型コロナ以降はオフィス需要があったグミが不調となり、感染予防面でのど飴が好調となっている。

一方、減収企業の割合が最も高かったのは、「アイスクリーム」の54.3%(19社)。梅雨明けが遅れたことや、天候不順で猛暑日が少なくなり冷夏となったことで需要が冷え込んだ。次いで「ビスケット、スナック菓子」の49.2%(31社)と続いた。

帝国データバンクは「インバウンド需要の消失により土産物店や催事、テーマパーク向けを販路とする菓子が不調となったほか、在宅勤務や外出自粛の増加でコンビニエンスストア、百貨店を販路とする菓子を販売する企業が打撃を受けた」。

一方、「巣ごもり需要でスーパーマーケットや量販店を販路とする菓子は総じて受注が伸び、特にファミリーパックや宅飲み需要でおつまみとなるスナック菓子などが好調だった」と見ている。

■問い合わせ先
帝国データバンク 
東京支社 情報部
TEL:03-5919-9341 
FAX:03-5919-9348

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