企業の値上げ動向/7割弱が4月以降値上げ実施済・予定、円安など打撃
2022年06月15日 16:20 / 経営
帝国データバンクは6月15日、企業の今後1年の値上げに関する動向アンケートの調査結果を発表した。
同様の調査は2022年4月に続き2回目。アンケート期間は2022年6月10日~13日、有効回答企業数は1701社(インターネット調査)。
自社の主な商品・サービスについて、2022年4月以降に値上げした/する企業は68.5%と7割近くに達した。2022年6月以降に「値上げした/もしくはする予定」の企業は合計で37.0%となった。
<企業の値上げ動向>
※出典:帝国データバンクホームページ(以下同)
また、4月に実施した同様の調査と比べて、「2022年7~9月ごろに値上げ予定」の企業(8.6%→19.9%)は10ポイント超上昇した。
業界別でみると、「卸売」や「製造」で値上げが進む一方、「サービス」「運輸・倉庫」で全体よりも値上げを実施した企業の割合が低かった。
■「値上げ実施済み・予定」企業は68.5%
自社の主な商品・サービスの値上げ動向について尋ねたところ、4割超(42.3%)の企業が「2022年4月~5月の間にすでに値上げした」と回答(複数回答、以下同)。「2022年6月に値上げした/する予定」は14.1%、「2022年7月~9月ごろに値上げ予定」は19.9%、「2022年10月~12月ごろに値上げ予定」は9.3%となり、企業は今後も値上げを考えていることがわかった。
2022年6月以降に「値上げした/する予定」の企業は合計で37.0%となった。「2022年4月~5月の間にすでに値上げした」企業と合わせると、「値上げ実施済み・予定」企業は68.5%と7割近くに達した。他方、「今後1年以内で値上げする予定はない」は7.4%、「値上げしたいが、できない」は14.6%だった。
調査では、原材料費の値上がり、原油価格の高騰にともなう物流費上昇、急激に進む円安などが重なったことでおきた急激なコストアップが、企業努力で吸収できる限界を超え、値上げに踏み切ったとの声が多く聞かれたという。
4月に実施した同様の調査と比較すると、「2022年7月~9月ごろに値上げ予定」の企業は11.3ポイント上昇(4月調査:8.6%→6月調査:19.9%)、「2022年10月~12月ごろ値上げ予定」の企業は6.7ポイント上昇(同:2.6%→同:9.3%)しており、この2カ月の間に値上げを考える企業の勢いが増していることがわかった。
■「飲食料品卸売」の88.5%が値上げ
今回の調査について、「2022年4月以降に値上げ実施済・予定」企業を業界別でみると、「卸売」(87.6%)、「製造」(79.9%)での割合が高く、全体平均(68.5%)を10ポイント超上回った。
業種別では、「飲食料品・飼料製造」が91.3%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が89.1%、「飲食料品卸売」が 88.5%となり、これらの業種で値上げが進んでいる。
他方、「情報サービス」(12.0%)、「不動産」(29.6%)、「運輸・倉庫」(51.2%)の業種では、値上げを実施している企業の割合が低くなった。「値上げして自社のビジネスチャンスを損ないたくない」(ソフト受託開発)、「値上げをすれば契約打ち切りのリスクがかなり高い」(一般貨物自動車運送)と、他社との競合などから、人件費や燃料費などの上昇分を転嫁しにくい状況がうかがえるという。
さらに、小売業や個人向けサービス業を含む「個人消費関連」(飲食店、旅館・ホテル、娯楽サービス、教育サービス)をみると、「値上げ実施済み・予定」企業は71.2%となった。
■問い合わせ先
帝国データバンク 東京支社 情報統括部
TEL:03-5919-9343
E-mail:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。